2022-08-03 (Wed)

本日のキーワード : ガリツィア、ウクライナ、ポーランド、ユダヤ人、ユダヤ教、キリスト教、フリーメイソン
Introduction to Two Treatises on Jews and Freemasonry: Édouard Drumont and Nicolae Paulescu
ユダヤ人とフリーメイソンに関する二つの論考の紹介:エドゥアール・ドリュモンとニコラエ・パウレスク ⑤

Jewish Freemasonry: Two Treatises by Éduard Frumont & Nicholae Paulescu
ユダヤ人フリーメイソン:エドゥアール・ドリュモン&ニコラエ・パウレスクによる二つの論考
with an Introduction by Alexander Jacob
アレクサンダー・ジェイコブによる序文付き
Contents
目次
Introduction — Alexander Jacob
序文 - アレクサンダー・ジェイコブ
I. “The Freemasons” (Jewish France, Book VI, Chapter 1) — Édouard Drumont
I. “フリーメイソン” ( 『ユダヤ系フランス人』 第六巻第一章 ) - エドゥアール・ドリュモン
II. “Freemasonry,” from The Hospital, the Qur’an, the Talmud, the Kahal, and Freemasonry, Ch. V – Nicolae Paulescu
II. “フリーメイソン” ホスピタル、コーラン、タルムード、カハルから 第五章より - ニコラエ・パウレスク
Nicolae Paulescu: Freemasonry
ニコラエ・パウレスク : フリーメイソン
…Paulescu was also involved in Romanian political movements and influenced Corneliu Zelea Codreanu, the leader of the Iron Guard. In 1922, he partnered with Codreanu’s anti-Semitic friend, Prof. A.C. Cuza, to create a political group called the National Christian Union. In 1925, Paulescu joined Cuza’s later organization, the National Christian Defense League as well.
パウレスクはルーマニアの政治運動にも関与し、鉄衛団の指導者であるコルネリウ・ゼレア・コドレアヌに影響を与えた。1922 年には、コドレアヌの反ユダヤ主義の友人である A.C.クザ教授と組んで、「国民キリスト教連合」 という政治団体を設立する。1925 年、パウレスクは、クザ教授の後続組織である国家キリスト教防衛同盟にも参加した。

コルネリウ・ゼレア・コドレアヌ
Nicolae Paulescu’s sociological writings include Philosophical Physiology: Instincts Social — Passions and Conflicts — Moral Remedies (1910), which advocated the regeneration of the population through Christian education. Paulescu’s most famous book was the second volume of “philosophical physiology” which was entitled Philosophical Physiology: Hospital, Quran, Talmud, Cahal, Franc-Masonry (1913). He later wrote more works on the Jewish Problem, including Philosophical Physiology: The Synagogue and the Church to the Pacification of Mankind, 2 vols, 1923; The Judeo-Masonic Plot against the Romanian People, 1924; The Degeneration of the Jewish Race, 1928, Jewish Debauchery, 1928; and Interpretation of Revelation, the future fate of the Jews, 1941.
ニコラエ・パウレスクの社会学的著作には、『哲学的生理学』 がある。『社会的本能 - 情熱と葛藤 - 道徳的救済策』 ( 1910 年) は、キリスト教教育による国民の再生を提唱したものである。パウレスクの最も有名な著書は、『哲学的生理学』 の第 2 巻で、『哲学的生理学 - ホスピタル、コーラン、タルムード、カハル、フリーメイソン』 ( 1913 年) と題されたものであった。彼はその後、さらにユダヤ人問題に関する著作を書き、その中には 『哲学的生理学』 も含まれている。『人類の平和のためのシナゴーグと教会』 (全 2 巻、1923 年)。『ルーマニア人に対するユダヤ・メイソンの陰謀』 ( 1924 年)、『ユダヤ民族の 退廃』 ( 1928 年)、『ユダヤ人の堕落』 ( 1928 年)。そして、『黙示録の解釈 - ユダヤ人の将来の運命 - 』 ( 1941 年)。

