2022-08-01 (Mon)

本日のキーワード : ガリツィア、ウクライナ、ポーランド、ユダヤ人、ユダヤ教、キリスト教、フリーメイソン
Introduction to Two Treatises on Jews and Freemasonry: Édouard Drumont and Nicolae Paulescu
ユダヤ人とフリーメイソンに関する二つの論考の紹介:エドゥアール・ドリュモンとニコラエ・パウレスク ③

Jewish Freemasonry: Two Treatises by Éduard Frumont & Nicholae Paulescu
ユダヤ人フリーメイソン:エドゥアール・ドリュモン&ニコラエ・パウレスクによる二つの論考
with an Introduction by Alexander Jacob
アレクサンダー・ジェイコブによる序文付き
Contents
目次
Introduction — Alexander Jacob
序文 - アレクサンダー・ジェイコブ
I. “The Freemasons” (Jewish France, Book VI, Chapter 1) — Édouard Drumont
I. “フリーメイソン” ( 『ユダヤ系フランス人』 第六巻第一章 ) - エドゥアール・ドリュモン
II. “Freemasonry,” from The Hospital, the Qur’an, the Talmud, the Kahal, and Freemasonry, Ch. V – Nicolae Paulescu
II. “フリーメイソン” ホスピタル、コーラン、タルムード、カハルから 第五章より - ニコラエ・パウレスク
Édouard Drumont: “The Freemasons”
エドゥアール・ドリュモン : フリーメイソン
…The Jewish origin and constitution of the Masonic organization are evident from the various rituals it employs in its meetings and particularly in the dramatic reenactments of Old Testament scenes depicting the revenge taken by Jews on their oppressors, such as that of Judith on Holofernes. These rituals are all intended to impress on the candidates and members the principal goal of Masonry, which is to reunite the tribes of Israel as a nation after their dispersal at the destruction of Jerusalem in A.D. 70, a destruction that must also be avenged. The particular focus of the Masonic revenge is Christianity since the great crime of the Christ in the view of the Jews is his usurpation of the supremacy of Jehovah. The essence of Masonry therefore is, as Drumont puts it, “Sympathy and tenderness for Jerusalem and its representatives; hatred for Christ and Christians: all of Masonry is contained in this.”
メイソンの組織のユダヤ的起源と体質は、その会合で行われる様々な儀式、特に旧約聖書でユダヤ人が抑圧者に復讐する場面 (ユディトがホロフェルネスに復讐した場面など) がドラマチックに再現されていることから明らかである。これらの儀式はすべて、紀元70年のエルサレム滅亡で散り散りになったイスラエル部族を国家として再統一する、というメイソンの最大の目的を、志願者や会員に印象づけるためのものである。ユダヤ人から見たキリストの大罪は、キリストがヤハウェの覇権を簒奪したことであるから、メイソンの復讐の対象は特にキリスト教に絞られる。したがって、メイソンの本質は、ドリュモンが言うように、「エルサレムとその象徴に対する共感と寛容、キリストとキリスト教徒に対する憎悪、メイソンのすべてはここにある」 のである。

