2022-04-17 (Sun)

本日のキーワード : 国際政治、列強政治、寡頭政治
Uncle Sam's Nazi Warriors
サムおじさんのナチス戦士 ②


Readers should take a minute to savor Washington’s duplicity on this matter, after all, while the Biden administration and the entire MSM was denouncing the January 6 protestors as “racists” and “white supremacists”, the US government was busy arming and training “white crusader” Nazis to carry out its war on Russia. What’s that all about? If there was an Academy Award for hypocrisy, Uncle Sam would be the hands-down favorite. Here’s more from the same piece:
読者はこの件に関するワシントンの二枚舌ぶりを少し味わうべきだ。なにしろ、バイデン政権とMSM (メイン・ストリーム・メディア) 全体が ( 2021 年) 1 月 6 日のデモ参加者を 「人種差別主義者」 「白人至上主義者」 として非難している間に、アメリカ政府はロシアとの戦争を遂行するために 「白人十字軍」 ナチの武装と訓練に忙殺されていたのだ。それは一体どういうことなのだろうか? もし偽善のアカデミー賞があったら、サムおじさん (米国政府) は断トツの人気者だろう。以下は同じ記事からの引用である。

Maidan coup conspirators Oleh Tyahnybok (left), U.S. Asst. Sec. of State Victoria Nuland (center), Yarsenyi Yatsenyuk, and (right) Vitali Klitschko (rear).
マイダン・クーデターの共謀者であるオレ・タヤニボック(左)、ヴィクトリア・ヌーランド米国務副長官(中央)、ヤルセニ・ヤツェニュク、(右)ヴィタリ・クリチコ(後方)。
“Azov took part in subsequent hostilities in Donbass and was incorporated into the National Guard of Ukraine in November 2014, although its members continued to wear neo-Nazi and SS-like symbols and regalia and openly express neo-Nazi views. Their logo echoes the Wolfsangel, one of the original symbols used by the 2nd SS Panzer Division Das Reich. Representatives of the Azov Battalion, however, have claimed their symbol is an abbreviation for the slogan “National Idea” in Ukrainian.
「アゾフはその後のドンバスでの敵対行為に参加し、2014 年 11 月にウクライナ国家親衛隊に編入されたが、そのメンバーは引き続きネオナチやSS (ナチ親衛隊) 的なシンボルとレガリアを身につけ、ネオナチの見解を公然と表明していた。彼らのロゴは、第 2 SS 装甲師団ダス・ライヒが使用していたオリジナルのシンボルの 1 つであるヴォルフスアンゲルを模したものです。しかし、アゾフ大隊の代表者は、自分たちのシンボルはウクライナ語で 「国家理念」 というスローガンの略称であると主張しています。

第2SS装甲師団のインシグニア

ユーゴスラビア占領 1941年撮影
Ukrainian authorities did not bother to conceal the fact that in 2014, Azov comprised neo-Nazi-leaning volunteers from countries such as Sweden, Italy, France, Belarus, Canada, and Slovenia.
ウクライナ当局は 2014 年、アゾフがスウェーデン、イタリア、フランス、ベラルーシ、カナダ、スロベニアといった国々から集まったネオナチ寄りのボランティアで構成されている事実を隠そうとはしなかった。
Despite the adoption of the 2015 Minsk Accords that were aimed at ending the civil war by reintegrating the Donbass into Ukraine in exchange for constitutionally-guaranteed autonomy, Kiev refused to implement a peace deal. Azov members took an active part in Donbass hostilities.
憲法で保証された自治権と引き換えにドンバスをウクライナに再統合することで内戦を終結させることを目的とした 2015 年のミンスク合意が採択されたにもかかわらず、キエフは和平交渉の実施を拒否した。アゾフのメンバーはドンバスの敵対行為に積極的に参加した。
In 2016, the Office of the UN High Commissioner for Human Rights (OHCHR) accused the Azov Battalion, officially upgraded to a regiment in January 2015, of committing war crimes such as mass looting, unlawful detention, and torture. Currently, the Azov “Special Operations Detachment” is engaged in the Ukrainian army’s counter-reconnaissance and special weapons operations.
2016 年、国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) は、2015 年 1 月に連隊に正式に格上げされたアゾフ大隊が、集団略奪、不法拘束、拷問などの戦争犯罪を行っていると非難した。現在、アゾフ 「特殊作戦分遣隊」 は、ウクライナ軍の対偵察や特殊兵器作戦に従事している。
The Russian Investigative Committee has opened a criminal case against a number of fighters from Azov units for crimes such as kidnapping, torture, use of prohibited means, and methods of warfare.” (“Ukrainian bad guys and a fair Russian response”, Batko Milacic for the Saker Blog)
ロシア調査委員会は、アゾフ部隊の多数の戦闘員を、誘拐、拷問、禁止手段の使用、戦法などの犯罪で刑事事件として立件している。」