ジョージ・ワシントン・メイソン国立記念碑の庭園
In The Hospital, the Koran, the Talmud, the Kahal and Freemasonry, Paulescu first explains the duties of doctors and relates hospitals to the notion of Christian charity: “Hospitals are an inspiration of Christian charity.” He then considers the two other religions that claim to cure the illnesses of mankind, Islam and Judaism, both of which he considers as opposed to Christian morality. Islam and Judaism are both characterised by a cruel desire for possessions and dominion but the Muslim Arabs are superior to the Jews in that they possess a real valor whereas the Jews “manifest themselves only through cowardice.”
『ホスピタル、コーラン、タルムード、カハル、フリーメイソン』 の中で、パウレスクはまず医師の職務を説明し、病院をキリスト教の慈善の概念と関連付けている。 「病院はキリスト教の慈愛の精神である」。次に、人間の病気を治癒すると主張する他の 2 つの宗教、イスラム教とユダヤ教を、キリスト教の道徳と対立するものとして考察している。イスラム教とユダヤ教は、ともに所有と支配に対する冷酷な欲望を特徴としているが、イスラム教徒のアラブ人がユダヤ人より優れているのは、ユダヤ人が 「卑怯さによってしかその能力を発揮できない」 のに対し、彼らは真の武勇を備えている点である。

ジョージ・ワシントン・メイソン国立記念碑 (バージニア州)
Paulescu begins his study of Judaism with the principal legal text of the Jews, the Talmud, which uses usury, fraud and perjury to rob and enslave the Gentiles. The development of the Jewish political ambition is accomplished through the “Kahal,” the Jewish governing body typical of Jewish communities well into the twentieth century. The Kahal conceives of the Jewish nation as one based on “the Talmudic dogma of the chosen people, a doctrine according to which the Jews must not merge with other nations, because God has promised them to possess the whole earth and to rule the world.” He demonstrates the financial and social depredations wrought by Jewish immigration into European lands and discusses Freemasonry too within the context of the resolute war that the Jews have been conducting against Christianity through the ages by means of the various religious heresies and political revolutions that they have fostered in Europe.
パウレスクはユダヤ教の研究を、ユダヤ人の主要な法律書であるタルムードから始める。タルムードは、異邦人から金を奪い、その奴隷とするために、高利貸し、詐欺、偽証行為を用いる。 ユダヤ人の政治的野心の展開は、“カハル” を通して達成される。これは、20 世紀のユダヤ人社会の典型的な統治組織である。カハルは、ユダヤ人の国家を 「タルムードにおける選ばれし民の教義、すなわち神が全世界を所有しかつ全世界を支配することを約束したので、ユダヤ人は他の諸民族と融合してはならないという教義」 に基づく国家として構想している。彼は、ユダヤ人のヨーロッパへの移民がもたらした経済的・社会的荒廃を示し、フリーメイソンについても、ユダヤ人がヨーロッパで育んだ様々な宗教的異端と政治的革命によって、時代を超えてキリスト教に対して行ってきた確固とした戦争という文脈で論じている。



☆『Introduction to Two Treatises on Jews and Freemasonry: Édouard Drumont and Nicolae Paulescu』 The Unz Review • An Alternative Media Selection
本日の書物 : 『ガリツィアのユダヤ人 (新装版) : ポーランド人とウクライナ人のはざまで』 野村 真理 人文書院
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 十字軍時代に始まる逃走において、【ユダヤ人をポーランドへ引き寄せたもの】、それは、【ポーランドの王たちの手厚い保護政策】である。【ユダヤ人のあいだでは、ポーランドという地名は、ヘブライ語で 「ここにとどまれ」 を意味する 「ポ・リン」 に由来すると言い伝えられた】。『東方ユダヤ人の歴史』 の著者ハイコ・ハウマンによる紹介を引用しよう。
イスラエルの民は見た。苦難がたえず新たに繰り返され、悪しき定めがいや増し、迫害が増大するさまを。隷属が広がり、悪の支配が次から次へと悲運をもたらし、追放に追放を重ねるさまを。その憎悪に耐えることは、もはや困難であった。―― そこで彼らは旅に出て、目を凝らしつつ、安寧を見出すために彼らが進むべき正しい道を問うた。するとそのとき、天から一葉の紙片が舞い落ちた。【 「ポーランドへ向かえ」 】と。
【かくして彼らはポーランドへ行き、王に黄金の山をまるごと贈る】と、王は礼をつくして彼らを受け入れた。神も彼らのことを心に掛け、彼らが王と諸侯の恩恵にあずかれるよう配慮された。[引用中略]
[ポーランドという] この国の名もまた、聖なる源、すなわちイスラエルの民の言葉に由来すると信じる者がいる。というのも【イスラエルの民がこの地にやって来たとき、彼らが 「ポ・リン」 と言った】からである。【これは 「ここにとどまれ」 という意味】で、【彼らは、神が散り散りになってしまったイスラエルの民を再びお集めになるまで、われらはここに宿ることにしよう、と考えた】のだ。
私たちの父祖は、このように語り聞かせてくれたものである。

