LMEメンバーが数十億ドルのマージン・コールを不履行したが、LMEはデフォルトを宣言しようとしない

2022-10-18 (Tue)

こちらは、以下の『ZeroHedge』さん記事の翻訳となります。
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☆An LME Member Has Defaulted On Billions In Margin Calls, But The LME Doesn't Want To Declare Default

ラッセル・クラーク（元ホースマン・グローバル）著、Capital Flows and Asset Markets に掲載

多くの商品と同様に、ニッケル価格もコロナ禍以降の安値から急騰しています。しかし、今週は事実上 2 倍に急騰し、今週初めに一時 10 万ドルの高値に達した。

この動きに対して、LME （ロンドン金属取引所、London Metal Exchange）はニッケルの市場を閉鎖し、取引をキャンセルした。

なぜ、このようなことをしたのだろうか。基本的には、大手会員（中国）がマージン・コールをする時間を稼ぐため（取引をキャンセルすることで金額を減らすため）である。しかし、実際には、これは会員によるデフォルトであり、LMEはその会員をデフォルトに陥れないことを選択した。

2018 年の Einer Aas （ノルウェーの著名投資家）のデフォルトを見れば、これが名実ともにデフォルトである理由がわかるだろう。Einer Aas はマージン・コールを行うことができなかったとき、彼は破産した。彼のデフォルト・ウォーター・フォール（あらかじめ清算参加者が破綻、債務不履行に陥った場合を想定し、所定の順位により当該損失を補填する仕組みのこと）は以下の通りである。彼の最初の証拠金は取られ、その後、彼のデフォルトの資金拠出が行われた。金額は不明だが、3,000 万ユーロ程度と思われる。その後、クリアリング・ハウスが 700 万ユーロ、そして商品サービス・デフォルト・ファンドから 1 億 700 万ユーロが拠出された。この商品サービス・デフォルト・ファンドは、クリアリング・ハウスの「生き残り」メンバーによって支払われる。クリアリング・ハウスの取引はすべてマッチングされるため、通常「生き残っている」会員は勝者、つまり取引の正しい側にいたトレーダーとなる。

LMEニッケル取引の損失は最大で 120 億米ドルと推定されている。LMEのデフォルト・ファンド（IOSCO CPMI ［BIS決済・市場インフラ委員会（CPMI）および証券監督者国際機構（IOSCO）］の情報開示 4.2）は 10 億ドルとされている。この数字が完全に正確なのか、そのすべてがニッケル市場に適用されるのか、あるいは商品ごとに分離されているのかは分からない。明らかに、マージン・コールが履行できない取引相手がいたわけで、ルールに従っていれば、破産宣告を受けてポジションを売却し、損失はLME、そして生き残ったメンバーが負担するはずであった。

しかし、LMEは取引を停止し、価格を 10 万米ドルから 5 万米ドルに引き下げ、金曜日まで市場を閉鎖し、値動きを 1 日 10 ％に制限することにした。

これは何を意味するのだろうか？我々は、ある主要な取引相手が破綻したはずなのに、清算機関からこっそり救済を受けていることを知っている。生き残りの会員に資本増強を求めるのではなく、価格を人為的に調整し、勝ち分を減らしているのだ。これらのすべては、全会員に相談することなく、我々が知る限り、ある有力な会員の利益のために行われたのである。前述したように、2019 年に大規模なクリアリング・ハウス・メンバーがデフォルト・ウォーター・フォールの改革を提言した。