2022-12-17 (Sat)

こちらは、以下の 『ZeroHedge』 さん記事の翻訳となります。
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☆Lessons From The "Nifty Fifty"
執筆者 : ランス・ロバーツ氏 経由 : RealInvestmentAdvice.com
先日、バンク・オブ・アメリカ (BofA) は、「ニフティ・フィフティからの 5 つの教訓」 を取り上げました。もちろん、「ニフティ・フィフティ」 の重要性をよくご存じでない方には、説明する価値があると思います。
この 「ニフティ・フィフティ」 とは、1960 年代から 70 年代にかけて最も人気のあった 50 銘柄の大型株のことです。これらの 「誰もが知る」 銘柄は極端なバリュエーションで取引され、ゼロックス (XRX)、IBM、ポラロイド、コカコーラ (KO) といった名だたる企業が含まれていました。これらのニフティ・フィフティ銘柄の多くは、株価収益率 (PER) が利益の 100 倍という高水準にありました。しかし、このような高いバリュエーションにもかかわらず、投資家は成長実績や配当増額を理由に株を購入したのです。こうした背景には、インフレの影響がありました。
ウォール街では、「ニフティ・フィフティ」 と呼ばれる銘柄が、「買って絶対に売らない」 だけの 「一決 (one-decision) 」 銘柄として、投資家に売り込まれていました。
「グロース株における大馬鹿者は、それを買う者ではなく、それを売る者である」 - カール・ハサウェイ、モルガン・ギャランティの副社長、1973 年 3 月。
これらの銘柄は、1970 年代初頭の強気相場を支えました。しかし、当然のことながら、投資家が繰り返し学んできたように、価値を過大評価したものは、やがて平均に回帰するものです。1973 - 74 年の弱気相場は 「ブラック・ベア・マーケット (Black Bear Market) 」 と呼ばれ、その大幅な下落は投資家に 「株式は死んだ」 と確信させたほどでした。
BofA のマイケル・ハートネット氏が指摘するように、1965 - 1980 年と今日との間には、マクロ的に重要な類似点がいくつか存在します。
・1965 - 68 年 : ベトナム戦争と 「偉大なる社会 (Great Society) 」 政策のための政府支出に、ユニオン (労働組合) 結成と緩和的な FRB が重なり、インフレが促進されました。その結果、小型株とハイテク株が人気を博しました。
・1969 - 73 年 : ブレトンウッズの終焉と賃金・物価統制の失敗によって、ボラティリティとインフレが急増しました。株式と債券は実質的にアンダーパフォームとなりました。
・1974 - 79年 : オイルショック、電力不足、食料価格ショック、賃金価格上昇スパイラル、財政逼迫によりスタグフレーションに突入しました。
・1969 - 73 年 : ブレトンウッズの終焉と賃金・物価統制の失敗によって、ボラティリティとインフレが急増しました。株式と債券は実質的にアンダーパフォームとなりました。
・1974 - 79年 : オイルショック、電力不足、食料価格ショック、賃金価格上昇スパイラル、財政逼迫によりスタグフレーションに突入しました。
これらの現象は、より短い期間ではありますが、今日においても、その証拠が見受けられます。特に 60 - 70 年代は、インフレの高進、リセッション、弱気相場が繰り返された時代でもありました。1965 年から 1980 年までの約 15 年間、インフレ調整後の投資家のリターンは年率でほぼ▲ 10 %で推移しました。

同じことを繰り返す FRB
今日、私たちは多くの点で、市場の類似性を目の当たりにしています。高インフレと連邦準備制度理事会 (FRB) による積極的な利上げキャンペーンの中で、投資家は一握りの業界トップクラスの銘柄を買っています。
70年代、連邦準備制度理事会はインフレとの戦いに没頭していました。ブレトンウッズ体制が崩壊し、賃金・物価統制の失敗と石油の禁輸措置が重なり、インフレが急進しました。この高騰により、市場は金利上昇の重圧に押しつぶされそうになりました。その後も続くオイルショック、食料品価格の高騰、賃金高騰、財政逼迫により、70 年代の終わりまでスタグフレーションが続きました。
最も注目されたのは、FRB のインフレ対策でした。今日と同じように、FRB は外生的要因から生じるインフレ圧力を鎮めるために金利を引き上げたのです。70 年代後半にはオイルショックがあり、石油価格が製造業集約型経済に影響を及ぼし、インフレ圧力が発生しました。一方、今日のインフレは、供給制約のある経済に対して需要を喚起する金融介入の結果生じたものです。
FRB は 60 年代から 70 年代にかけて、インフレ圧力を抑えるための行動を繰り返しました。その結果、市場や経済の低迷が繰り返されることとなりました。最も顕著だったのは 1973 年から 1974 年にかけての期間でした。FRB がインフレ打破のために金利を 5.5 %から 13 %に引き上げると、市場は 50 %近くも暴落したのです。