『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』 ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ
The means whereby Masonry seeks to overthrow the Europeans is always a
メイソンがヨーロッパ人を打倒しようとする手段は、常に
politics of dissolution: whether it is a matter of financial companies or of secret societies, they are able to give an appearance of order and seriousness to appetites, to collective bad instincts.
解体の政治である。それが金融会社の問題であれ、秘密結社の問題であれ、彼らは欲望や集団的な邪悪な本能に、命令と深刻さを与えることができるのである。
The growing influence of Masonry on European politics has resulted in a steady dissolution of traditional European society. Thus Republicanism is, in the nineteenth century, the culmination of the French Revolution with Napoleon and Bismarck contributing to the process of Jewish bourgeois supremacy.
ヨーロッパの政治におけるメイソンの影響力の増大は、伝統的なヨーロッパ社会を着実に解体させる結果となった。こうして共和制は、19 世紀には、ナポレオンとビスマルクがユダヤ人ブルジョア至上主義の形成過程に貢献し、フランス革命の集大成となった。
In their enormous and far-sighted political task, the Jewish Masons have been aided through the centuries by ambitious mediocrities from among the European peoples who were the hosts of the Jews during the diaspora. The second part of Drumont’s essay on Freemasonry includes several detailed examples of public figures in French Republican life who have duped the public through various nefarious dealings that have been disguised by the false honors that have been bestowed upon them by the Third Republic.[3] The entire Republican ethos is indeed marked not by a desire to liberate the oppressed French populace but rather by a hatred of society. In fact, one particularly odious characteristic of Freemasonry is its contempt and hatred for the poor, which is in marked contrast to the importance of charity in the Catholic Church. And if the Masons seem occasionally to tolerate the social status quo, it is only because they wish to focus their mind more sharply on their inveterate religious enemy, the Christian Church:
ユダヤ人メイソンは、その巨大で先見の明のある政治的任務において、ディアスポラ時代にユダヤ人の受け入れ先であったヨーロッパ民族の中から、野心的な凡人たちに何世紀にもわたって助けられてきたのである。フリーメイソンに関するドラモンのエッセイの第二部には、第三共和制によって与えられた偽りの栄誉によって偽装された様々な悪質な取引を通じて、国民を騙したフランス共和制の公的人物の詳しい事例がいくつか紹介されている。共和制の精神は、抑圧されたフランスの民衆を解放したいという願いではなく、むしろ社会に対する憎悪によって特徴づけられているのである。実際、フリーメイソンの特に忌まわしい特徴は、貧しい人々に対する侮蔑と憎悪であり、それはカトリック教会における慈善活動の重要性とは著しい対照をなしている。そして、メイソンが時折、社会の現状を容認しているように見えるとすれば、それは、宗教上の宿敵であるキリスト教会にいっそう強く意識を集中させたいからにほかならない。
Thus, many in Masonry are pseudo-scholars, pseudo-orators, they hate society with a hatred that is not at all the courageous revolt of Spartacus, the bitter anger of Vindex, but like a venomous envy that smells of the [4] ante-chamber and the office; they do not intend to destroy the social edifice completely because they hope to make a place there through more or less correct procedures, but they attack the Church because it can give them only noble instructions, counsels of respect and devotion that they do not want.
このように、メイソンの多くは、似非学者、似非雄弁家であり、彼らは、スパルタクスの勇気ある反乱やウィンデクスの苛烈な怒りとはまったく違う、控え室や事務所の匂いのする毒々しい嫉妬に似た憎悪をもって社会を憎んでいる。彼らは社会的基盤を完全に破壊するつもりはなく、多かれ少なかれ適切な手続きによってそこに居場所を作ることを望んでいるからである。しかし、教会は彼らに高貴な指示、彼らが望まない尊敬と献身の助言しか与えることができないので、彼らは教会を攻撃する。



☆『Introduction to Two Treatises on Jews and Freemasonry: Édouard Drumont and Nicolae Paulescu』 The Unz Review • An Alternative Media Selection
本日の書物 : 『ガリツィアのユダヤ人 (新装版) : ポーランド人とウクライナ人のはざまで』 野村 真理 人文書院
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 ここで、【ホロコースト以前のヨーロッパのユダヤ人口の分布】を確認しておきたい。表 1 は、【ドイツ以東に位置する国のユダヤ人口】を示しているが、フランスやイギリスなど、ドイツより西に位置する国にバルカン半島の国々のユダヤ人をすべて合わせても、その数約一〇〇万人で、一九三一年当時のポーランド一国のユダヤ人口にさえ遠くおよばない。表 1 を見れば、【ヨーロッパのユダヤ人口の重心が大きく東に偏っている】ことがわかる。【ガリツィアは、ユダヤ人口が稠密 (ちゅうみつ) に存在した東ヨーロッパの一角を形成していた】。

【なぜ、ヨーロッパのユダヤ人口の分布にこの様な偏りが生じたのか】。

ガリツィアの地図 ( 20 世紀)
現在パレスティナと呼ばれる地域から、【ユダヤ人のガルート (ヘブライ語で追放) あるいはディアスポラ (ギリシア語で離散) 】が本格化するのは、この地域がローマ帝国の支配下に入って後、とくにローマの圧政に対するユダヤ人の大規模な反乱が鎮圧された AD 七〇年以後である。【パレスティナを出たユダヤ人は、北アフリカからさらにイスパニアへと渡り、あるいは別の流れは、現在のトルコ、ギリシア、イタリア半島からさらにアルプスを越え、ガリア地方の、とりわけライン川流域に住みついた】。一一世紀になると、その定住地域は神聖ローマ帝国の支配がおよんだ【中部ヨーロッパへと広がる】。【さらにこのユダヤ人が、中部ヨーロッパから東隣のポーランド王国に向けてまとまった移動を開始する】のは、一〇九六年に始まる十字軍時代のことである。
【何がユダヤ人を立ち上がらせ、何が彼らをポーランドへと引き寄せたのか】。

