2022-06-17 (Fri)

本日のキーワード : ホロコースト、ユダヤ人、革命、戦争、紛争、アメリカ合衆国
Denying Holocaust Denial
ホロコースト否認の否定 ④

None of these points were lost on a Jewish Boston Globe columnist, Jeff Jacoby. He was motivated to write a short op-ed entitled “It’s a mistake to ban Holocaust denial” (24 April). He quotes Canada’s public safety minister, Marco Mendicino: “There is no place for antisemitism and Holocaust denial in Canada.” Despite agreeing with this view, and despite “despising” Holocaust deniers, Jacoby opposes the pending law. And he explains why—though not before displaying an embarrassing ignorance and an appalling shallowness.
これらの指摘は、ユダヤ系のボストン・グローブ紙のコラムニスト、ジェフ・ジャコビー氏の目には留まらなかった。彼は、「ホロコースト否認を禁止するのは間違いだ」 と題する短い論説を執筆する気になった ( 4 月 24 日付)。彼は、カナダの公安相マルコ・メンディチーノ氏の言葉を引用している。「カナダに反ユダヤ主義やホロコースト否認の居場所はない」。この見解に同意し、ホロコースト否認者を 「軽蔑」 しながらも、ジャコビーはこの懸案になる法律に反対している。その理由は、恥ずかしいほどの無知と浅はかさを露呈するまでには至らなかったが、このように説明している。
He first informs us that Holocaust “deniers” (never defined) are “contemptible antisemites and brazen liars,” overflowing with “Jew-hatred” and seeking to “rehabilitate the reputation of Hitler.” They attempt to refute “the most comprehensively documented crime in history” by insisting that it “never occurred.” Such people deserve “all the obloquy and contempt” that one can muster, he says. To call such claims unjustified and unwarranted is an understatement of the first order; the reliance here on ad hominem attacks is a sure sign of an impending vapidity of argumentation.
彼はまず、ホロコースト 「否認者」 (定義されていない) は 「卑劣な反ユダヤ主義者で、図々しい嘘つき」 であり、「ユダヤ人嫌悪」 に満ち、「ヒトラーの名誉挽回」 を図ろうとしている、と教えてくれている。彼らは 「歴史上最も包括的に記録された犯罪」 を 「なかったこと」 にすることで反論しようとする。このような連中は 「あらゆる非難と軽蔑」 に値すると彼は言う。こうした主張を根拠がなく正当化できないと言うことは、控え目に言っても言い過ぎではないであろう。 このような人身攻撃は、議論の空虚さを示しているのだから。
Still, Jacoby opposes anti-denial laws on two grounds. First, such laws run afoul of the spirit of the First Amendment (free speech and press). More broadly, he rightly notes that “it’s dangerous to empower the state to punish ideas.” Indeed, “any government that can criminalize Holocaust denial this week can criminalize other opinions next week.” Left unspoken, though, is a key point: How is it that in Canada, a 1% minority of Canadian Jews are able to push through a law that specifically benefits them? One would think that, in Canada, a 1% Jewish minority would have, say, half the clout of the 2% minority of American Jews. But clearly not. Canadian Jews are about to prevail yet again.
しかし、ジャコビー氏は、2 つの理由で否認防止法に反対している。第一に、このような法律は、憲法修正第一条の精神 (言論と報道の自由) に反するということである。より広く言えば、「国家に思想を罰する権限を与えることは危険だ」 というのが彼の正しい指摘である。実際、「今週ホロコースト否認を犯罪にできるような政府は、来週には他の意見も犯罪にできる」。ところが、重要な点が語られないままになっている。カナダでは、1 %のマイノリティであるカナダのユダヤ人が、自分たちに特に有利な法律を押し通すことができるのはなぜだろうか?カナダでは、1 %のマイノリティであるユダヤ人が、例えばアメリカの 2 %のマイノリティであるユダヤ人の半分の影響力を持っている、と考えられるだろう。しかし、明らかに違う。カナダのユダヤ人は、またしても勝利を収めようとしているのだ。
Jacoby’s second reason for opposing such laws is that, as I noted above, they amount to “intellectual surrender.” He quotes Holocaust scion Deborah Lipstadt to the effect that such laws imply that one is unable to construct a rational argument in defense of the traditional view. And this, in fact, is true. Just look at any traditionalist account of the Holocaust, even by the most learned academician. Look at any commentary on Holocaust denial. None will address the basic issues that I cited above. None will mention a single recent revisionist book, or a single active researcher, such as Rudolf, Mattogno, or Graf. None will examine or refute a single relevant revisionist argument. None will provide a breakdown, by cause, of the infamous “6 million” deaths. These are telling facts.