FRB は、再び、賃金が上昇している時に、急騰するインフレと戦っているのです。当然のことながら、問題は、賃金が上昇して企業の利益率に影響を与えているにもかかわらず、インフレのペースに追いついていないことです。
(実質賃金の年間変化は、実質インフレ率に追いついていない)

「ニフティ・フィフティ」 の時代と同様、市場のリーダーシップ銘柄はコスト上昇、マージン圧力、業績修正に最終的に脆弱であるということです。このような理由から、現在の弱気相場が終わるには、バリュエーションが重要な鍵を握っていると言えるでしょう。
バリュエーションが鍵を握っている
1960 年から 1982 年にかけて、バリュエーションが大幅に低下し、投資家は何度も市場の大幅下落に見舞われました。前述のように、連邦準備制度理事会は度重なるインフレと粘り強く戦っていました。その結果、市場のボラティリティは弱気相場とリセッションで投資家に打撃を与えました。1974 年の最終的な弱気相場が注目されますが、その前に 3 つの弱気相場があったことはほとんど知られていません。インフレ調整後の実質的なリターンは、この期間を通じて大幅にマイナスで推移していました。不幸にも、1982 年を迎え、バリュエーションが利益の 23 倍から 7 倍へと下落する頃には、「ニフティ・フィフティ」 はもはや選択されるポートフォリオではなくなりました。

残念ながら、2022 年のこれまでの調整にもかかわらず、バリュエーションは依然として過去の強気市場のピークを大きく上回っています。連邦準備制度理事会はインフレ対策に全力を注いでいますが、2023 年の経済成長率の鈍化に対して、収益と利益率はまだ調整されていません。このことは、それが起こると、市場がウォール街の予想をアンダーパフォームし続ける新たな局面を迎える可能性を示唆しています。

高いバリュエーション水準、インフレ、そして 「ポール・ボルカー」 のような積極的な FRB を考慮した場合、スタグフレーションの時期が続き、市場はかなり広範囲にわたって、しかしフラストレーションのたまるレンジで取引される可能性があります。マイケル・ハートネット氏が言うように :
「バリュエーションも重要な鍵になります。今日の 60 / 40 ポートフォリオの混乱は、市場が行き過ぎた挙句に、最終的に修正される歴史的なエピソードに似ていると思います。S&P 500 の CAPE レシオ (Cyclically Adjusted Price-to-Earnings Ratio / 景気循環調整後の株価収益率) のピークは、60 / 40 の頂点と一致しており、リセットするのに何年も要する場合があります。「ニフティ・フィフティ」 の経験では、バリュエーションは徐々にリセットされ、我々が過去 10 年間に慣れ親しんできた一時的に上手くいくというよりは、ジワジワとしたものになりました。」
ニフティ・フィフティからの 5 つの教訓
もし我々が本当にあの 「 1970 年代のショー」 のようなものを繰り返しているとしたら、投資家が考慮すべきことがいくつかあります。
今後 10 年間、過去に経験した以上に不安定な市場を乗り切るためには、リスク管理が重要になるでしょう。
歴史的に見れば、バリュエーション回帰の時期であり、連邦準備制度理事会による金融政策介入が少なくなる可能性があるためです。
しかしながら、リスク管理は、特に株式と債券の相関が過去より強くなる可能性がある場合、「安全な戦略はない」 ことも意味します。「バイ・アンド・ホールド」 や 「パッシブ・インデックス」 は、よりアクティブな戦略に取って代わられる可能性が高く、パフォーマンスと資本保全が重要な要件となるでしょう。
最も重要なことは、投資家は、強固なバランスシート、弾力的なキャッシュフロー、将来の成長への高い見通しを持ち、それを継続する企業を優先し始めるべきだということです。堅実なビジネスモデルを持ち、株主への配慮 (配当) を重視する企業は、将来の成長が過大に約束されている企業よりも重要な働きをすることになるでしょう。
最後に、マイケルが 「ニフティ・フィフティ」 から学んだ 5 つの教訓を紹介しましょう。
2 つは弱気なものです :
1) FRB がインフレ対策をしているときに、市場のリーダーシップ銘柄を買ってはならない、そして、
2) 「激安バリュー銘柄」 はバリューの罠となる可能性がある。
3 つは強気なものです :
3) 積極的なアセット・アロケーション (資産配分) の見直しは不可欠である。
4) グロース株は優美に年を重ね、配当のあるバリュー株に成熟することができる ; そして、
5) 弱気相場でも大勝利する銘柄は存在する。
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