☆テレ朝 news 「ポーランドの港に大量の戦車 ウクライナ支援の拠点」

この伝説は、西ヨーロッパで迫害に苦しむユダヤ人にとって、ポーランドは希望の地であり、またポーランドの王にとって、ユダヤ人は黄金の山をもたらす人びとであったことを示している。【商業や職人業がいまだ未発達なポーランドで、王たちはユダヤ人移住者の経済的価値に着目した】。ヴィエルコポルスカ公国のボレスワフ敬虔公は、一二六四年の【 「カリシュの特権」 】によって【ユダヤ人を 「王の隷属民」 と規定】し、【ユダヤ人が支払う税や、王の必要に応じてユダヤ人が調達する金と引きかえに、ユダヤ人を法的に王権の直接的な保護の下におく】。ユダヤ人には、経済活動の自由や生命および財産の安全、宗教の自由が保障され、ユダヤ人で構成する共同体の行政と裁判をユダヤ教の宗教法に従って自治的に執り行う権利も認められた。
【カリシュの特権は、その後のポーランド王たちがユダヤ人に認めた権利の基礎となる】。一三三四年のカジミェシュ三世大王は、【ヴィエルコポルスカのユダヤ人に対して特権の原則的有効性を認証】し、一三六四年と一三六七年の規定によって、【その適用範囲をヴィエルコポルスカから大王の全支配領域へと拡大】した。大王は、王の隷属民たるユダヤ人を当時のポーランドの都市で通用していたマグデブルク法等の都市法の適用対象から除外し、【王が任命する地方官 (ヴォイェヴォダ) あるいは王自身の裁判権の下におき、ユダヤ人に対して土地や家屋を取得する権利も含め、大幅な経済活動の自由を与えた】。十字軍時代の迫害の後、【西ヨーロッパでは、黒死病の流行が再び大規模なユダヤ人迫害を引き起こした一四世紀半ば】にあって、

カジミェシュ三世大王による厚遇は【ポーランドへのユダヤ人の移住を促進】し、ルブフ (一三五六年)、サンドミェシュ (一三六七年)、クラクフ近郊のカジミェシュ (一三八六年) をはじめ、【ポーランドの多数の都市にユダヤ人居住地区ができる】。カジミェシュ三世大王が認めた特権は、後にその適用範囲においてさまざまな制約を加えられながらも、基本的には十八世紀末のポーランド分割にいたるまで継承された。』

「神の創造と人間の罪による堕落」 および 「神による人間の再創造」
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、ユダヤ人オリガルヒの手によって、戦争を引き起こし、国内が荒廃する一方のウクライナで、その南西部を中心 (ポーランド南部も含む) とした 「ガリツィア」 という地域における、ポーランド人・ユダヤ人・ウクライナ人の非常に複雑な関係を、歴史的事実に基づいて解説がなされている良書で、本書を御覧になれば、「なぜ、ユダヤ人が嫌われるのか」 が理解でき、現在のウクライナにおける戦争をもたらしたユダヤ人オリガルヒらの戦争目的も正しく推測することができるようになる当ブログお薦めの書物となります。少なくとも、「ユダヤ人は一方的な被害者である」 とか、「ウクライナがかわいそう」 という的外れな考え方が、本書一冊だけで消し去れること間違いなしで、ユダヤ・キリスト教的善悪二元論でしか物事を思考できなくなっている多くの日本国民に広く読まれるべきだと考えます。

それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。
(死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)
※( )内は前回の数値

☆Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE
アメリカ : 1,028,341(1,027,846)÷90,858,011(90,723,363)=0.0113・・・(0.0113) 「1.13%(1.13%)」

イタリア : 171,439(171,232)÷20,837,233(20,772,833)=0.0082・・・(0.0082) 「0.82%(0.82%)」

日本 : 32,190(32,061)÷11,904,980(11,695,380)=0.0027・・・(0.0027) 「0.27%(0.27%)」

【世界の十字路】反迫害 23 年 中共の本質を見抜き、暴露した人々│TEASER
さて、これまでの流れを、簡単に確認しておきますと、まず、出発点として、カール・マルクス (1818 - 1883) が生まれる約 200 年ほど前の時代 (日本で言えば、戦国時代から江戸時代初期にかけての時代) に、ドイツの神秘主義者であるヤーコプ・ベーメ (ヤコブ・ベーメ、1575 - 1624) という名の人物がいて、その後の 「ドイツ思想」 に決定的な影響を与えた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」・「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 なるものが世に生まれることになります。(詳しくはこちらから💓)

ヤーコプ・ベーメ(ヤコブ・ベーメ)
そのベーメの言っていたことというのは、次のようなものでした。
世界は本来壊れているものであり、それを直すことができるのは正しい者だけである (詳しくはこちらから💓)
そして、その影響を受けたのがプロイセン (ドイツ) の哲学者イマヌエル・カント (1724 - 1804) で、彼が言っていたことは、次のようなものでした。

イマヌエル・カント
たとえ世界を直すことができなくても、私たちは常に世界を直すことができると仮定して行動しなければならない (詳しくはこちらから💓)
また、ドイツ観念論を代表する思想家ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル (1770 - 1831) も影響を受けていて、そんな彼が言っていたことは、次のようなものでした。

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
世界が固定されていたとしても、私たちは無意識のうちに分裂を起こし、世界が再び崩壊し始めることになる (詳しくはこちらから💓)
で、この流れを受け継いでいるのがカール・マルクスであり、ウラジミール・レーニン (1870 - 1924) で、彼らが言っているのは次のようなことです。

カール・マルクス
私たちには、世界を壊したいという衝動はない。もし私たちが世界を壊すとすれば、それは私たちが社会とその主人たちからそうすることを学んだからである

ウラジーミル・イリイチ・レーニン
われわれは、世界を固定するために、意識の統一を強行しよう (詳しくはこちらから💓)
このように、ドイツで生まれた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 を出発点として、その後、人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想が生み出されることとなります。ここで重要な点は、そもそも全知全能なる神が創り賜うた世界にあって、なぜ悪が存在するのか、という疑問から生じた 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 が、ユダヤ・キリスト教的 “善悪二元論” をより一層強化し、世界を完全に良くするために 「悪なるもの」 を消し去らねばならない、といった浅はかな思考へと陥る人々を生じさせたことです。多くの一般的な人々も陥りやすい誤った思考ですが、特に 「極左おパヨク」 と呼ばれる連中は、その影響をもろに受けてしまうほどの 「おバカ」 で、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することで、ユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の対象物として “罪” を創り出し、その罪に対する償 (つぐな) い・贖 (あがな) いを果たねばならない、と妄信させることによって、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 の下で、人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し ( ← これが、ポリコレw)、人々の “自由” を奪う極めて 「権威主義的な統制社会の再構築」 を目指す連中の思う壺となっていて、それはまさに現在、私たちが普通に目にすることができる状況にあります。つまり、もはや隠そうともしていない、という状況にあるということです。

その 「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 については、ドイツ出身の社会学者・歴史学者かつマルクス主義者であり、エリート理論の信奉者で、さらにはファシズム (全体主義者) でもあったロベルト・ミヒェルス (ロベルト・ミヘルス) が提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy) を確認をしてきましたが、そこにもやはり 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 の影響を見ることができます。(詳しくはこちらから💓)

ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
また、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー) 」 と同根の言葉である 「オリガルヒ (oligarch) 」 につきましても、ロシア (詳しくはこちらから💓) やウクライナ (詳しくはこちらから💓) の事例から、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 ( = ユダヤ教徒)」 (こちらもご参照💓) が存在していることも判明しました。

さらには、ウクライナとユダヤ人 ( = ユダヤ教徒) と特異な関係を、ウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認しました。 (詳しくはこちらから💓)

そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために、様々な論文を見ているところとなります。

☆『初期ユダヤ教と原始キリスト教団における解釈と受容 : 「霊」と「天使」の概念の変遷を辿る』大澤 香
それでは早速、続きを見て参りましょう。
『 2 章 初期ユダヤ教
「初期ユダヤ教」 という時代区分は、狭くは前 2 ~ 後 2 世紀、広くは前 6 ~ 後 1、2 世紀など研究者によって様々に定義されるが (69)、ここでは捕囚後の第二神殿時代に再建した神殿とモーセ五書 (トーラー) を柱とする改革が行われ、トーラーの絶対的な重要性のもとに特徴的でしかし多様な聖書解釈がなされていった時期を指してこの用語を用いたい (70)。TovTov (71) は 「逆説的だがモーセ五書への関心の高まりが紀元前最後の数世紀間に多種多様な本文形式の創出に寄与した」 と指摘する (72)。本章では聖典としての聖書テキストの解釈が著しく発達した初期ユダヤ教の時代状況の中での具体的な読者・解釈者の視点に焦点を当てつつ、テキストと彼らとの間に成立した特徴的で多様な解釈を分析する。解釈者の視点を想定することによって、特にこの時期に発達した 「霊 (聖霊) 」 「天使」 の概念がいかに重要かつ特徴的な形象であったのかを示すことができるだろう。
2 - 3 「天使」 概念の発達
2 - 2 では初期ユダヤ教のコンテキストを確認しながら、当時のエルサレム神殿体制から離れたセクトグループの実践において、神殿での犠牲礼拝に置き換わる内面の回心・悔い改めを重視する 「聖化」 儀礼としての洗礼が発達したこと、この聖化のしるしとしてセクトメンバーには 「聖霊」 が与えられているとの認識があったと考えられることを確認した。 次にここでは共同体と天使概念との関係の考察へと進む 。従来第二神殿時代における発達が指摘される 「天使 」 概念について、セクトメンバーがいかに独特の認識を持っていたのかを見ることで、先のセクトにおける 「聖化」 概念の発達をより十分に理解することができであろう。
2 - 3 - 2 クムラン 共同体における 「天使」 の意義
Elior はクムラン共同体におけるセクト的祭司と天使との関係を報告 している (161)。
外典文書、ヘイハロット文学 (天の神殿)、死海文書においては、天においてイスラエルの神の傍に住む天的存在への信仰が見られる。それらは 「聖なる者たちの中の聖なる者 (4Q400 f1 i:3 - 4 ) 」 「elim (162) (神のような存在の集まり (集会) 」 「elim の子ら」 「天の子ら」 「聖なる天使たち」 「君主長たち (chief princes) 」 「内なる聖所の祭司たち」 「御前の従者たち/天使たち (ヨベ 31 : 14) 」 「知識の霊たち」 「首長たち (lords) 」 「天使たちの案内者」 と呼ばれる (163)。
以下に Elior の分析を要約しつつ、クムラン共同体の天使概念についての重要事項を 5 つにまとめながら報告する。
(5) 太陽暦 ‐ 「ヘ レニズム化」 以上の理由 ‐
クムラン共同体における天使との共同の認識と太陽暦の正当性の主張を検討したが、その内容を受けて、共同体における太陽暦の採用についての従来の 「ヘレニズム化の影響」 との説明は、より適切な言説によって捕捉されなければならないだろう。すなわち、セクト祭司体制が太陽暦の正当性の根拠を創 1 章との一致に基づいて主張していることが、より検討されなければならないだろう。
創 1 章のテキストは 1 - 2 で確認したように、祭司伝統の中で形成されたテキストである。正当な祭司の家系を主張するクムランのセクト祭司たちがこのテキストを重視したことは、ある意味当然のことであると言えるだろう。エノク伝承とノア伝承も祭司制と深く関わっていた。7 日目の安息日の遵守と 7 日を基準とする太陽暦を、創 1 章の天的秘儀の天使による開示として述べることによって根拠づけるセクト祭司たちは、自分たちの暦と礼拝の方が当時の神殿体制 (太陰暦) よりも聖書的に、そして天地創造の前から決定されている天によって根拠づけられるものとして 「正統」 であると主張したのだと考えられる (172)。単に、セクト側もヘレニズムの影響を受けた結果としての太陽暦の採用との説明に終わらず、共同体から見て当時の堕落した神殿体制を否定するための 「意図的な」 太陽暦の採用であった可能性も考えられるのではないだろうか (173)。
Elior は 「この文書の著者たち ‐ 天使と祭司を暦の秩序の共同 (ヤハド) の管理人として描いたヤハド共同体のメンバーたち ‐ にとって、この暦の規則性のいかなる侵害も罪深いものであった。宇宙の秩序と神の掟への違反であり、宗教の神聖を汚すものであった」 (174) と述べ、(太陽暦 / 太陰暦の) 論争の太古の起源は、① 自然の法則の設立と、その対照性と区別における天地創造の循環の設置を記述する 「天地創造物語」 と ② それらの対象物を認識し区別することの失敗によって自然の適切な秩序の侵害についての関心を語る 「洪水物」 の二つの神話にある、と述べる (175)。そしてこれらの神話は、「天使と人間 (同一ではなく、比較不可能な存在物) との間の霊的な共同作用」 を語っていると指摘する (176)。
初期ユダヤ教セクト共同体において、天地創造物語と洪水物語における 「神の創造と人間の罪による堕落」 および 「神による人間の再創造」 のテーマ が特別の重要性を持っていたことは、「堕落」 した世にあって回心 (共同体への入会と掟の遵守) による 「聖化 (義人化) と再創造」 を重視したセクト共同体の実践の背後にある動機を裏付けるものであるだろう (177)。
(172) マソラテキストは 1 年の日や週の数についての明確な言及はしていない。ヨベル書で言われているように、1 年の構造の計算の基礎である洪水物語は、聖書の記述とは特定の数の観点で異なっている。すなわち創世記においては洪水物語は 364 日を超えて広がる (第 2 の月の 17 日から翌年の第 2 の月の 27 日まで)。太陰暦の 1 年に 10 日加えた構成である ( 364 = 354 + 10 )。ヨベル書 (ヨベ 6 : 23 - 301、エノク 82 : 14 - 20,7520 , 75 ) は対照的に、第 2 の月 17 日を最初の日と終わりの日両方に当てはめて 364 日を数えて 1 年としており、クムランの伝承における再分配と同様である (ibid., p.105 )。
(173) Elior はまた 「問題は暦そのものではなく、聖なる時・場所・礼拝の認識の基礎である。セクト祭司は、変動する人間の認識に基づく 『人間的』 」 太陰暦を退け、『光』 の宇宙的秩序における神的な啓示である 『神秘主義の』 太陽暦を擁護した」 と述べて、太陽暦の採用と神秘主義との関連も示唆している (ibid., p.107 )。
(174) ibid., pp.105 - 6.
(175) ibid., p.110. 「それらは、聖性と純粋性の基本的なパターンの設立を一方で、もう一方で罪と不浄を説明することを目的としている。それらは神の秩序の形成と侵害を記述し、神の秩序の存在と維持を表す太陽暦の聖なる起源と、その秩序の侵害と崩壊を表す太陰暦の罪深い起源を論じる」 ( ibid )
(176) ibid.
(177) 創 1 章の天地創造の記事の中には、hwqm の語も登場している。セクトのこの実践が原始キリスト教団へと継承された際、そこでも洗礼に関して洪水物語による罪の浄めと再創造のイメージがあったことが窺われる。』
ということで、本日はここまでとさせて頂きます。
続きは次回に♥
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