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     >  国際 >  ウクライナは可哀そう? ~ 仮面をかぶった “列強政治 (寡頭政治) ” を理解できない日本人的発想

    ウクライナは可哀そう? ~ 仮面をかぶった “列強政治 (寡頭政治) ” を理解できない日本人的発想

    A storm is coming 233

    本日のキーワード : 国際政治、列強政治、寡頭政治



    Uncle Sam's Nazi Warriors
    サムおじさんのナチス戦士 ①

    Uncle Sam UkraineNazisMW.png

    “I have spoken with my Western colleagues about denazification. They say:” What’s the problem? You also have radical nationalists, don’t you?” Yes, we do, but we don’t have them in our government like Ukraine. And we don’t have thousands of people marching in the streets with torches and swastikas like Nazi Germany in the 1930s? And we don’t praise the men who killed Russians, Jews, and Poles during the war. But in Ukraine, they do.” Vladimir Putin, Russian President
    「私は欧米の各首脳らと非ナチ化について話したことがある。彼らはこう言った。 「何が問題なのだ? ロシアにも過激な民族主義者もいるのだろう?」 その通りだ。しかし、ウクライナのように政府内に彼らを抱えているわけではない。1930 年代のナチスドイツのように、何千人もの人々がトーチと鉤十字を掲げて街を行進しているわけでもないだろう? そして、戦時中にロシア人、ユダヤ人、ポーランド人を殺した男たちを賞賛したりはしない。しかし、ウクライナではそうしている。」 ウラジーミル・プーチン (ロシア大統領)

    The United States has been arming and training far-right militants that are the ideological descendants of Nazi war criminals that were directly involved in the mass-extermination of Jews, Slavs and Gypsies during the Second World War. These Ukrainian storm troopers are among the most vicious and malignant combatants Washington has ever employed to implement its foreign policy agenda. Naturally, Washington sees these fascist-zealots as mere pawns in its proxy war on Russia. Even so, the ‘alliance of convenience’ does not diminish the fact that Uncle Sam is now in bed with right-wing militants whose spiritual leader, Adolph Hitler, was responsible for the deaths of tens of millions of people as well as the destruction of large parts of Europe and Russia. Check out this clip from an article titled “Can Ukraine have a ‘Nazi problem’ with a Jewish president?:
    米国は、第二次世界大戦中にユダヤ人、スラブ人、ジプシーの大量絶滅に直接関与したナチスの戦犯の思想的末裔である極右過激派を武装し訓練しているのである。これらのウクライナの突撃兵は、ワシントンが外交政策課題を遂行するために雇った最も悪質で悪性が高い戦闘員である。当然ながら、ワシントンはこのファシスト狂信者たちを、ロシアとの代理戦争の単なる手先としか見ていない。たとえそれが 「便宜的な同盟」 であっても、サムおじさん (米国政府) が、精神的指導者であるアドルフ・ヒトラーが数千万人の死とヨーロッパとロシアの大部分の破壊に責任があった右翼過激派とねんごろであるという事実を弱めることはできない。『ウクライナはユダヤ人大統領と 「ナチス問題」 を抱えることができるのか』 と題された記事からのクリップをご覧いただきたい。

    Nuland-in-ukraine.jpg
    Maidan coup conspirators Oleh Tyahnybok (left), U.S. Asst. Sec. of State Victoria Nuland (center), Yarsenyi Yatsenyuk, and (right) Vitali Klitschko (rear).
    マイダン・クーデターの共謀者であるオレ・タヤニボック(左)ヴィクトリア・ヌーランド米国務副長官(中央)、ヤルセニ・ヤツェニュク、(右)ヴィタリ・クリチコ(後方)。

    “Ukraine really does have a far-right problem, and it’s not a fiction of Kremlin propaganda. And it’s well past time to talk about it,” explained journalist and expert on the Ukrainian far right, Michael Colborne.
    ウクライナには本当に極右の問題がありそれはクレムリンのプロパガンダによる虚構ではない。」と、ジャーナリストでウクライナ極右の専門家であるマイケル・コルボーンは説明する。

