2022-06-01 (Wed)

本日のキーワード : 隷従への道、ハイエク、計画社会、全体主義、ウクライナ、ユダヤ人、リヴィウ、ガリツィア、スヴォボーダ、ビクトリア・ヌーランド
The Jewish Hand in World War Three
第三次世界大戦におけるユダヤ人の役割 ③
Free Speech versus Catastrophe
言論の自由vs破滅

Context and Run-Up
背景と経緯 (二)
…By early 2013, the American Embassy in Kiev was training right-wing Ukrainian nationalists on how to conduct a targeted revolt against Yanukovych. It would not be long until they had their chance.
2013 年初頭までに、キエフのアメリカ大使館は、ヤヌコビッチに対する標的型の反乱を行う方法として、ウクライナの右翼民族主義者たちを訓練していた。彼らにチャンスが訪れるまで、そう長くはかからなかった。

In late 2013, Yanukovych decided to reject an EU-sponsored IMF loan, with all the usual nasty strings attached, in favor of a comparable no-strings loan from Russia. This apparent shift away from Europe and toward Russia was the nominal trigger for the start of protest actions. Thus began the “Maidan Uprising,” led in large part by two extreme nationalist groups: Svoboda and Right Sector. Protests went on for nearly three months, gradually accelerating in intensity; in a notable riot near the end, some 100 protestors and 13 police were shot dead.
2013 年末、ヤヌコビッチは、EUが支援するIMFからの融資を拒否し、ロシアからの無条件融資を選ぶことを決定した。この欧州からロシアへの明らかなシフトは、抗議行動開始の表向きのきっかけとなった。こうして 「マイダン革命」 は、2 つの極端な民族主義的グループによって、その大部分が導かれた。スヴォボーダと右翼団体である。抗議行動は 3 カ月近く続き、徐々に激しさを増し、終盤には約 100 人の抗議者と 13 人の警察官が射殺される暴動も発生した。

ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ

スヴォボーダ (ネオナチ政党) のロゴ

スヴォボーダ (ネオナチ政党) の 2012 年の支持率 (ウクライナ最高議会選挙)

リヴィウ (レンベルク、ルヴフ) の位置
As the Uprising reached its peak, at least one American Jew was highly interested: Victoria Nuland. As Obama’s Assistant Secretary of State (first under Hillary Clinton, and then under the half-Jew John Kerry), Nuland had direct oversight of events in eastern Europe. And for her, it was personal; her father, Sherwin Nuland (born Shepsel Nudelman), was a Ukrainian Jew. She was anxious to drive the pro-Russian Yanukovych out of power and replace him with a West-friendly, Jew-friendly substitute. And she had someone specific in mind: Arseniy Yatsenyuk. On 27 January 2014, as the riots were peaking, Nuland called American Ambassador to Ukraine, Jeff Pyatt, to urgently discuss the matter. Nuland pulled no punches: “Yats” was her man. We know this because the call was apparently tapped and the dialogue later posted on Youtube. Here is a short excerpt:
蜂起がピークに達した時、少なくとも一人の米国籍ユダヤ人が強い関心を抱いていた。ビクトリア・ヌーランドである。オバマ大統領の国務次官補 (最初はヒラリー・クリントン、次いでハーフユダヤ人のジョン・ケリー) として、ヌーランドは東欧での出来事を直接監督していた。彼女の父親であるシャーウィン・ヌーランド (本名シェプセル・ヌードルマン) はウクライナ系ユダヤ人だったからである。彼女は親ロシア派のヤヌコビッチを政権から追い出して、西側と友好的でユダヤ人に都合のよい人物を代役に据えることを切望していた。そして、彼女は特定の人物を念頭に置いていた。アルセニー・ヤツェニュクである。2014 年 1 月 27 日、暴動がピークに達したとき、ヌーランドはジェフ・パイアット駐ウクライナ米国大使を呼び、この問題を緊急に議論した。ヌーランドは一切手加減をしなかった。「ヤッツ (ヤツェニュク) 」 は彼女の手駒だった。この通話は盗聴されていたようで、後日Youtubeにその時の会話が投稿されたので、私たちはそれを知っている。以下はその抜粋である。

ビクトリア・ヌーランド

シャーウィン・ヌーランド

アルセニー・ヤツェニュク
Nuland: I think Yats is the guy who’s got the economic experience, the governing experience. He’s the… what he needs is Klitsch and Tyahnybok on the outside. He needs to be talking to them four times a week, you know. I just think Klitsch going in… he’s going to be at that level working for Yatseniuk, it’s just not going to work.
ヌーランド : ヤッツは経済的な経験もあり、政治的な経験もある。彼は…彼に必要なのは、外部にいるクリッチ (ビタリ・クリチコ) とチャフニボーク (オレーフ・チャフニボーク) だわ。彼は週に 4 回、彼らと話をする必要があるわ。クリッチは…クリッチがヤツェニクのために働くなんて、絶対にありえないから。

ビタリ・クリチコ

オレーフ・チャフニボーク
Pyatt: Yeah, no, I think that’s right. OK. Good. Do you want us to set up a call with him as the next step? […]
パイアット (ジェフ・パイアット) : そうですね、いや、その通りだと思います。承知しました。では、次の段階として、彼との面会を設定しましょうか? […]
Nuland: OK, good. I’m happy. Why don’t you reach out to him and see if he wants to talk before or after.
ヌーランド : ええ、そうね。そうしてくれると助かるわ。彼に連絡を取って、その前後に話したいことがあるかどうか聞いてみて。
Pyatt: OK, will do. Thanks.
パイアット (ジェフ・パイアット) : 畏まりました、それでは、そのように手配いたします。ありがとうございます。

ビクトリア・ヌーランド、オレーフ・チャフニボーク、ビタリ・クリチコ、アルセニー・ヤツェニュク




☆『The Jewish Hand in World War Three』 The Unz Review • An Alternative Media Selection
☆投資家サーベイ結果発表 「岸田政権、支持しますか?」
本日の書物 : 『隷従への道』 フリードリヒ・ハイエク 日経BP
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 【計画社会】がめざす目的に国民全員を向かわせる最も効率的な方法は、その【目的を全員に信じ込ませる】ことである。【全体主義体制】を効率よく運営するには、【同一の目的に向けて全員を強制的に働かせるだけでは十分ではない】。【社会の目的を自分の目的と思い込ませることが必要】である。国家の信条は指導者が選んで国民に押し付けるにしても、国民がそれを自分の信条としなければならない。そうなったとき初めて、国民一人ひとりが当局の思惑通りに自ら行動するようになる。全体主義国家の国民が、自由主義社会の人々が思うほど強い抑圧を感じていないとしたら、政府の企図通りに国民に考えさせることが非常にうまくいった証拠である。

これが【あの手この手のプロパガンダの成果】であることは、改めて言うまでもない。そのテクニックはいまやすでによく知られているので、ここではくわしくは触れない。一つ指摘しておきたいのは、プロパガンダじたいも、そのテクニックも、けっして全体主義固有のものではないことである。【全体主義国家のプロパガンダ】に【通常と異なる性質や効果があるとすれば、それは、単一の目的に使われることと、さまざまな媒体や手法を組み合わせて国民を一つの方向へ向かわせ、全員の意識に強制的同質化 (Gleichschaltung) 効果を生み出すことだ】。その結果、彼らのプロパガンダの効果は、競合する独立組織がそれぞれの目的で展開する宣伝活動とは、規模的にも質的にも異なったものとなる。最新情報の発信源が事実上一手に握られたら、もはやこれを信じさせるとか、あれを勧誘するという話ではない。巧妙なプロパガンダ担当者なら、自分の思い通りの方向へ国民の考えを誘導することが可能だ。どれほど知的で自主独立の精神を持ち合わせた人でも、あらゆる情報源が長期にわたって遮断されたら、プロパガンダの影響を完全に免れることはできまい。…

とはいえ、いま考えなければならないのは、【全体主義のプロパガンダがもたらす一段と重大な倫理的影響】である。【倫理の基本の一つ】は【真実を感じとり尊重すること】にあるが、【彼らのプロパガンダはその感覚を徐々に蝕み、ついにはあらゆる倫理的価値を破壊してしまう】。人間は、自分が暮らす社会の価値観に多かれ少なかれ染まるものである。【全体主義のプロパガンダは、当然ながらそうした価値観を覆し、既存の見解や倫理的信条を排除しようとする】。だがじつは、それだけにとどまらない。【プロパガンダ】は、その任務の性質上、【知性の問題であるはずの真実や事実の領域にまで踏み込まずにはいられない】のである。なぜなら、政府の公式の価値基準を国民に受け入れさせるためには、その論理的正当性を示すか、でなければ既存の倫理観とのつながりを示さなければならないからだ。この場合、ふつうであれば目的と手段の因果関係を証明して説得するということになる。ところが、めざす目的とそのための手段との関係は、よく言われるほど明確ではない。そこで、【国民に目的を信じ込ませるだけでなく、手段が依拠する事実をも納得させる必要が出てくる】。』

かつて王国の首都であった、現ウクライナの “リヴィウ” とユダヤ人
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、資本主義を研究する学問である経済学において、偉大なる経済学者の一人であるフリードリヒ・ハイエクが、ナチズム (あるいはファシズム) と社会主義・共産主義の類似性を明らかにしつつ、 それらの集産主義体制が必然的に全体主義へと至ってしまう危険性について警鐘を鳴らした、非常に有名な書物で、本書を通じて、『 「法の支配」 に基づく自由民主主義』 がいかに大切なものであるのかを改めて理解することができ、財務官僚如きにコントロールされ、「法の支配」 を無視した勝手な決定を次々と行っている (例 : ウクライナへの軍事物資支援 = 戦争行為)、トコトン無能な “岸田政権” も、実は、ハイエクが警鐘を鳴らしたものに、まさしく繋がっているという現状が良く分かるようになる、当ブログお薦めの良書になります。無能で危険極まりない岸田一派は、政権のみならず、政界そのものから抹消することが、私たち日本国民の喫緊の課題となりますので、是非広く日本国民の皆様にお読みいただきたいと思います。

それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。
(死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)
※( )内は前回の数値

☆Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE
アメリカ : 1,002,557(1,002,218)÷83,468,803(83,324,435)=0.0120・・・(0.0120) 「1.20%(1.20%)」

イタリア : 166,127(166,032)÷17,288,287(17,257,573)=0.0096・・・(0.0096) 「0.96%(0.96%)」

日本 : 30,378(30,336)÷8,665,068(8,632,778)=0.0035・・・(0.0035) 「0.35%(0.35%)」

さて、これまでの流れを、簡単に確認しておきますと、まず、出発点として、カール・マルクス (1818 - 1883) が生まれる約 200 年ほど前の時代 (日本で言えば、戦国時代から江戸時代初期にかけての時代) に、ドイツの神秘主義者であるヤーコプ・ベーメ (ヤコブ・ベーメ、1575 - 1624) という名の人物がいて、その後の 「ドイツ思想」 に決定的な影響を与えた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」・「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 なるものが世に生まれることになります。(詳しくはこちらから💓)

ヤーコプ・ベーメ(ヤコブ・ベーメ)
そのベーメの言っていたことというのは、次のようなものでした。
世界は本来壊れているものであり、それを直すことができるのは正しい者だけである (詳しくはこちらから💓)
そして、その影響を受けたのがプロイセン (ドイツ) の哲学者イマヌエル・カント (1724 - 1804) で、彼が言っていたことは、次のようなものでした。

イマヌエル・カント
たとえ世界を直すことができなくても、私たちは常に世界を直すことができると仮定して行動しなければならない (詳しくはこちらから💓)
また、ドイツ観念論を代表する思想家ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル (1770 - 1831) も影響を受けていて、そんな彼が言っていたことは、次のようなものでした。

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
世界が固定されていたとしても、私たちは無意識のうちに分裂を起こし、世界が再び崩壊し始めることになる (詳しくはこちらから💓)
で、この流れを受け継いでいるのがカール・マルクスであり、ウラジミール・レーニン (1870 - 1924) で、彼らが言っているのは次のようなことです。

カール・マルクス
私たちには、世界を壊したいという衝動はない。もし私たちが世界を壊すとすれば、それは私たちが社会とその主人たちからそうすることを学んだからである

ウラジーミル・イリイチ・レーニン
われわれは、世界を固定するために、意識の統一を強行しよう (詳しくはこちらから💓)
このように、ドイツで生まれた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 を出発点として、その後、人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想が生み出されることとなります。ここで重要な点は、そもそも全知全能なる神が創り賜うた世界にあって、なぜ悪が存在するのか、という疑問から生じた 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 が、ユダヤ・キリスト教的 “善悪二元論” をより一層強化し、世界を完全に良くするために 「悪なるもの」 を消し去らねばならない、といった浅はかな思考へと陥る人々を生じさせたことです。多くの一般的な人々も陥りやすい誤った思考ですが、特に 「極左おパヨク」 と呼ばれる連中は、その影響をもろに受けてしまうほどの 「おバカ」 で、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することで、ユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の対象物として “罪” を創り出し、その罪に対する償 (つぐな) い・贖 (あがな) いを果たねばならない、と妄信させることによって、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 の下で、人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し ( ← これが、ポリコレw)、人々の “自由” を奪う極めて 「権威主義的な統制社会の再構築」 を目指す連中の思う壺となっていて、それはまさに現在、私たちが普通に目にすることができる状況にあります。つまり、もはや隠そうともしていない、という状況にあるということです。

その 「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 については、ドイツ出身の社会学者・歴史学者かつマルクス主義者であり、エリート理論の信奉者で、さらにはファシズム (全体主義者) でもあったロベルト・ミヒェルス (ロベルト・ミヘルス) が提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy) を確認をしてきましたが、そこにもやはり 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 の影響を見ることができます。(詳しくはこちらから💓)

ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
また、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー) 」 と同根の言葉である 「オリガルヒ (oligarch) 」 につきましても、ロシア (詳しくはこちらから💓) やウクライナ (詳しくはこちらから💓) の事例から、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 ( = ユダヤ教徒)」 (こちらもご参照💓) が存在していることも判明しました。

さらには、ウクライナとユダヤ人 ( = ユダヤ教徒) と特異な関係を、ウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認しました。 (詳しくはこちらから💓)

そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために、様々な論文を見ているところとなります。

☆『分水嶺レンベルク : 象徴としての地誌』伊狩 裕

それでは早速、続きを見て参りましょう。
『 3.
19 世紀末から 20 世紀初頭にかけての改造で、「小ウィーン」 ともいわれ、「ソヴィエト時代には、パリやローマが舞台になる映画はリヴィウで撮影された」 というほどの西欧風の町並みを手に入れたレンベルク (※ウクライナ語でリヴィウ、ドイツ語でレンベルク (Lemberg)、ポーランド語でルヴフ (Lwów) ) ではあったが、「一王国の首都に川がないなどというのはヨーロッパではほかに例がない」 という 100 年以上も前のハケットの言葉が誇張ではなく事実となってしまったとき、この町の人々は水への渇望を覚えるようになった。定款都市となり、電灯がともり、路面電車が走り、ウィーンの食料品の名店ユリウス・マインルが出店しようと、「水がない」、「川がない」 のは 「一王国の首都」 にとっては致命的な欠陥と感じられた。この町にプラハやクラクフのような伝説がないことさえ 「川がない」 せいであるかのようにヴィットリンには思えた、とはすでに見たとおり。19 世紀には川に蓋をし、公園、道路、緑地にすることが都市の近代化であり進歩であると考えられ、パリでは、1828 年から 1844 年にかけてビエーヴル川が覆い隠され、ウィーンでは、1890 年から 1910 年にかけて、すなわちポルトヴァ埋設とほぼ同時期にウィーン川が暗渠化された。だが、パリもウィーンもその景観から水を失うことはなかったが、レンベルクは町で唯一の川を埋め立ててしまった。「町がこの犯罪を犯し、祟りが住民にはね返った」 のである。「川がない」 ことはレンベルクの人々の心の底に重く蟠った。

リヴィウ (レンベルク、ルヴフ) の位置

ポルトヴァの位置

1914年におけるオーストリア=ハンガリー帝国中のガリツィア・ロドメリア王国
だがレンベルクの人々は一つの発見によってこの 「祟り」 を解かれることになる。1910 年前後にレンベルクの古典語ギムナジウムに通っていたヴィットリンは、町の北西部にあるコルトムフカという小高い丘で 「不思議なことが起こると聞かされた。」
そこには、ささやかではあるが、とても重要な一軒の家があり、激しい雨が降ると家の一方の端の 2 本の雨樋が水を細い流れへと導き、その流れは一本の小川に注ぎ、小川は小さな流れへと注ぎ、それはブーク川に注ぎ、ブーク川はヴィスワ川に注ぎ、ヴィスワ川はバルト海に注ぐ。その家のもう一方の樋から流れ出た雨水は、同じように組み合わされてドニストル川に流入し、それはやがて黒海に注ぐ。このようにしてルヴフは、バルト海に臨むと同時に黒海にも臨んでいる。なんのためにもう一本の川が必要だろうか。

現代ヨーロッパにおけるガリツィアの位置

「バルト海に臨むと同時に黒海にも臨んでいる」 レンベルクの発見は川の不在を補って余りあり、この 「不思議な」 話に、川の不在を託ったヴィットリンも溜飲を下げたのであった。たしかに 「この町にはたったひとつ、地形のうえで奇妙な点がある」 が、それは、「川がない」 ということではなく、ヨーロッパの南北の海の水源を二つながら抱えているということであり、これこそ 「ヨーロッパではほかに例がない」 事実として、川のない都市レンベルクの、水に餓えた人々の間に広く、深く浸透し、感動とともに伝えられた。
ヴィットリンのこの体験からおよそ 70 年余りのち、現代のウクライナ人作家ユーリイ・アンドゥルホーヴィッチもヴィットリンのカタルシスを追体験している。アンドゥルホーヴィッチは、1960 年にリヴィウの南東 120 キロほどのイヴァノ・フランキフシク (スタニスラウ) に生まれ、学生生活をリヴィウで送ったが、リヴィウは 「ヨーロッパの都市学のもっとも重要な要素を奪われている。すなわち川である」、としたうえ、川ととともにリヴィウから失われた、水に纏わる表象を数え上げる。「橋 (水の上に渡された本物の橋)、河岸、水辺の草地、船着き場、船、水車、土手、島、水路」、「素性の知れない船乗りたち、ニンフ、ネレイデス、セイレン、海蛇、土左衛門、鱗で覆われた龍、鎧をまとった亀。」 だがアンドゥルホーヴィッチも、この町を 「バルト海と黒海という二つの海の分水嶺が走っている」 ということを知ったときの、「一瞬にして私を捕らえた、心からの、ほとんど子供のような感動を私は覚えている」 と回想している。
そしてアンドゥルホーヴィッチは、「分水嶺」 にただ 「川の不在」 の補償を見出しているだけではなく、ヨーゼフ・ロートの 「境界線の消えた町」 というレンベルクの形容を援用しながら、「分水嶺」 という言葉にこの町を特徴付ける象徴性を付与しようとしている。ロートは、レンベルクの分水嶺について知っていた節はないが、ロシア語、ポーランド語、ルーマニア語、ドイツ語、ルテニア語 (ウクライナ語)、イディッシュ語が耳に入るこの町の 「民族的・言語的多様性」、「多言語の多彩さ」 こそこの町の強みであると述べている。それを承けてアンドゥルホーヴィッチは、ダニーロによって創建されて以来、多様な民族と文化が流入し、混住してきたリヴィウに 「同時に多くの文化に属し、一つの文化には専属しないという 『分水嶺的性格』 (Wasserscheidigkeit) が見られるかもしれない」、「 13 世紀の半ばに王の弓から放たれた矢は、正鵠を射たのであった」 と述べている。』
ということで、本日はここまでとさせて頂きます。
続きは次回に♥
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