ジャコビー氏がこのような法律に反対する第二の理由は、先に述べたように、この法律が 「知的降伏」 に等しいということである。彼は、ホロコーストの語り部であるデボラ・リプシュタットの言葉を引用して、このような法律は、伝統的見解を擁護する合理的な議論を構築することができないことを意味する、という趣旨のことを述べている。そしてこれは、実際、真実なのだ。ホロコーストに関する伝統主義者の説明を見れば、たとえ最も学識ある研究者であっても、その内容は同じである。ホロコースト否認に関する論評を読んでみてほしい。私が先に挙げたような基本的な問題には誰も触れていないのである。最近の修正主義者の書物や ルドルフ、マットーニョ、グラフのような現役の研究者について言及するものは皆無である。関連する修正主義者の議論をひとつたりとも検証したり、反論したりすることはない。悪名高い 「 600 万」 人の死者の原因別内訳を明らかにするものはいない。これらは事実を物語っているのだ。
For his part, Jacoby obviously has no answer. All he can do is make flat and baseless assertions: “never was a genocide more meticulously recorded by its perpetrators … or more comprehensively described by scholars and survivors”; “an immense ocean of evidence attests to the horror of the Holocaust.” Unwisely, he attempts to use General Eisenhower’s “visual evidence … of starvation, cruelty, and bestiality” to defend his point. But this fails; as he likely is unaware, Eisenhower’s 550-page postwar memoir, Crusade in Europe (1948), has not a single reference to any Holocaust, gas chambers, or Auschwitz. A single paragraph in the book (p. 439) states only that the Jews “had been beaten, starved, and tortured.” One finds absolutely no mention of mass murder, extermination, gassing, crematoria, or the like. Eisenhower is hardly a good witness for the defense. (For what it’s worth, neither Churchill’s nor De Gaulle’s postwar memoirs had any mention of Auschwitz, gas chambers, or extermination either. Ike was no anomaly.)
ジャコビー氏は、明らかに答えを持っていない。彼にできることは、平凡で、根拠のない主張をすることだけである。「ある大量虐殺が、加害者によってこれほど綿密に記録され、学者や生存者によってこれほど包括的に説明されたことはなかった。」 「ホロコーストの恐ろしさを証明する膨大な証拠がある。」 愚かなことに、彼は、アイゼンハワー将軍の 「飢餓、残酷さ、獣姦に関する目撃証言」 を用いて、自分の主張を弁護しようとしている。しかし、これは失敗だった。彼はおそらく気づいていないだろうが、アイゼンハワーの 550 頁に及ぶ戦後回顧録 『ヨーロッパにおける十字軍』 ( 1948 年) には、ホロコースト、ガス室、アウシュヴィッツについて一度も触れられてはいないのである。この本の一段落 ( 439 頁) の中で、ユダヤ人は 「殴られ、飢えさせられ、拷問された」 とだけ述べている。大量殺戮、絶滅、ガス処刑、火葬場などについては、まったく触れていないのだ。アイゼンハワーは弁護側にとって良い証人とは言い難い (参考までに、チャーチルやドゴールの戦後回顧録にも、アウシュビッツ、ガス室、絶滅に関する記述はない。アイゼンハワーは異常ではなかったのだ)。
But does all this really matter? What’s the big deal about the Holocaust? some may say. In fact, it is hugely important. The Holocaust is the lynchpin of Jewish power. It is the raison d’etre of the state of Israel. It is the number one guilt-tool used against Whites everywhere. And it is the embodiment of Jewish narcissism. When that story crumbles, the whole Judeocratic edifice may well fall, too. We should never underestimate the power of Holocaust revisionism; the Jews certainly don’t.
しかし、このようなことが本当に重要なの? ホロコーストの何が問題なんだ? という人もいるかもしれない。しかし、これは非常に重要なことなのだ。ホロコーストはユダヤ人勢力の要である。それはイスラエル国家の存在理由である。それは、あらゆる場所で白人に対して使われる、最高の罪悪感の道具である。そしてそれは、ユダヤ人のナルシシズムを具現化したものである。このストーリーが崩れるとき、ユダヤ独裁体系全体もまた崩れ去ることになるだろう。ホロコースト修正主義の威力を過小評価してはならない。ユダヤ人はもちろんそうだ。
A final thought: I’m happy to hear that Jeff Jacoby believes in free speech. It’s too bad that he doesn’t have equally strong feelings about openness and honesty, about the many problems with the Holocaust story, and about a global Jewish Lobby that is able to pass laws, ban books, and impose a cancel culture on anyone that it doesn’t like. Now, that would be an op-ed worth reading.
最後に一言。ジェフ・ジャコビー氏が言論の自由を信じていることは素晴らしいことだ。しかし、その一方で、開放性と誠実さ、ホロコーストに関する多くの問題点、そして法律や書籍の禁止、気に入らない相手へのキャンセルカルチャーの押し付けを可能にするグローバルなユダヤ人ロビーについても、同様の感情を持ち合わせていないのは残念なことである。それこそ、読むに値する論説になるのではないだろうか。