現代ヨーロッパにおけるガリツィアの位置
第一部では、まず第一章において、【中世のポーランド王国におけるユダヤ人社会形成】の経緯と、【一八世紀末の分割以前のポーランドにおいて、ユダヤ人が果たしたドイツ以西のユダヤ人とは異なる経済的、社会的役割】を明らかにする。ついで第二章以下では、【オーストリア帝国領ガリツィア】に地域をしぼり、【ポーランドの国家的衰退と零落をともにしたユダヤ人社会】が、一ハ世紀末のオーストリア併合後に始まるガリツィアの近代化のなかで、さらに窮乏化の様相を強めていった諸要因を検証する。』

祭司と天使の共同
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、ユダヤ人オリガルヒの手によって、戦争を引き起こし、国内が荒廃する一方のウクライナで、その南西部を中心 (ポーランド南部も含む) とした 「ガリツィア」 という地域における、ポーランド人・ユダヤ人・ウクライナ人の非常に複雑な関係を、歴史的事実に基づいて解説がなされている良書で、本書を御覧になれば、「なぜ、ユダヤ人が嫌われるのか」 が理解でき、現在のウクライナにおける戦争をもたらしたユダヤ人オリガルヒらの戦争目的も正しく推測することができるようになる当ブログお薦めの書物となります。少なくとも、「ユダヤ人は一方的な被害者である」 とか、「ウクライナがかわいそう」 という的外れな考え方が、本書一冊だけで消し去れること間違いなしで、ユダヤ・キリスト教的善悪二元論でしか物事を思考できなくなっている多くの日本国民に広く読まれるべきだと考えます。

それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。
(死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)
※( )内は前回の数値

☆Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE
アメリカ : 1,027,037(1,026,940)÷90,455,005(90,396,675)=0.0113・・・(0.0113) 「1.13%(1.13%)」

イタリア : 170,979(170,875)÷20,684,182(20,660,065)=0.0082・・・(0.0082) 「0.82%(0.82%)」

日本 : 31,946(31,898)÷11,499,018(11,372,555)=0.0027・・・(0.0028) 「0.27%(0.28%)」

さて、これまでの流れを、簡単に確認しておきますと、まず、出発点として、カール・マルクス (1818 - 1883) が生まれる約 200 年ほど前の時代 (日本で言えば、戦国時代から江戸時代初期にかけての時代) に、ドイツの神秘主義者であるヤーコプ・ベーメ (ヤコブ・ベーメ、1575 - 1624) という名の人物がいて、その後の 「ドイツ思想」 に決定的な影響を与えた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」・「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 なるものが世に生まれることになります。(詳しくはこちらから💓)

ヤーコプ・ベーメ(ヤコブ・ベーメ)
そのベーメの言っていたことというのは、次のようなものでした。
世界は本来壊れているものであり、それを直すことができるのは正しい者だけである (詳しくはこちらから💓)
そして、その影響を受けたのがプロイセン (ドイツ) の哲学者イマヌエル・カント (1724 - 1804) で、彼が言っていたことは、次のようなものでした。

イマヌエル・カント
たとえ世界を直すことができなくても、私たちは常に世界を直すことができると仮定して行動しなければならない (詳しくはこちらから💓)
また、ドイツ観念論を代表する思想家ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル (1770 - 1831) も影響を受けていて、そんな彼が言っていたことは、次のようなものでした。

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
世界が固定されていたとしても、私たちは無意識のうちに分裂を起こし、世界が再び崩壊し始めることになる (詳しくはこちらから💓)
で、この流れを受け継いでいるのがカール・マルクスであり、ウラジミール・レーニン (1870 - 1924) で、彼らが言っているのは次のようなことです。