    The most known neo-Nazi group on Ukraine’s far right is the Azov movement. The movement grew out of the Azov Regiment (originally a Battalion), formed in the chaos of war in early 2014.
    ウクライナの極右のネオナチ集団として最も知られているのは、アゾフ運動である。この運動は、2014 年初頭の戦争の混乱の中で結成されたアゾフ連隊 (もともとは大隊) から発展したものだ。

    It was formed by a “ragtag group of far-right thugs, football hooligans and international hangers-on, including dozens of Russian citizens,” said Colborne, who wrote a book on the movement.”(“Can Ukraine have a ‘Nazi problem’ with a Jewish president?”, Jewish Unpacked)
    極右の凶悪犯、サッカーのフーリガン、数十人のロシア人を含む国際的なならず者たちによって結成された。」と、この運動について本を書いたコルボーンは言う。

    Oleh Tyanhbok
    Tyahnybok: "Moscow-Jewish mafia" is running Ukraine.
    タヤニボック : 「モスクワ・ユダヤ・マフィア」 がウクライナを牛耳っている。

    While Russian President Vladimir Putin is committed to removing Ukraine’s Nazis from power, it is uncertain how he will do so. Self-identified fascists now hold positions of authority in the military, the government and the Security Services. They have also been the driving force behind the 8 year-long siege of the Donbass region in east Ukraine that is mainly inhabited by ethnic Russians. The militants’ hatred for their Slavic brothers suggests that Hitler’s racial theories are being ruthlessly applied in 21st Century Europe. Here’s an excerpt from an article at The Saker Blog:
    ロシアのプーチン大統領は、ウクライナのナチスを政権から排除することを約束しているが、どのように排除するかは不明である。自称ファシストは現在、軍、政府、保安庁で権威ある地位に就いている。また、ロシア系住民が多く住むウクライナ東部のドンバス地方を 8 年にわたり包囲してきた原動力も彼らである。過激派のスラブ人に対する憎悪は、ヒトラーの人種理論が 21 世紀のヨーロッパで無慈悲に適用されていることを示唆している。以下は、The Saker Blog の記事からの抜粋である。



    “Since the Western-backed coup in Kiev in 2014, political organizations associated with neo-Nazis infiltrated Ukrainian mainstream politics as the Ukrainian government sent troops to try to crush the Donbass uprisings by force.
    2014 年に欧米の支援を受けたキエフのクーデター以来、ウクライナ政府がドンバスの反乱を武力で鎮圧しようと軍隊を送り込んだため、ネオナチと関連する政治組織がウクライナの主流政治に浸透していったのです。

    As Ukraine waged war against breakaway forces in the Donetsk and Lugansk People’s Republics, the Neo-Nazi Groups in Ukraine gained notoriety for their belligerent rhetoric towards the population of the country’s east, as well as for eagerly participating in the civil war….
    ウクライナがドネツク人民共和国やルガンスク人民共和国の離脱勢力に対して戦争を仕掛けると、ウクライナのネオナチグループは同国東部の住民に対して好戦的なレトリックを展開し、また内戦に熱心に参加したことで悪評が立った

    The (Azov Battalion’s) first commander was right-wing nationalist Andriy Biletsky, who led the paramilitary national socialist group called “Patriot of Ukraine” and was the founder of a neo-Nazi group, the Social-National Assembly (SNA) in 2008. In 2010, Biletsky, a former parliamentarian, apparently said that Ukraine was meant to “lead the white races of the world in a final crusade … against Semite-led Untermenschen (subhumans) ”by reports in a spate of Western mainstream outlets.” (“Ukrainian bad guys and a fair Russian response“, Batko Milacic for the Saker Blog)
    (アゾフ大隊の) 初代司令官は右翼民族主義者のアンドリー・ビレツキーで、彼は 「ウクライナの愛国者」 という準軍事民族社会主義グループを率い、2008 年にはネオナチグループ 「社会民族集会 (SNA) 」 の創設者でもある。2010 年、元国会議員のビレツキーは、ウクライナが「世界の白色人種を率いて、セム族主導の劣等人種 (人間以下) に対する (十字軍による) 最後の聖戦を行う」 と述べたと西側の主流メディアが相次ぎ報道した。」