☆『Denying Holocaust Denial』 The Unz Review • An Alternative Media Selection
☆投資家サーベイ結果発表 「岸田政権、支持しますか?」
本日の書物 : 『ウクライナ紛争 歴史は繰り返す 戦争と革命を仕組んだのは誰だ』 馬渕 睦夫 ワック
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 「ロシア革命」 は 「ユダヤ人解放革命」 だった
私たちは何となく 「アメリカ」 がわかっているような気がしています。「自由の国」 「個人の努力が報われる国」 「開拓者精神の国」 「イギリスからのピューリタン移民が建国した国」 …。しかし、このレベルの理解からは、【アメリカの世界戦略】はわからないのです。アメリカが日本を攻撃した理由は、このどれにもかかわりがありません。【アメリカは、自由を守るために第一次世界大戦に参戦したのではなく、民主主義を守るために第二次世界大戦を戦ったわけでもない】のです。
先ほど述べたように、【アメリカの歴史は、ロシア革命を分水嶺として大きく二つに分けられます】。なぜそうなのか。それを解くことができれば、例えばロシア革命後のわが国のシベリア出兵の失敗の謎を解明することができるのです。
ロシア革命が、虐げられたロシア人による帝政打倒ではなかったことを、私は拙著 『国難の正体』 (総和社、新装版はビジネス社) や渡部昇一氏との共著 『日本の敵』 (飛鳥新社) の中で何度も強調しました。【ロシア革命】は、【 「亡命ユダヤ人が主導した、ロシアのユダヤ人開放のための革命」 だった】のです。


【レーニンやトロツキーを資金的に支援したのは、欧米のユダヤ人金融資本家】でした。日露戦争に際し、日本の国債を買ってくれたあのジェイコブ・シフはロシア革命家に資金を供給した一人です。
【これら金融資本家たちはロシア革命に投資】しました。ロシア革命の成功によって、打倒された【ロマノフ王朝の莫大な資産の多く】は、ロシア革命政府の手によって【欧米の投資者に還元されました】。王室の財産だけではありません。【ロシアの民衆が保有していた金 (ゴールド) 】は革命政府が没収し、【これも革命家たちの借金の返済に充てられた】のです。
本書は、ロシア革命そのものを論じるのが目的ではありませんので詳細は省きますが、【重要な点】は【 「なぜ自由資本主義の国アメリカが資本主義を否定し、国民の自由を抑圧する共産主義国ソ連を支持したのか」 ということ】です。これは、単に 「情報が十分ではなかったから、アメリカがソ連の実態を誤解した」 などといったつじつま合わせの分析で足りるとするほどの生やさしいものではありません。【 「 20 世紀がなぜ戦争の世紀であったのか」 を解く鍵】が、実は【このアメリカの態度の謎にかかっている】のです。』

かつてのポーランドの三大文化都市
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、2015 年に出版された 『アメリカの社会主義者が日米戦争を仕組んだ』 という書物を改訂し緊急出版されたものになりますが、いまウクライナで起こっていることを正しく理解ができるようになる良書で、本書一冊だけでも、国際政治のエッセンスが身に付くこと間違いなしの当ブログお薦めの書物になります。

それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。
(死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)
※( )内は前回の数値