カール・マルクス
私たちには、世界を壊したいという衝動はない。もし私たちが世界を壊すとすれば、それは私たちが社会とその主人たちからそうすることを学んだからである

ウラジーミル・イリイチ・レーニン
われわれは、世界を固定するために、意識の統一を強行しよう (詳しくはこちらから💓)
このように、ドイツで生まれた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 を出発点として、その後、人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想が生み出されることとなります。ここで重要な点は、そもそも全知全能なる神が創り賜うた世界にあって、なぜ悪が存在するのか、という疑問から生じた 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 が、ユダヤ・キリスト教的 “善悪二元論” をより一層強化し、世界を完全に良くするために 「悪なるもの」 を消し去らねばならない、といった浅はかな思考へと陥る人々を生じさせたことです。多くの一般的な人々も陥りやすい誤った思考ですが、特に 「極左おパヨク」 と呼ばれる連中は、その影響をもろに受けてしまうほどの 「おバカ」 で、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することで、ユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の対象物として “罪” を創り出し、その罪に対する償 (つぐな) い・贖 (あがな) いを果たねばならない、と妄信させることによって、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 の下で、人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し ( ← これが、ポリコレw)、人々の “自由” を奪う極めて 「権威主義的な統制社会の再構築」 を目指す連中の思う壺となっていて、それはまさに現在、私たちが普通に目にすることができる状況にあります。つまり、もはや隠そうともしていない、という状況にあるということです。

その 「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 については、ドイツ出身の社会学者・歴史学者かつマルクス主義者であり、エリート理論の信奉者で、さらにはファシズム (全体主義者) でもあったロベルト・ミヒェルス (ロベルト・ミヘルス) が提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy) を確認をしてきましたが、そこにもやはり 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 の影響を見ることができます。(詳しくはこちらから💓)

ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
また、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー) 」 と同根の言葉である 「オリガルヒ (oligarch) 」 につきましても、ロシア (詳しくはこちらから💓) やウクライナ (詳しくはこちらから💓) の事例から、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 ( = ユダヤ教徒)」 (こちらもご参照💓) が存在していることも判明しました。

さらには、ウクライナとユダヤ人 ( = ユダヤ教徒) と特異な関係を、ウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認しました。 (詳しくはこちらから💓)

そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために、様々な論文を見ているところとなります。

☆『初期ユダヤ教と原始キリスト教団における解釈と受容 : 「霊」と「天使」の概念の変遷を辿る』大澤 香
それでは早速、続きを見て参りましょう。
『 2 章 初期ユダヤ教
「初期ユダヤ教」 という時代区分は、狭くは前 2 ~ 後 2 世紀、広くは前 6 ~ 後 1、2 世紀など研究者によって様々に定義されるが (69)、ここでは捕囚後の第二神殿時代に再建した神殿とモーセ五書 (トーラー) を柱とする改革が行われ、トーラーの絶対的な重要性のもとに特徴的でしかし多様な聖書解釈がなされていった時期を指してこの用語を用いたい (70)。TovTov (71) は 「逆説的だがモーセ五書への関心の高まりが紀元前最後の数世紀間に多種多様な本文形式の創出に寄与した」 と指摘する (72)。本章では聖典としての聖書テキストの解釈が著しく発達した初期ユダヤ教の時代状況の中での具体的な読者・解釈者の視点に焦点を当てつつ、テキストと彼らとの間に成立した特徴的で多様な解釈を分析する。解釈者の視点を想定することによって、特にこの時期に発達した 「霊 (聖霊) 」 「天使」 の概念がいかに重要かつ特徴的な形象であったのかを示すことができるだろう。
2 - 3 「天使」 概念の発達
2 - 2 では初期ユダヤ教のコンテキストを確認しながら、当時のエルサレム神殿体制から離れたセクトグループの実践において、神殿での犠牲礼拝に置き換わる内面の回心・悔い改めを重視する 「聖化」 儀礼としての洗礼が発達したこと、この聖化のしるしとしてセクトメンバーには 「聖霊」 が与えられているとの認識があったと考えられることを確認した。 次にここでは共同体と天使概念との関係の考察へと進む 。従来第二神殿時代における発達が指摘される 「天使 」 概念について、セクトメンバーがいかに独特の認識を持っていたのかを見ることで、先のセクトにおける 「聖化」 概念の発達をより十分に理解することができであろう。
2 - 3 - 2 クムラン 共同体における 「天使」 の意義
Elior はクムラン共同体におけるセクト的祭司と天使との関係を報告 している (161)。
外典文書、ヘイハロット文学 (天の神殿)、死海文書においては、天においてイスラエルの神の傍に住む天的存在への信仰が見られる。それらは 「聖なる者たちの中の聖なる者 (4Q400 f1 i:3 - 4 ) 」 「elim (162) (神のような存在の集まり (集会) 」 「elim の子ら」 「天の子ら」 「聖なる天使たち」 「君主長たち (chief princes) 」 「内なる聖所の祭司たち」 「御前の従者たち/天使たち (ヨベ 31 : 14) 」 「知識の霊たち」 「首長たち (lords) 」 「天使たちの案内者」 と呼ばれる (163)。
以下に Elior の分析を要約しつつ、クムラン共同体の天使概念についての重要事項を 5 つにまとめながら報告する。
(1) 天地創造と天使 ‐ ヨベル書 ‐
天地創造の物語は、ヨベル書で御前の天使によって物語られているように、天使たちを神の最初の創造行為の産物、7 つの行為で具体化される宇宙的秩序の基礎として描いている (4Q216 Col.V ;cf. ヨベ 2 : 1 - 3 )。神は 7 日目を聖別し、それを神の全ての業のしるしとて置いた。御前の天使は続けて、神のしるしは安息日の天における守護者すなわち天使たちに与えられた、と説明する。この天における安息日遵守の天使的パターンの物語は、その終わりに神の民イスラエルの選びを置く。彼らは天使たちと共に安息日を守るのである。
(2) 天使との共同体 (ヤハド) ‐ 天上の聖所における 「天使」 と地上の聖所 における 「祭司」 ‐
セクト祭司文学、ヘイハロット文学において、天使は理想的な祭司の天的な対応物である (164)。天使たちと祭司たちは、十戒の守護者、安息日の遵守者、セクトの知識の保持者として言及され、両者は自分たちに浸礼を施して清め、犠牲を捧げ、歌い、音楽を奏し、Kedushah を朗読し、神の名前と祝福の伝統を保存し、十戒を更新し、太陽暦に基づいて天と地で守られている秘儀の時間を証明する (165)。
死海文書の著者たちにとって 「天使たちは単に天上世界での礼拝の神秘的反響や彼らの聖なる義務に特別の重要性を与える共有された詩的典礼的現実であるのではなく、外面的な表象と太古から保存されてきた根源的な存在との間の関係としての神の表現でもある」 との Elior の指摘 (166) は、セクトメンバーの天使との共同自覚は 「神との共同」 の自覚であったことを指摘するものであるだろう。 Elior は、クムラン共同体が自分たちのことを指して呼んだ 「ヤハド (共同体) 」 とは、「祭司たちと天使たちの共同」 を反映した名前であると考えられると指摘する (167)。
(161) Ibid., pp.165 - 200.
(162) 4Q400 f2 : 1 " אלי רצת "、
4Q400 f2 : 3 " אלותינויס "、
4Q286 f2a - c " אליס "
(163) ibid., p.165.
(164) マラ 2 : 7 には 「彼 (祭司) こそ万軍の主の使者 (天使) である」 とある。 ヨベル書 30 : 18 では聖なる場所で仕える祭司と天使が同一視されている。「安息日の犠牲の歌」 (4Q400 f1i:3 - 4 ) では祭司たちと天使たちが一緒に考えられている。
(165) 「安息日の犠牲の歌」 と 「祝福の巻物」 では、天の聖所で奉仕する天使の記述が頻繁に見られる (ibid.,p.167 )。「天の光の言葉」 での天の聖所の記述の背後には、地上の聖所すなわち神殿がある。「マスキールの歌」 では祭司と天使の間の境界があやふやである (ibid., p.170)。
(166) ibid., p.171.
(167) ibid. 「感謝の詩編」 1QHa 10 : 22 - 3、14 : 10 - 4、11 : 22 - 3 では 「霊において天使と共にある者たち」 について述べられており、ここからは 「霊」 を通して天使と同じ世界を共有するという関係が窺われる。 4Q285 f8 3 - 10 等には、秘儀の礼拝に参加している共同体の中の天使たちの存在が述べられている (ibid., p.172) 』
ということで、本日はここまでとさせて頂きます。
続きは次回に♥
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