    アンドリー・ビレツキー
    アンドリー・ビレツキー

    A storm is coming 222



    Hitler.jpg 習近平思想の着想者であり、中国的特徴を持つ社会主義の提唱者である習近平総書記

    パペット岸田・林

    “Uncle Sam's Nazi Warriors” The Unz Review・ An Alternative Media Selection

    投資家サーベイ結果発表 「岸田政権、支持しますか?」



    本日の書物 : 『戦争と国際法を知らない日本人へ』 小室 直樹 徳間書店



    戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。

    そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。

    私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、

    客観的に情勢を判断する必要があります。

    それでは、この書物を見ていきましょう!




    『 【日米両国の闖入 (ちんにゅう) によって、古典的ヨーロッパ列強政治は、大きく変質した】【国際法もまた大きく変質した】

     これは【とくに重要な補助線】であるよく銘記されたい

     【国際法】は【本質的に、慣習法である】

     成文化された条約のほかに ― というよりも、それらよりもさらに ― 【成文化されない慣行が重要な意味をもつ】これらの慣行のなかには【国際的大綱】ともいうべきものがあり【外交上の細目】ともいうべきものがある。これらの細目は、【一種の下位規範】 (subnorm 下位規範の例。『コーラン』 のハディースやシャリアー…。『トーラー』 のミシュナーなど。成文法典に対する判例など) であって、【これらがないことには、国際法は動きようがない】

     【古典的ヨーロッパ列強時代】においては、右の細目は、【外交官ギルド】によってそれとなく【当然のこととして伝承】されてきた。このことが、いかに【外交交渉をスムーズにしてき】たか、まことにはかり知れないものがあろう。

     その伝承がヨーロッパ外交官ギルドに属さないところの【日米両国の闖入によって、著しく困難になった】。あるいは、【不可能になった】

     このことがもつ意味ははかり知れないほど大きい

     細かな例は後まわしにしえ、まずは、大筋について述べておこう。

     第一次世界大戦後の【アメリカの傍若無人ぶり】といったらなかった講和会議のために米大統領ウィルソンがパリにのりこんだ【ウィルソンの頭のなかは、国際連盟 (The League of Nations) のことしかなかった】。講和会議は国際連盟の精神によってなされるべし。

     それはいいとして、パリの通信システムを無視してアメリカ人専用の電線をひっぱり込むありさま。だから、「大統領」 と電話でいうと (その頃は、ダイヤル式では、まだ、なかった) フランス大統領ポアンカレのところにつながらないで、アメリカ大統領ウィルソンのところにつながるありさま。

     一事が万事このありさま。

     ウィルソンの理想主義によって、伝統的な列強政治 (powers politics) には、いくつかの原理主義 (fundamentalism) がもち込まれた【 「民族自決主義」 】だとか、【 「世界をデモクラシーのために住みよき場所にする」 】んだとか…。

     国際連盟の結成によって【列強以外の小国にも、発言の場があたえられる】ことになった

     というと、なんだか、ウィルソンの理想が、少しは実現されそうになった観があるが、実は、そうでもなかった。

     【国際政治の実態は、やはり、列強政治】表面は、ウィルソン政治

     だからいわば【仮面をかぶった列強政治 (the disguised powers politics) 】である

     この【表面と実態との矛盾】が【たいへんな不幸を生む】ことになった。』

    日の丸

    「六月行動」 の主たる目的


    いかがでしょうか?

    今回ご紹介させていただく書物は、ロシアによるウクライナ侵攻という歴史的な出来事理解する上で必要不可欠な要素であるにもかかわらず、特に戦後の日本人に欠けている「戦争・国際法・国際政治・国際経済」 の基礎に歴として存在しているのが 「キリスト教」 という宗教である、という歴史認識を、著者独特の表現で事の本質を見事に射貫く解説がなされている書物になります。「宗教」 あるいは 「哲学」、はたまた 「法律」 というものを、いわゆる “文系アタマ” の人々は、主観的な感覚・感情によって “自分勝手な” 解釈をしがち (例 : 入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任) なのですが、「宗教」 にも 「哲学」 にも 「法律」 にも、「数学」 的 (= 論理的) な要素が多分に含まれていて (というか、それそのものですがw)“自分勝手な” 解釈何ら意味をなさないものであるということが本書を通じて広く日本国民全体で共有できるようにという願いを込めて当ブログはお薦めさせて頂きます

    読書7-21

    それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。

    (死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)

    ※(  )内は前回の数値

    fflmdpz.jpg
    Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE

    アメリカ : 985,236(984,730)÷80,389,667(80,306,521)=0.0122・・・(0.0122) 「1.22%(1.22%)」
    fflmdpz1.jpg

    イタリア : 160,658(160,546)÷15,238,128(15,173,707)=0.0105・・・(0.0105) 「1.05%(1.05%)」
    fflmdpz2.jpg

    日本 : 28,649(28,600)÷6,990,349(6,937,720)=0.0040・・・(0.0041) 「0.40%(0.41%)」
    fflmdpz3.jpg













    さて、これまで、ドイツで生まれた「キリスト教神智学(Christian theosophy)」「ベーメ神智学(Boehmian theosophy)」出発点として、その後人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想を経て、ソ連崩壊とともに死滅したかに思われたものの現在に至るまで一貫して受け継がれていく “信仰” が存在していて、その根底にあるユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の意識により、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することによって、「贖罪」の対象物として “罪” を創り出し自らの罪に対する償(つぐな)い・贖(あがな)いを果たそうと躍起になっているそんな 「極左おパヨク」 に繋がる一連の系譜について確認して参りました。



    ここで御理解頂きたいのは、そんなおバカな 「極左おパヨク」 は、飽くまでも、ある連中が果たそうとしている、ある目的の達成のための道具でしかないということです。

    その目的とは、さまざまな “アイデンティティ” を意図的に粗製濫造することで、社会分断を行い到底達成不可能な目標である “平等 (equality)” を強要(←全人類の均一化・同質化などは不可能であることは自明です!)し、多くの人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し(←これが、ポリコレw)、人々の “自由” を奪う極めて権威主義的な統制社会の再構築を目指す、というものです。

    では、なぜそれを目指そうとするのでしょうか?

    それは、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」のもとである連中にとって非常にコントロールしやすい社会が構築できるからです。

    ポイント 女性

    その「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」については、これまたドイツ出身の社会学者・歴史学者であり、マルクス主義者で、エリート理論の信奉者で、ファシズム(全体主義者)でもあったロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy)について確認をしてきましたが、そこにもやはり「キリスト教神智学(Christian theosophy)」「ベーメ神智学(Boehmian theosophy)」の影響を見ることができました。

    ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
    ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)

    また「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」同根の言葉である「オリガルヒ(oligarch)」につきましても、ロシアやウクライナの事例を参照して、それがいまから数十年前にマルクス主義が生み出した “社会主義・共産主義の幻想” が瓦解・崩壊する過程で作り出されたものであることを確認し、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 (=ユダヤ教徒)」 が存在していることも判明いたしました。さらにはウクライナとユダヤ人 (=ユダヤ教徒) と特異な関係をウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認することができました。



    そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために、次の論文を見ているところとなります。

    egdhsied.jpg
    『ナチ・ドイツにおける経済の脱ユダヤ化 ― 1938年十一月ポグロムの社会経済的背景 ―』 山本達夫

    それでは早速、続きを見て参りましょう。

    『 第 7 章 経済の脱ユダヤ化とアーリア化

    4. 国家公民法第三政令と「六月行動」
     …「国家公民法第三政令」 の第一の目的は偽装アーリア化状態にある不要・不急の産業部門の経営を 「ユダヤ営業経営」 であると摘発することであった重要な点はユダヤ経営が 「リストに登録される」 とされ,(第 Ⅱ 款第 7 条),リストの縦覧が 「何人にも許可される」 (同第 15 条) とされたことであるさらに Ⅲ 款第 17 条においてライヒ経済大臣に 「ユダヤ経営のリストに登録された経営が,いずれ定められるべき一定の時点より,特別の標識を付けるよう命令する権限」 が与えられたことである。このリストは 「○○におけるユダヤ経営のリスト」 と題され,ライヒ内務大臣は 1938 年 7 月 14 日付回覧通達 「国家公民法第三政令の遂行」 ) 〔史料編 27 ) 〕 *637 ) おいて,作成見本を付けて 「完璧なもの」 を要請している。
     組織的な 「反ユダヤ行動」 の標的にされた 「偽装アーリア経営」 にもはや存続の余地はなかった経営は閉鎖され 「労働忌避者」 が生み出された「六月行動」 が開始されたのである
     従来多くの研究者は 「六月行動」 について (多くのアーリア人も逮捕された) と保留しつつも反ユダヤ行動であると考えていた。思うに,これは第三政令の主たる目的が偽装アーリア化のなかから強権的に 「ユダヤ営業経営」 を引きずり出すことにあったので同時代人の目にはこれが新しい反ユダヤ主義の波と映ったのでありそれが伝承されたのであろう
     ゾパーデの機関誌 『ドイツ報告』 *638 ) も 「六月行動」 に注目していた 「ユダヤ人に対するテロ」 という項目を設け新たな大規模な反ユダヤ行動の実態を報告をするとともに原因分析をこころみていた。 


     「この新たな度を越えた残虐さで行なわれたユダヤ人迫害の動機は何なのか。この問いに答を出すのは困難である。確かなことはこの独裁体制がその活発な宣伝機構を維持し増大する経済的困難を説明するために敵を必要としているということだ「全ユダヤ Alljuda」 をこの敵に仕立て上げることほど楽で安全なものはないだがこの説明では十分ではない。将来,何か面倒なことが起きたら責任転嫁できるよう,この種の 「敵」 を少しは国内に留めおこうという配慮がなされているようにはみえないからだ。この政府はむしろ,ユダヤ人を一人残らず追い払おうとしていたように思える。
     ユダヤ人財産を没収することで国家が手に入れる収入は,たしかに現時点では緊急に必要なのだが,その意義は過大評価されてはならない。ユダヤ資本はすでに広範囲にわたって台無しにされているのだし,またアーリア化によって,以前には利益をあげていた企業が赤字経営に転落させられることもしばしばだからだ。
     結局のところ,ユダヤ人の追放もドイツの戦争準備の一部分なのだ。戦争となれば,政府はユダヤ人をあてにはできない。だからといって 40 万人のユダヤ人を一人残らず捕まえたり殺したりというのはとてもできない相談だ。となるとユダヤ人がさっさとこの国から追い出されるというのが一番である。しかしこの見解にしても,それだけでは決定的ではないかもしれない。というのも,国外移住に際しての税法上・外国為替法上の規定をほんのわずかでも緩めればユダヤ人の国外移住を格段に加速できるのに,この政府はそうしていないからである。
     純粋に合理的な原因の探求には限界がある,ということで折り合いをつけねばなるまい。つぎに示す法律や命令のいくつかは激烈な人種憎悪によってしか押しつけることのできないものであり,これは理性的な解釈の手に負えないものである。倦むことなく敗者と弱者を打ちすえる嗜虐性,ちなみにナチズムはユダヤ人以外の人びとにもこの嗜癖をあらわにしたのであるが,これは客観的な観察者の理解を超えるものだ。この嗜虐性の存在はそれとして認めた上で,その時どきの効果を書き記していくほかないだろう 」。 *639 )