☆Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE
アメリカ : 1,008,476(1,008,451)÷84,761,723(84,734,185)=0.0118・・・(0.0119) 「1.18%(1.19%)」

イタリア : 166,949(166,922)÷17,505,973(17,490,451)=0.0095・・・(0.0095) 「0.95%(0.95%)」

日本 : 30,749(30,733)÷8,934,078(8,918,984)=0.0034・・・(0.0034) 「0.34%(0.34%)」

さて、これまでの流れを、簡単に確認しておきますと、まず、出発点として、カール・マルクス (1818 - 1883) が生まれる約 200 年ほど前の時代 (日本で言えば、戦国時代から江戸時代初期にかけての時代) に、ドイツの神秘主義者であるヤーコプ・ベーメ (ヤコブ・ベーメ、1575 - 1624) という名の人物がいて、その後の 「ドイツ思想」 に決定的な影響を与えた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」・「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 なるものが世に生まれることになります。(詳しくはこちらから💓)

ヤーコプ・ベーメ(ヤコブ・ベーメ)
そのベーメの言っていたことというのは、次のようなものでした。
世界は本来壊れているものであり、それを直すことができるのは正しい者だけである (詳しくはこちらから💓)
そして、その影響を受けたのがプロイセン (ドイツ) の哲学者イマヌエル・カント (1724 - 1804) で、彼が言っていたことは、次のようなものでした。

イマヌエル・カント
たとえ世界を直すことができなくても、私たちは常に世界を直すことができると仮定して行動しなければならない (詳しくはこちらから💓)
また、ドイツ観念論を代表する思想家ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル (1770 - 1831) も影響を受けていて、そんな彼が言っていたことは、次のようなものでした。

ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
世界が固定されていたとしても、私たちは無意識のうちに分裂を起こし、世界が再び崩壊し始めることになる (詳しくはこちらから💓)
で、この流れを受け継いでいるのがカール・マルクスであり、ウラジミール・レーニン (1870 - 1924) で、彼らが言っているのは次のようなことです。

カール・マルクス
私たちには、世界を壊したいという衝動はない。もし私たちが世界を壊すとすれば、それは私たちが社会とその主人たちからそうすることを学んだからである

ウラジーミル・イリイチ・レーニン
われわれは、世界を固定するために、意識の統一を強行しよう (詳しくはこちらから💓)
このように、ドイツで生まれた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 を出発点として、その後、人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想が生み出されることとなります。ここで重要な点は、そもそも全知全能なる神が創り賜うた世界にあって、なぜ悪が存在するのか、という疑問から生じた 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 が、ユダヤ・キリスト教的 “善悪二元論” をより一層強化し、世界を完全に良くするために 「悪なるもの」 を消し去らねばならない、といった浅はかな思考へと陥る人々を生じさせたことです。多くの一般的な人々も陥りやすい誤った思考ですが、特に 「極左おパヨク」 と呼ばれる連中は、その影響をもろに受けてしまうほどの 「おバカ」 で、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することで、ユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の対象物として “罪” を創り出し、その罪に対する償 (つぐな) い・贖 (あがな) いを果たねばならない、と妄信させることによって、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 の下で、人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し ( ← これが、ポリコレw)、人々の “自由” を奪う極めて 「権威主義的な統制社会の再構築」 を目指す連中の思う壺となっていて、それはまさに現在、私たちが普通に目にすることができる状況にあります。つまり、もはや隠そうともしていない、という状況にあるということです。

その 「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 については、ドイツ出身の社会学者・歴史学者かつマルクス主義者であり、エリート理論の信奉者で、さらにはファシズム (全体主義者) でもあったロベルト・ミヒェルス (ロベルト・ミヘルス) が提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy) を確認をしてきましたが、そこにもやはり 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 の影響を見ることができます。(詳しくはこちらから💓)

ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
また、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー) 」 と同根の言葉である 「オリガルヒ (oligarch) 」 につきましても、ロシア (詳しくはこちらから💓) やウクライナ (詳しくはこちらから💓) の事例から、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 ( = ユダヤ教徒)」 (こちらもご参照💓) が存在していることも判明しました。

さらには、ウクライナとユダヤ人 ( = ユダヤ教徒) と特異な関係を、ウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認しました。 (詳しくはこちらから💓)

そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために、様々な論文を見ているところとなります。

☆『クレスィ(Kresy)のポーランド語-歴史と現在』森田 耕司

それでは早速、続きを見て参りましょう。
『 先駆的研究
1920 年代、ヴィルニュス周辺がポーランド領だった時代に、この地域のポーランド語の調査はすでに始まっていました。ワルシャワは常に政治の中心でしたが、ヴィルニュスは文化の中心でした。ヴィルニュスのことをポーランド語ではヴィルノと言います。ヴィルノ大学は当時のポーランドを代表する大学の一つでした。ヴィルノ、ポーランドの古都クラクフ、そして現在ウクライナ領にあるルヴフは、ポーランドの三大文化都市と言われていました。今でも年配の人々はヴィルノやルヴフを懐かしがってよく訪れます。それはドイツ人が第二次大戦後引き揚げたヴロツワフなどの都市を懐かしがって訪れるのとよく似ていますね。


リヴィウ (レンベルク、ルヴフ) の位置

1914年におけるオーストリア=ハンガリー帝国中のガリツィア・ロドメリア王国
この分野の先駆的研究は、1925 年に Kazimierz Nitsch という言語学者が発表した 「ヴィルノ地方におけるポーランド語」 という論文です。そのあと、ヴィルノ大学教授の Halina Turska が 1930 年に 「ヴィルノ地方におけるポーランド語」 という論文を発表しました。1939 年には同じく Halina Turska が 「ヴィルノ地方におけるポーランド語圏の発生について」 という論文を発表しました。このように重要な研究が 1920 ~ 30 年代にすでになされていました。戦後、東欧の民主化とソ連の崩壊にともないポーランドの研究者が調査に入ったのですが、それまではソ連の研究者による研究のみでした。1973 年に初めて 『ソ連におけるポーランド語方言』 という 2 巻本がミンスクで刊行されました。ただ、検閲をようやく通過して出版された本なので、内容については批判もされていますが、ソ連の研究者がソ連領内のポーランド語方言をテーマに公刊した初の本格的な研究書です。『東部辺境地域のポーランド語研究』 というシリーズ本は、1982 年に発行された第 1 巻では、まだ民主化もソ連崩壊もなされていなかったため、掲載された論文は戦前の先駆的研究の再録が主でした。1990 年代以降に発行されたものにはポーランドの研究者が新たに調査した研究成果も発表されています。私自身もかつてこの雑誌にベラルーシでの調査結果を 2 度発表した経験があります。1990 年代に入ると、1993 年に 『 16 世紀から 20 世紀の北東部辺境地域とヴィルノ地方のポーランド語』 という研究書も出版されるようになりました。あとは、1996 年に 『北東部辺境地域のポーランド語方言テクスト』 という音声表記による方言テクスト集が出版されました。これ以降、数えきれないほどの研究書が出版されています。ポーランド政府も旧ポーランド領のポーランド人の状況を調査することは重要な研究テーマだと考えていましたので、研究費を助成していました。かつてほどの勢いはありませんが、現在も様々な研究成果が発表されています。2006 年ですが、私が調査した結果を出版した研究書 『リトアニア (トラカイ地方) とベラルーシ (イヴャネツ地方) のポーランド系コミュニティにおける社会言語学的変容 - 対照研究』 があります。この本は、2005 年にポーランド科学アカデミーのスラヴ学研究所に提出した博士論文を加筆訂正後、ワルシャワで出版したものです。内容を少し紹介させていただきます。私はクレスィの北半分の地域に興味があり、リトアニア地域とベラルーシ地域で何らかの差があるのではないかと考えました。なぜならこれらの地域は、リトアニア地域はリトアニア語の影響があるし、他方ベラルーシ地域はソ連の影響でロシア語も使われていてリトアニア語の影響はあまりないだろうと思ったからです。トラカイという町とその周辺、イヴャネツという町とその周辺、この 2 つの土地の方言を調査して比較すると何らかの差があるのではないかと考えました。それまでは伝統的にリトアニアとベラルーシを北東部辺境地域として一括りにすることが多かったのですが、北東部辺境地域の方言でも、この 2 つの土地に違いがあることを客観的に証明したいと思ったわけです。したがいまして、ポーランド人が密集して居住している代表的な土地を 2 つ選んで、それぞれを調査しました。私が調査した頃は、それぞれの土地は、すでにリトアニアとベラルーシのそれぞれの国に属していました。私がターゲットにしていた 1920 年代と 1930 年代、つまり、これらの地域がまだポーランド領だった時代に生まれ育ったポーランド人たちが保存している方言ですので、調査はかなり大変でした。ソ連時代に生まれ育った人たちは違った外部からの影響を受けているので、調査は難しいのです。1920 年代と 1930 年代に生まれ育って、ずっとそこに住んでいた人々であれば、当時の方言を保存しているかもしれないということです。その年代の人々は農民が多く、特に女性はその地域の中でずっと生活していた人が多いので、そういう人々がターゲットでした。ただ、平均寿命の関係で男性のインフォーマントはみつからず、大半が女性のインフォーマントでした。男性は兵役などで外に出ることがあり外界の影響を受けている場合が多かったので、地域にずっと残っている方言を調査したかった私にとって、女性のインフォーマントというのは良い点ではありました。インフォーマントに聞き取り調査をしてそれを録音し、録音したものを音声表記でテクスト化して、音声や形態の特徴を調べて、現在の標準ポーランド語とどこがどう違うのかを比較することがまず一つ目的としてありました。そして、リトアニア地域のポーランド語とベラルーシ地域のポーランド語を比較して方言同士の差異を見つけること、質的な違いを何らかの形で証明するというのがもう一つの目的でした。先ほどご紹介した私の本の内容ですが、これはリトアニアのトラカイ地方とベラルーシのイヴャネツ地方のポーランド系コミュニティにおけるフィールド調査に基づいて、方言学・社会言語学の手法を組み合わせて行った対照研究です。主な目的は、戦前ポーランド領であった両地域のポーランド語方言を記述し、対照させることによって、その共通点および相違点を見出すことと、それらの方言間に質的相違が見られた場合、その相違の原因を方言学や社会言語学の観点から明らかにすることでした。失われつつある方言ですから、まず記述することが大切だったのです。』
ということで、本日はここまでとさせて頂きます。
続きは次回に♥
ランキング参加中で~す^^ ポチっとお願いします♥
↓↓↓↓↓↓↓

にほんブログ村

人気ブログランキング


- 関連記事
-
- まだ、お気付きになられませんか? ウクライナ人が何人殺されようと、どれほど困窮しようと、ユダヤ人にとっては 「どうでもいいこと」 なんです! (2022/08/04)
- ユダヤ人をポーランドへ引き寄せたもの (2022/08/03)
- 東と西からのヨーロッパ東部へのユダヤ人の移住 ~ ハザールと民衆十字軍 (2022/08/02)
- ウクライナ情勢を理解する鍵 ~ ポーランドへと引き寄せられたユダヤ人とその特異な経済的、社会的役割 (2022/08/01)
- ガリツィア・ユダヤ人 ~ 1993 年 : 独立二周年を迎えたばかりのウクライナ (2022/07/30)
- ユダヤ人の 「グローバリズム (普遍主義) 」 と 「ナショナリズム (民族主義) 」 ~ “御都合主義” のユダヤ思想 (2022/06/19)
- 日本のメディアがバカにされている理由 ~ 読売新聞の最近の事例 (2022/06/18)
- 「 20 世紀がなぜ戦争の世紀であったのか」 を解く鍵 ~ 「戦争支援」 と 「革命支援」 というユダヤ人の投資ビジネス (2022/06/17)
- 結局、ウクライナの負けで、ポーランドの勝ち? ~ ユダヤ人が狙っていたモノ (2022/06/16)
- “天然ガス利権” ウクライナの政治の要諦 ~ Kresy (クレスィ) のポーランド人とユダヤ人 (2022/06/15)
- ウクライナ国内で、ウクライナ国民に対して、流血の事態を引き起こしてきたのがユダヤ人 ~ その理由は? (2022/06/14)
- 世界に災いをもたらす者たち ~ ネオコンとユダヤ系トロツキスト (2022/06/13)
- ウクライナも同じパターン ~ 米国のネオコン ( = 社会主義者) が引き起こす “政変&紛争” (2022/06/09)
- ポーランドによるウクライナ (西部) 併合 (2022/06/07)
- ユダヤ教徒が中心となった “フランクフルト学派” の 「批判理論」 = 先進国向けの共産革命理論 (2022/01/13)