Again, these are not your garden-variety, right-wing militants. These are full-fledged, battle-hardened Nazi storm troopers that have engaged in all-manner of illegal and sadistic activities including “the mass killing of prisoners, the concealment of corpses in mass graves and the systematic use of physical and psychological torture techniques.” And while they are lavishly supported by the United States, they oppose everything that America claims to stand for. They are universally opposed to liberal democracy, parliamentary government and racial equality. Instead, they advocate social regimentation, autocratic rule and glorification of the state. Race is very much at the core of Nazi Doctrine. (which may explain the animus these fascist groups have for the ethnic Russians in the east.) A few quotes from Hitler’s manifesto Mein Kampt help to illustrate this point:
繰り返しますが、彼らはありふれた右翼の過激派ではありません。彼らは本格的な、戦いに慣れたナチの突撃兵であり、「囚人の大量殺害、墓穴への大量の死体隠蔽、身体的・心理的拷問技術の組織的使用」 など、あらゆる違法かつサディスティックな活動に従事してきたのです。そして、彼らは米国から惜しみない支援を受けている一方で、米国が主張するすべてのことに反対している。彼らは、自由民主主義、議会政治、人種的平等に対して普遍的に反対している。その代わりに、社会的な規制、独裁的な支配、国家の美化 (民族浄化) を提唱している。人種はナチスのドクトリンの核心部分である。(このことは、これらのファシスト集団が東部のロシア系民族に対して抱いている反感を説明できるかもしれない)。ヒトラーのマニフェスト 『我が闘争』 からのいくつかの引用は、この点を説明するのに役立っている。

Tyahnybok: "Moscow-Jewish mafia" is running Ukraine.
タヤニボック : 「モスクワ・ユダヤ・マフィア」 がウクライナを牛耳っている。



☆“Uncle Sam's Nazi Warriors” The Unz Review・ An Alternative Media Selection
☆投資家サーベイ結果発表 「岸田政権、支持しますか?」
本日の書物 : 『戦争と国際法を知らない日本人へ』 小室 直樹 徳間書店
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 【ヴェルサイユ体制】とは、一方においては、【極端に理想主義的な国際連盟】、他方においては、【前例のないほど過酷な対独講和条約】であった。
【敗戦国ドイツ】は、【天文学的賠償金】を課せられた。【植民地はすべて没収】された。【本土もまた、ごっそりと削り取られた】。世界一を誇った【ドイツ陸軍は 10 万に削減】された。【重砲と戦車と飛行機は禁止】された。【海軍の艦艇】は、【 1 万トン以下に制限】された。【潜水艦と空母はまかりならぬ】。踏んだり蹴ったりのすえ、簀 (す) の子まきにして海に沈めたような話ではないのか。
【正義ともなんとも、全く関係ない】。
【復讐主義で、恨み骨髄に徹していたフランス】の主張が、かなりの程度通ったから、こんなにも【メチャクチャな講和条約】となったのでありました。
そして、他方においては、【空中楼閣のようなウィルソンの国際連盟主義】。
これら両者の狭間で、【国際政治は苦悶する】。
【下手な理想主義ほど、政治を理想から遠のけるものはない】。その恰好な例が、ウィルソンの国際連盟。
国際連盟なんていう奇妙なしろものがあったばかりに、現実の国際政治は、ますます、理想的な姿から遠のいていった。
日本との関係でいうならば、かの【山東問題】。
【日本は中国に対し、所謂 (いわゆる) 二十一ヵ条の要求をつきつけて、山東におけるドイツの権益を継承することを承認させた】。そのうえ、このことを、【ヴェルサイユ条約直前の、いわば 「根回し」 において、英国とフランスの了承を得た】。そのうえ ― そこまでの必要はないとも思えるのではあるが―、張出し一等国たるイタリアの了承さえ得た。
【それなのに、ウィルソンは、全くこれを否定してしまった】のであった。
いきなり、中国代表が、列強が相談している場所に乱入してきて、自国の主張を開陳したからであった。言うところは、「いちいちもっとも」 と、大学総長のウィルソンはそう感じた。その場での日本代表は、英語も国際法もチンプンカンプンのトラニャーニャー。まったくのシドロモドロで反論できなかった。【その結果、山東問題は、日本の不満のかたまりのようなかたちに終わった】。それにしても、【列強政治の大原則は、ウィルソンその人によって否定された】のであった。この日本の外交官、まったく役立たずだから、帰国後、直ちに銃殺すべきであった。日本式でいうのなら、切腹をおおせつけるべきであった。それをしなかったのが、日本外務省、百年のあやまり、外交官のグータラさは、その後も尾をひいた。』

ナチ体制を担ったひとびと
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、ロシアによるウクライナ侵攻という歴史的な出来事を理解する上で必要不可欠な要素であるにもかかわらず、特に戦後の日本人に欠けている、「戦争・国際法・国際政治・国際経済」 の基礎に歴として存在しているのが 「キリスト教」 という宗教である、という歴史認識を、著者独特の表現で事の本質を見事に射貫く解説がなされている書物になります。「宗教」 あるいは 「哲学」、はたまた 「法律」 というものを、いわゆる “文系アタマ” の人々は、主観的な感覚・感情によって “自分勝手な” 解釈をしがち (例 : ☆入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任) なのですが、「宗教」 にも 「哲学」 にも 「法律」 にも、「数学」 的 (= 論理的) な要素が多分に含まれていて (というか、それそのものですがw)、“自分勝手な” 解釈は何ら意味をなさないものである、ということが本書を通じて広く日本国民全体で共有できるように、という願いを込めて当ブログはお薦めさせて頂きます。

それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。
(死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)
※( )内は前回の数値

☆Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE
アメリカ : 985,580(985,236)÷80,410,247(80,389,667)=0.0122・・・(0.0122) 「1.22%(1.22%)」

イタリア : 160,748(160,658)÷15,292,048(15,238,128)=0.0105・・・(0.0105) 「1.05%(1.05%)」

日本 : 28,722(28,649)÷7,072,493(6,990,349)=0.0040・・・(0.0040) 「0.40%(0.40%)」

さて、これまで、ドイツで生まれた「キリスト教神智学(Christian theosophy)」・「ベーメ神智学(Boehmian theosophy)」を出発点として、その後、人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想を経て、ソ連崩壊とともに死滅したかに思われたものの、現在に至るまで一貫して受け継がれていく “信仰” が存在していて、その根底にある、ユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の意識により、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することによって、「贖罪」の対象物として “罪” を創り出し、自らの罪に対する償(つぐな)い・贖(あがな)いを果たそうと躍起になっている、そんな 「極左おパヨク」 に繋がる一連の系譜について確認して参りました。
ここで御理解頂きたいのは、そんなおバカな 「極左おパヨク」 は、飽くまでも、ある連中が果たそうとしている、ある目的の達成のための道具でしかないということです。
その目的とは、さまざまな “アイデンティティ” を意図的に粗製濫造することで、社会分断を行い、到底達成不可能な目標である “平等 (equality)” を強要(←全人類の均一化・同質化などは不可能であることは自明です!)し、多くの人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し(←これが、ポリコレw)、人々の “自由” を奪う極めて権威主義的な統制社会の再構築を目指す、というものです。
では、なぜ、それを目指そうとするのでしょうか?
それは、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」のもとで、ある連中にとって非常にコントロールしやすい社会が構築できるからです。

その「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」については、これまたドイツ出身の社会学者・歴史学者であり、マルクス主義者で、エリート理論の信奉者で、ファシズム(全体主義者)でもあったロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)が提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy)について確認をしてきましたが、そこにもやはり「キリスト教神智学(Christian theosophy)」・「ベーメ神智学(Boehmian theosophy)」の影響を見ることができました。

ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
また「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」と同根の言葉である「オリガルヒ(oligarch)」につきましても、ロシアやウクライナの事例を参照して、それがいまから数十年前に、マルクス主義が生み出した “社会主義・共産主義の幻想” が瓦解・崩壊する過程で作り出されたものであることを確認し、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 (=ユダヤ教徒)」 が存在していることも判明いたしました。さらには、ウクライナとユダヤ人 (=ユダヤ教徒) と特異な関係を、ウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認することができました。
そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために、、次の論文を見ているところとなります。

☆『ナチ・ドイツにおける経済の脱ユダヤ化 ― 1938年十一月ポグロムの社会経済的背景 ―』 山本達夫
それでは早速、続きを見て参りましょう。
『 第 7 章 経済の脱ユダヤ化とアーリア化
5. 経済の脱ユダヤ化をめぐるプロパガンダ
1937 年末以降,第三帝国指導部の 「上からの」 ユダヤ人政策は 「下からの」 反ユダヤ個別行動を管理・統制していった。国家公民法第三政令の布告と 「六月行動」 の関係に見られるように,経済の脱ユダヤ化政策は四カ年計画の統制経済下において社会経済的機能を付与されるにいたる。
第三帝国指導部は,経済の脱ユダヤ化政策遂行の推進力を反ユダヤ感情に求めつつも,他方では国民に対して政策の妥当性と有効性に訴える宣伝を展開した。経済活動からのユダヤ人の排除については,1938 年初頭から新聞・雑誌などのメディアととおしてもさかんに宣伝された。その議論には,国家指導部が推進しようとしていた経済の脱ユダヤ化政策の方向性が反映されていた。そこで経済の脱ユダヤ化がどのような議論とともに展開されていたのかを概観する。この作業は,ナチ指導部の報道統制の性格を明らかにすることにもつながる。
ユダヤ人政策が社会的影響力の大きな社会経済的機能をもって展開され,しかもこれが平和時に公衆の面前で行われる場合,そこに一定の社会的コンセンサス―受動的黙認であれ,積極的同意であれ―の存在を想定することができる。むろんこれはナチ体制のテロル機構の存在とその影響力を抜きにしては考えられないのであるが,しかしテロルによる抑圧という側面のみを強調すると,第三帝国の一般国民 (政治犯や抵抗運動家など,体制のテロル機構の直接的な犠牲者ではないという意味における) は全員,ナチ体制の犠牲者という立場に立ちかねない。
K・ヤスパースは 1946 年につぎのようにのべている。「ナチ政権下のドイツは牢獄であった。 〔…〕 牢獄の扉が閉ざされてしまってからは,内から破って出ることは不可能である。牢獄において獄吏の破廉恥行為を囚人一同の責任と考えるのは,明らかに不当である」 *656 ) こうした発言の問題点は,大きな牢獄のなかに別のいっそう悲惨な小さな牢獄が作られていたという事実を忘れさせてしまうところにある。その小さな牢獄の囚人は,大きな牢獄をつかさどる獄吏にもまして日常生活の上ではむしろ大部屋にいる囚人の側からさまざまな差別や無関心,監視の目にさらされていたのである。
ナチ政権下で最初に一般民衆の眼前で繰り広げられた 1933 年 4 月 1 日のユダヤ商店ボイコット行動にさいするドイツ国民の態度について,ユダヤ人たちはつぎのように証言している。
「わざわざその日に,これ見よがしにユダヤ人の店やユダヤ人の医者のところに出向いて花を手向けたり,昔からの忠誠を請け合ったりした非ユダヤ人は,いるにはいましたよ。でもせいぜいのところ例外でした。大部分の者は押し黙っているか,あるいはすでに十分ナチ流に洗脳されているかぎりは喜びをあらわにさえしたんです」 *657 )
「この国民のために俺たちユダヤ人はそのむかし前線の塹壕に立ち,この国を外国から守るために血を流したのだ。かつての戦友でこの暴挙に吐き気をもよおす者はもはやいなかったのか。連中が通りを歩いて行くのが見えた。親切にしてやった奴も大勢いた。奴らは笑みを浮かべており,奴らの卑劣な喜びを垣間見せていた。 〔…〕 これまで俺が愛し慈しんできたこの国,この国民が突然,俺の敵になったのだ。俺はつまりドイツ人ではない,あるいはもうドイツ人ではあってはいけないのだ。もちろんこれはすぐに片付けられる問題ではない。だが,ふとあることを感じた。いまや俺の敵として正体を露わにしたかくも多くの連中を信頼していたことを俺は恥じたのだ。突然,町の通りも俺には馴染みのないように思えた。それどころか町全体が俺にとって馴染みのないものになったのだ 〔…〕 」 *658 )
ユダヤ人の生活世界を馴染みのない fremd 世界に変えたのは,周囲のあからさまな暴力行為だけではなかった。大勢の受動的傍観者と彼らの冷たい無関心と監視の目。極端な逸脱行為に反対はするが反ユダヤ的な態度を完全には捨てない多くのふつうのドイツ人である。
経済の脱ユダヤ化政策を推し進めるための宣伝は,大多数をしめたふつうのドイツ人の 「常識」 に訴えるものでなくてはならなかった。経済の脱ユダヤ化の宣伝も大勢の受動的傍観者たちに向けられた政治宣伝としておこなわれ,また彼ら向けに調子を変えられたものが多かった。反ユダヤ主義はさほど前面に出さない。政策は純粋な経済政策としての中立性の概観をまとい,一般民衆に受け入れやすいものとなった。
ナチ体制を担ったのは,少数派に属する体制への積極的 (熱心な) 賛同者を取り巻いていた圧倒的多数の受動的傍観者たちであった。能動的な言動によって多くの史料を残した積極的賛同者もしくは抵抗者たちと異なり,多くの一般国民は,受動的態度ゆえに史料を残していない。
この一般国民の受動的態度に関して,最近の社会史研究が指摘する以下の点に注意する必要がある。「日常生活のアトム化」 に起因する,ユダヤ人に対する無関心という意味におけるユダヤ人政策に対する受動的同意や傍観的態度である。逆に,ユダヤ人迫害を単調な日常生活におけるセンセーショナルな出来事として積極的に期待する雰囲気の出現 *659 ) にも注意を払う必要がある。
経済の脱ユダヤ化に関する議論は,一般の新聞・雑誌などで率直に展開されていた。そこには,伝統的な反ユダヤ主義を土台とした人びとの傍観的黙認を確保する方向と,「建設的破壊」 に対して国民の積極的な同意を獲得する方向がみてとれる。ただしこの方向性は実際の宣伝にさいしては交差していた。合理的,効率的で無駄の少ない経済社会秩序の建設のためには,あるていどの暴力的破壊もやむを得ないではないか,ましてや対象は 「ユダヤ営業経営」 ではないかというわけである。後者の方向においては,脱ユダヤ化政策は第三帝国指導部の考える 「合理的」 「効率的」 な経済体制の建設にとって肯定すべき方策として宣伝されていた。この角度からする宣伝は,「 『ユダヤ人問題』 は存在する,ということが一般的な見解となっていた」 *660 ) ほどに反ユダヤ的な社会であった当時のドイツにおいては,効果絶大であったと考えられる。ここでは,経済の脱ユダヤ化が 「上からの」 命令というかたちではなく,全国民的な啓蒙・宣伝活動のなかで展開されていたことを確認しておきたい。
*656 ) Jaspers, Karl, Die Schuldfrage (Heidelberg, 1946)橋本文夫訳『戦争の罪を問う』(平凡社,1998 年 ),128 頁。
*657 ) Barkai, Avraham, Vom Boykott zur "Entjudung", op. cit., p. 29.
*658 ) Ibid., p. 30.
*659 ) Stöver, Bernd, Volksgemeinschaft im Dritten Reich. Der Konsensbereitschaft der Deutschen aus der Sicht sozialistischer Exilberichte (Düsseldorf, 1993), pp. 261-266.
*660 ) DB, 1936 (Jan.), p. 24. 』
ということで、本日はここまでとさせて頂きます。
続きは次回に♥
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