2022-10-27 (Thu)

こちらは、以下の 『ZeroHedge』 さん記事の翻訳となります。
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☆Americans Just "Lost" $300 Billion In Savings Due To An Excel Spreadsheet Revision
先週、経済分析局は、第2四半期 GDP の最終改定値と同時に、数年前に遡る国民経済計算の改定値も発表した。この発表は、米国経済の現状を知る上で極めて重要な意味を持ち、良いニュースと悪いニュースが含まれている。
まず、良いニュースだが、今回の改定は、経済学者を悩ませてきたデータの難問、すなわち GDP と GDI (国内総所得 / Gross Domestic Income) の間の歴史的な大きなギャップ (※)を解消するのに役立った。
バンク・オブ・アメリカ (BofA) のマイケル・ゲイペン氏が説明するように、パンデミック後、GDP は小幅増に修正されたが、GDI は大幅に減額修正されたのである。今年前半に経済活動の伸びが著しく減速したのか (GDP からの事前シグナル)、それとも緩やかに成長したのか (GDI からの事前シグナル) をめぐる議論において、最新の改定値は GDP がリアルタイムでより正確なシグナルを送ったという見方を示している(そう、バイデン政権が語るのとは逆に減速していたのである)。
それ自体は、米国経済が 22 年上半期にリセッションに陥ったかどうかの議論を解決するものではないが (実際には、そうだったが、この判断は超政治的な問題で、中間選挙前には行われないだろう)、景気回復の勢いが著しく減速したことは確かで、企業の活動再開や家計支出のサービス分野への移行にもかかわらず、このことは確認されている。結論 : 修正後の実質 GDI は今年第 1 四半期と第 2 四半期にそれぞれ前期比 0.8 %と 0.1 %の上昇にとどまった。

非常に悪いニュースは、予想通り、この修正によって、米国の消費者はデータで示唆されたよりもさらに悪い状態にあることが確認されたことである。はるかに悪い状態である:個人所得は 2017 年と 2018 年の改定後はほぼ横ばいだったが、2021 年までの 3 年間ではより急激に高く改定されたが、これは主に非報酬所得源を考慮したものである。つまり、インフレと個人消費の上方修正を調整した後、個人可処分所得の割合で測定される貯蓄率は、2021 年に一貫して低く修正された。その結果、2021 年末の貯蓄率は、前回の 7.9 %から 7.3 %と報告された。

2022 年、貯蓄率は前回の 5.1 %から 22 年第 2 四半期には 3.4 %へとさらに修正された。これは、「過剰貯蓄」 という説明に反して、家計は、特に食料品やエネルギーなどの非裁量品目 (必需品) のインフレ率が急速に上昇した時期に、支出を支えるために、実際に貯蓄率を前回報告より引き下げたことを裏付けている。

ドル換算すると、2022 年 8 月時点の個人貯蓄は 1 兆ドル弱 (可処分所得 18 兆 7,000 億ドルに対して) であったのが、実際は 6,500 億ドルに過ぎず、3,000 億ドルの貯蓄 - つまり富 - が減少したことになる。もちろん、商務省の(誤った)スプレッドシート以外のどこにも存在しておらず、政治的に後押しされて、中間選挙に向けてはるかに高い (したがって健全な) 値を示すようになっているかも知れないが、事前予想の数字と比べ、この数値が下がったのは明らかだ。
この予想外の下方修正について、パンテオン・グローバルは、アメリカ人は、「以前のデータが示唆していたよりもはるかに大きな割合でパンデミック貯蓄を使い果たした。新しいデータによると、貯蓄残高のピークは昨年 8 月の 2.1 兆ドルで、約 6,300 億ドル (約 31 %) が費やされた。」 と述べている。

JPモルガンのエコノミストも、「家計の過剰貯蓄は第2四半期時点で所得の 10 - 13 %に達していたが、先週の米国の (データの) 修正で大きく打撃を受けた。つまり、米消費者の貯蓄バッファーは以前の 「試算」 よりも約 30 %低かっただけでなく、これはダイレクトに所得に連動するので、貯蓄率がパンデミック前の水準を 5 %下回っている現在、この蓄えは来年初頭までにほぼ消化されるだろう。」 と書いている。
意訳 : あのバイデン景気刺激策の結果、エコノミストは 2 兆ドル以上の過剰貯蓄があり、したがってリセッション (不況) シナリオでも米国経済は安定すると主張していたが、それらは殆ど払拭され、下のグラフが示すように、ほんの数ヶ月でなくなる見込みである。

中産階級は従来予想されていたよりも遥かに貧しくなっており、次の景気刺激策は、財政的なものであれ ( 11 月以降の議会の分裂を祈る)、金融的なものであれ、そう簡単には実現しないのである。
***
※三面等価の原則 : 一国の経済において、生産 (付加価値)、分配 (所得)、支出 (需要) の 3 つの側面でみた額が、一定期間が経過した後 (事後的) には等しくなることを指す、マクロ経済学上の原則のこと。生産面のみならず、所得面や支出面の視点から評価することで、経済構造の多面的な把握や景気動向の予測等への活用ができる。国内総生産 (GDP)= 国内総所得 (GDI) = 国内総支出 (GDE)。

☆米経済、2021年は従来発表より堅調に終了-GDP年次改定が示す
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