     しかし 『ドイツ報告』 同じ号で伝える 「個別報告」 に目を通すとそれらが 「六月行動」 の性格を正確に反映したものであることがわかる

    ・「 6 月 19 日から 25 日にかけて反ユダヤ行動が起こり,『ユダヤ商店』 と落書され,ショーウインドウが壊された」 (コンスタンツ) *640 )
    ・「ユダヤ人の商店に,『これはユダヤ商店だ』 と落書された」 (カールスルーエ) *641 )
    ・「以前には小売店だけであったのに,いまや卸問屋や工場までに警察がリストにしたがってペンキで 『ユダヤ人』 と書き付けている」 *642 )
    ・「客が誰であれ,ベルリンで警察の一斉手入れを受けていない居酒屋はない」 (ベルリン) *643 )

     つぎのふたつの報告には 「六月行動」 の性格が明瞭にみてとれる

    ・「 6 月 20 日,ネクタイ専門店の前に大勢の人だかりができた。この人たちはたいへん興奮していた。店の主人が従業員に命じて落書を消させていたからである 〔…〕 結局この店は閉店に追い込まれた」 (ベルリン) *644 )
    ・「すでにアーリア化されている商店にも,しばしば間違って 『ユダヤ人』 と落書されることもあった。あとで 『ユダヤ人』 が線を引いて消されて,その下に 『ユダヤ人の友人』 と書き加えられた」 (ブレスラウ) 〔下線 = 筆者〕 *645 )

     この最後の例についてSOPADE の報告者は,これを SA 指導者の個人的な恨みによるものだと解している。しかしすでにアーリア化されている商店を 「ユダヤ商店」 として攻撃の対象にすることこそ第三帝国指導部が意図していたことであった
     同じ 1938 年 6 月分の 『ドイツ報告』 にはユダヤ人経営の経営に対する攻撃とならんで 「予防拘禁」 措置に関する報告も見られる

    ・「工場で何百人もの労働者が逮捕され,また失業者たちが早朝,住居から労働収容所に連行された」 (バイエルン) *646 )
    ・「ベルトコンベアー式に逮捕がおこなわれた」 (ノルトハウゼン・ザンガーハウゼン/中部ドイツ) *647 )
    ・「 1000 人を超える逮捕が 6 月から 7 月にかけてあった」 (ブレスラウ)。 *648 )

     こうした逮捕についてSOPADE は,これは住民のあいだに不安と恐怖を広範に広めるためであるとか,たくさん捕まえておいてそのなかから非合法活動分子を見つけ出すものであると分析している。 *649 ) あるいは国境に近い地方で大量に逮捕者が出たのは,政治的に好ましくない分子をそこから遠ざけるためであるといった説明を与えている。 *650 ) じっっさい前年の 『ドイツ報告』 にも,国境警備のため国境地帯から 「国家に敵対的な分子」 をなくす措置が講じられ,政治的に信用のおけない者たちが東プロイセンやメクレンブルクに送られていたことが報告されている。 *651 )
     私は,国境に近い地方で大量の逮捕者が出たのはむしろ要塞が国境線に沿って建設されたことと関連しているのではないかと考える。「政治的に好ましくない分子」 という表現は的を射た表現である。前年の 『ドイツ報告』 のシュレージエンからの報告には 「反社会的分子」 として,「酒飲み,乞食」 とならんで 「職場のわりあてにしたがわなかった,もしくは期限前に切り上げてもどってきた者」 が逮捕されたと記されており, *652 ) 彼らの行動は当局にとって,四カ年計画下の労働配置構想と相容れないものだったからである。
     なおハイドリヒは先の命令で逮捕者をブーヘンヴァルト強制収容所に連行するよう命じているが,これにも理由があった。親衛隊は 1938 年初頭,国防上重要な産業の一環として独自に 「ドイツ採土石有限会社 Deutsche Erd- und Steinwerke GmbH: DEST」 を設立しておりブーