2023-04-27 (Thu)

本日のキーワード : ウクライナ、ネオナチ、インテグラル・ナショナリスト、ドミトロ・ドンツォフ、ユダヤ人、レオ・シュトラウス、シュトラウス派、歴史修正主義、ロシア、中国
Who are the Ukrainian integral nationalists ?
ウクライナのインテグラル・ナショナリストとは誰か? ⑭
Who knows the history of the Ukrainian "integral nationalists", "Nazis" according to the terminology of the Kremlin? It begins during the First World War, continues during the Second, the Cold War and continues today in modern Ukraine. Many documents have been destroyed and modern Ukraine forbids under penalty of imprisonment to mention their crimes. The fact remains that these people massacred at least four million of their compatriots and conceived the architecture of the Final Solution, that is, the murder of millions of people because of their real or supposed membership in the Jewish or Gypsy communities of Europe.
クレムリンの用語によれば 「ナチス」 であるところのウクライナの 「インテグラル・ナショナリスト (integral nationalists / 統合主義者 / 統合民族主義者)」 の歴史を知っている人はいるだろうか? それは第一次世界大戦中に始まり、第二次世界大戦中、冷戦中、そして現代のウクライナにおいても継続している。多くの資料が破棄され、現代のウクライナでは、彼らの犯罪について言及することが禁じられ、しかも投獄の罰則付きである。しかし、これらの連中が少なくとも 400 万人の自国民を虐殺し、ヨーロッパのユダヤ人やジプシーのコミュニティーの一員であるという理由により、何百万人もの人々を殺害するという究極的解決策の計画を立てたことは事実である。

The German agent, thinker of Ukrainian “integral nationalism” and criminal against humanity, Dmytro Dontsov (Metipol 1883, Montreal 1973).
ドイツの工作員であり、ウクライナの 「統合民族主義」 の思想家であり、人道に対する犯罪者であるドミトロ・ドンツォフ (メリトポリ 1883 年生, モントリオール 1973 年没)

Vladimir Jabotinsky, born in Odessa, thinker of "revisionist Zionism". For him Israel was "a land without a people, for a People without a land".
ウラディーミル・ジャボチンスキーはオデッサに生まれ、「修正主義的シオニズム」 の思想家である。彼にとってイスラエルは、「土地なき民のための、民なき土地」 であった。

Simon Petliura took over northern Ukraine. Protector of the "integral nationalists", he sacrificed Galicia and Volhynia to fight the Russians.
シモン・ペトリューラはウクライナ北部を占領した。「インテグラル・ナショナリスト」の庇護者であった彼は、ロシアと戦うためにガリツィアとヴォルィーニを犠牲にした。

ヴォルィーニ
こちらもご参照🌸
↓
☆野村 真理 ガリツィアのユダヤ人(新装版): ポーランド人とウクライナ人のはざまで


Dmitro Yarosh when founding the Anti-Imperialist Front against Russia with the jihadists. He is now special adviser to the head of the Ukrainian armies.
ジハード主義者とともに対ロシア反帝国主義戦線を創設したときのドミトリー・ヤロシ。現在はウクライナ軍首脳の特別顧問。

Inauguration of a commemorative plaque of the Criminal Against Humanity Dmytro Dontsov on the facade of the state news agency Ukrinform. During the ceremony, the general director of Ukrinform assured that Dontsov had founded, in 1918, the first Ukrainian press agency, UTA, of which Ukrinform is the successor.
国営通信社ウクルインフォルムの正面玄関に、「人道に対する罪人」 ドミトロ・ドンツォフの記念プレートが設置された。式典では、ドンツォフが 1918 年にウクライナ初の報道機関 UTA を設立し、その後継機関としてウクルインフォルムが設立されたことをウクリンフォルムの総局長が明らかにした。
ウクライナ政府、JICAと4億ドルの無償資金協力贈与契約を締結 https://t.co/6UrHhT0SWM
— ウクルインフォルム日本語版 (@Ukrinform_JP) April 15, 2023

On July 1, 2021, President Volodymyr Zelenski enacted the Law "On Indigenous Peoples of Ukraine" which places them under the protection of Human Rights. By default, citizens of Russian origin can no longer invoke them in court.
2021 年 7 月 1 日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は 「ウクライナの先住民族に関する法律」 を制定し、彼ら (クリミア・タタール人、カライム人、クリムチャク人の 3 民族) を人権の保護下に置く。既定上、ロシア出身の市民は裁判で彼らを訴えることができなくなった。
In February 2022, the "full nationalist" militias, which made up one-third of the country’s armed forces, planned a coordinated invasion of Crimea and the Donbass. They were stopped by the Russian military operation to implement UN Security Council Resolution 2202 to end the suffering of the people of Donbass.
2022 年 2 月、同国軍隊の 3 分の 1 を占める 「完全なナショナリスト」 民兵は、クリミアとドンバスへの協調的な侵略を計画した。彼らは、ドンバスの人々の苦難を終わらせるべく、国連安保理決議 2202 を履行するために行われたロシア軍の作戦 (特別軍事作戦) によって制圧された。
We stand united. We stand with Ukraine.
— Chrystia Freeland (@cafreeland) February 28, 2022
Nous sommes unis. Nous sommes debout aux côtés de l'Ukraine.
Slava Ukraini! Слава Украіні! pic.twitter.com/5mFjesfOm8
We stand united. We stand with Ukraine.
Nous sommes unis. Nous sommes debout aux côtés de l'Ukraine.
Slava Ukraini! Слава Украіні!
私たちは団結して立ち向かう。私たちはウクライナと共に立ち上がる。
ウクライナに栄光あれ!
Canadian Deputy Prime Minister Chrystia Freeland demonstrates her support for President Zelensky with members of the Canadian branch of the OUN. Today, Ms. Freeland is a candidate for the General Secretariat of NATO.
カナダのクリスティア・フリーランド副首相が、OUN カナダ支部のメンバーとともに、ゼレンスキー大統領への支持を表明した。現在、フリーランドは NATO 事務総局の候補者である。

クリスティア・フリーランド
In March 2022, Israeli Prime Minister Nafatali Bennett, breaking with the "revisionist Zionism" of Benjamin Netanyahu (the son of Jabotinsky’s secretary), suggested to President Volodymyr Zelensky that he should agree with Russian demands and denazify his country.
2022 年 3 月、イスラエルのナフタリ・ベネット首相は、ベンヤミン・ネタニヤフ (ジャボチンスキーの秘書の息子) の 「修正主義シオニズム」 と決別し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領にロシアの要求に応じてウクライナを非ナチス化すべきと提案した。

ナフタリ・ベネット

ゼエヴ・ウラディーミル・ジャボチンスキー

ベンシオン・ネタニヤフ

ベンヤミン・ネタニヤフ
Emboldened by this unexpected support, Russian Foreign Minister Sergei Lavrov dared to mention the case of the Jewish Ukrainian president, saying: "The Jewish people in their wisdom have said that the most ardent anti-Semites are usually Jews. Every family has its black sheep, as they say." This was too much for the Israelis, who always worry when someone tries to divide them. His counterpart at the time, Yair Lapid, recalled that the Jews themselves never organized the Holocaust of which they were victims. Caught between its conscience and its alliances, the Hebrew state repeated its support for Ukraine, but refused to send it any weapons. In the end, the General Staff decided and the Minister of Defense, Benny Gantz, closed any possibility of support to the successors of the mass murderers of Jews.
この予想外の援護に気を良くしたロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、あえてユダヤ系ウクライナ大統領のケースに触れ、こう言った : ユダヤ人たちは、賢明にも、最も熱狂的な反ユダヤ主義者は大概がユダヤ人であると言ってきた。どんな家族にも、厄介者はいるものだ、と言うわけだ。これは、自分たちを分断しようとする者がいるといつも心配するイスラエル人にとっては、あまりに酷なことだった。当時、彼のパートナーであったヤイル・ラピドが、ユダヤ人自身が自ら犠牲となったホロコーストを組織したことはなかったと回想している。良心と同盟国との狭間で、ヘブライ語国家はウクライナへの支援を繰り返したものの、いかなる武器も送ることを拒んだ。結局、参謀本部が決定し、ベンヤミン・ガンツ国防相がユダヤ人大量殺戮者の後継者への支援の可能性を一切閉ざしたのである。

ヤイル・ラピド

ベンヤミン・ガンツ
Ukrainians are the only nationalists who are not fighting for their people or their land, but for one idea: to annihilate the Jews and the Russians.
ウクライナ人は、彼らの国民や彼らの国土のために戦っているのではなく、一つの理念のために戦っている唯一のナショナリストである : ユダヤ人とロシア人を絶滅させるためだ。




2000年世田谷一家惨殺事件の犯人の事言っちゃてるよ👀‼️大丈夫か
— 橘賀昌 (@KyO3wTachibana) November 7, 2022
ヤッパリね🤔 pic.twitter.com/CPJiPfXFYb
☆Who are the Ukrainian integral nationalists ?
本日の書物 : 『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』 クリス・ミラー ダイヤモンド社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 「あなたが例の論文を書いて以来、私の人生は地獄ですよ!」。ある半導体のセールスマンが、ヒューレット・パッカード (HP) の経営幹部のリチャード・アンダーソンに愚痴をこぼした。業界一厳しいと言われる同社の基準を満たすチップを判断するのが、彼の仕事だった。
1980 年代は、アメリカの半導体部門全体にとって地獄のような 10 年間だった。シリコンバレーはすっかり世界のテクノロジー業界の雄のような気分でいたが、20 年間にわたる急成長は止まり、今では存亡の危機と向き合っていた。日本との熾烈な競争である。
1980 年 3 月 25 日、ワシントンの由緒あるメイフラワー・ホテルで開かれた業界会議で、アンダーソンが舞台に上がると、聴衆は固唾をのんで彼の話に耳を傾けた。全員が彼に自社の半導体を売りつけようと考えていたからだ。彼の勤める HP は、スタンフォード大学の卒業生のデビッド・パッカードとウィリアム・ヒューレットがパルアルトのガレージで電子機器をいじり始めた 1930 年代に、シリコンバレーの新興企業 (スタートアップ) という概念を発明した会社として知られる。その会社が今では、アメリカ最大のテクノロジー企業の一つ、そしてアメリカ最大の半導体の買い手の一つになっていた。
チップに関するアンダーソンの購入判断は、一つの半導体メーカーの社運を左右するほどの影響力を持っていたが、シリコンバレーのセールスマンたちは、彼との接待を禁じられていた。「昼食の誘いに応じることはたまにあったがね」 と彼は恐縮した様子で認めた。しかし、彼こそがほとんどの人にとっての最重要顧客である HP の門番であることは、シリコンバレーでは周知の事実だった。彼はその仕事を通じて、各企業の業績も含めた半導体産業の全景を見渡すことができる立場にいた。…
今や、インテルやテキサス・インスツルメンツなどのアメリカ企業に加えて、東芝や NEC といった日本企業までもが DRAM チップをつくっていたが、日本企業のことを深刻にとらえる者はシリコンバレーにはほとんどいなかった。アメリカの半導体メーカーを経営するのは、ハイテクを発明した張本人たちだった。
彼らは冗談で、日本のことを 「カシャ、カシャ」 の国、と呼んだ。日本の技術者たちが、アイデアを “丸写し” するために半導体会議へと持ち込むカメラのシャッター音になぞらえた表現だ。アメリカの大手半導体メーカーが日本のライバル企業との知的財産訴訟をいくつも抱えているという事実は、シリコンバレーのほうがまだかなり先を走っている証拠としてとらえられた。
しかし、HP のアンダーソンは、東芝や NEC を深刻にとらえていただけではなかった。日本製のチップをテストした結果、アメリカの競合企業よりはるかに高品質だという事実に気づいてしまったのである。
彼の報告によれば、3 社の日本企業のうち、最初の 1,000 時間の使用で故障率が 0.02 %を上回った企業はひとつもなかった。対して、3 社のアメリカ企業の故障率は最低でも 0.09 %。つまり、アメリカ製のチップのほうが 4.5 倍も故障が多い、ということになる。最下位のアメリカ企業は、故障率が 0.26 %にもおよんだ。これは日本の平均の 10 倍以上悪い数字だ。性能は同じ。価格も同じ。でも故障ははるかに多い。いったい誰がそんなものを買うというのか?』

レオ・シュトラウスと 「正義の哲学」
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、ウクライナ紛争と同時進行で実行されている、現代社会で最も重要な戦略物資の一つである 「半導体」 をめぐる 「経済戦争」 の理解を深めるための初歩的・一般的な書物で、「これまでの半導体の歴史」 をざっくりと把握するのにお薦めの良書になります。残念ながら、ほぼ 「前工程」 に関する記述しかされておらず、急激に変化すると考えられている 「これからの半導体の歴史」 を予測するうえで必要な 「後工程」 に関する記述が欲しかったところですが、アメリカ目線で書かれた書物ですので致し方ないというところでしょうか。内容的には中学生レベルでも読めるものとなっていますので、まずは手始めにご覧になってみてはいかがでしょうか?

さて、これまでの流れを、簡単に確認しておきますと、まず、出発点として、カール・マルクス (1818 - 1883) が生まれる約 200 年ほど前の時代 (日本で言えば、戦国時代から江戸時代初期にかけての時代) に、ドイツの神秘主義者であるヤーコプ・ベーメ (ヤコブ・ベーメ、1575 - 1624) という名の人物がいて、その後の 「ドイツ思想」 に決定的な影響を与えた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」・「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 なるものが世に生まれることになります。(詳しくはこちらから💓)

ヤーコプ・ベーメ(ヤコブ・ベーメ)
そのベーメの言っていたことというのは、次のようなものでした。
世界は本来壊れているものであり、それを直すことができるのは正しい者だけである (詳しくはこちらから💓)
そして、その影響を受けたのがプロイセン (ドイツ) の哲学者イマヌエル・カント (1724 - 1804) で、彼が言っていたことは、次のようなものでした。

イマヌエル・カント
たとえ世界を直すことができなくても、私たちは常に世界を直すことができると仮定して行動しなければならない (詳しくはこちらから💓)
また、ドイツ観念論を代表する思想家ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル (1770 - 1831) も影響を受けていて、そんな彼が言っていたことは、次のようなものでした。

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
世界が固定されていたとしても、私たちは無意識のうちに分裂を起こし、世界が再び崩壊し始めることになる (詳しくはこちらから💓)
で、この流れを受け継いでいるのがカール・マルクスであり、ウラジミール・レーニン (1870 - 1924) で、彼らが言っているのは次のようなことです。

カール・マルクス
私たちには、世界を壊したいという衝動はない。もし私たちが世界を壊すとすれば、それは私たちが社会とその主人たちからそうすることを学んだからである

ウラジーミル・イリイチ・レーニン
われわれは、世界を固定するために、意識の統一を強行しよう (詳しくはこちらから💓)
このように、ドイツで生まれた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 を出発点として、その後、人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想が生み出されることとなります。ここで重要な点は、そもそも全知全能なる神が創り賜うた世界にあって、なぜ悪が存在するのか、という疑問から生じた 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 が、ユダヤ・キリスト教的 “善悪二元論” をより一層強化し、世界を完全に良くするために 「悪なるもの」 を消し去らねばならない、といった浅はかな思考へと陥る人々を生じさせたことです。多くの一般的な人々も陥りやすい誤った思考ですが、特に 「極左おパヨク」 と呼ばれる連中は、その影響をもろに受けてしまうほどの 「おバカ」 で、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することで、ユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の対象物として “罪” を創り出し、その罪に対する償 (つぐな) い・贖 (あがな) いを果たねばならない、と妄信させることによって、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 の下で、人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し ( ← これが、ポリコレw)、人々の “自由” を奪う極めて 「権威主義的な統制社会の再構築」 を目指す連中の思う壺となっていて、それはまさに現在、私たちが普通に目にすることができる状況にあります。つまり、もはや隠そうともしていない、という状況にあるということです。

その 「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 については、ドイツ出身の社会学者・歴史学者かつマルクス主義者であり、エリート理論の信奉者で、さらにはファシズム (全体主義者) でもあったロベルト・ミヒェルス (ロベルト・ミヘルス) が提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy) を確認をしてきましたが、そこにもやはり 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 の影響を見ることができます。(詳しくはこちらから💓)

ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
また、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー) 」 と同根の言葉である 「オリガルヒ (oligarch) 」 につきましても、ロシア (詳しくはこちらから💓) やウクライナ (詳しくはこちらから💓) の事例から、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 ( = ユダヤ教徒)」 (こちらもご参照💓) が存在していることも判明しました。

さらには、ウクライナとユダヤ人 ( = ユダヤ教徒) と特異な関係を、ウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認しました。 (詳しくはこちらから💓)

そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために、様々な論文を見ているところとなります。

☆『現代アメリカ政治とレオ・シュトラウス政治哲学』石崎 嘉彦
それでは早速、続きを見て参りましょう。
『 9. ポストモダンのプラトン読解とアメリカ
実のところ、アメリカの 「近代」 が 「悪」 であったのは、そこにアンチノミーが存していたからである。にもかかわらず、哲学的伝統の希薄さゆえにそのことに無自覚なまま繁栄を謳歌しているアメリカの住人たちにカント的洞察の一端なりともを示すことは、少なくともそこで哲学することを許された者たちにとって、避けて通ることのできない問題であった。そのことを心得た者には、言論による説得の限界を突破するさまざまな手法を駆使してでも、それを周知させるべき責務が課されていたはずである。

レオ・シュトラウス
シュトラウスは、マイモニデスやアル・ファーラービーらのユダヤ・イスラームの哲学者たちから、ロゴスがレトリック (Rhetoric) を排除するものでないことを学んでいた。これまで見てきたように、シュトラウス政治哲学をアメリカに根付かせるのに最も貢献した作品として 『自然権と歴史』 を挙げることに異論はないが、そこにおいてさえ、その論述や議論の展開や文章表現法のなかに、ユダヤ・イスラームの伝統のなかで保持されてきた著述技法が駆使されていたことからも、そのことは理解される。そこで比喩、隠喩、寓意などの技法が用いられていることは、批判者の側からも、またシュトラウシアンの側からも、指摘されているとおりである。敬虔な欺瞞 (pious fraud) や高貴な嘘 (noble lie) の語で言い表されているものもその一部である。
シュトラウスは、そのようなレトリックあるいは著述技法の有効性を認めていたプラトンの重要性を、十二分に認識していた。シュトラウスは、キリスト教的伝統のなかで軽視ないし無視されていたプラトン読解を、ユダヤ・イスラーム的伝統から受け継いだ。彼が受け継いだ読解によって解されるプラトンには、政治的迫害のなかにあってさえ真理探究の道が確保され、さらに悪の権化とでもいうべき僭主政治に対して実践される正義の哲学が存していた。それは、現代の 「僭主政治」 と対峙するリベラル・デモクラシーが、それを崩壊へと導く原動力となる 「自然権」 を根付かせるために学ぶべき多くのことを教えてくれる。しかもそれは、ニヒリズムによって行く手を遮られた近代人に、それを克服する方途を示唆してくれる。』
ということで、本日はここまでとさせて頂きます。
続きは次回に♥
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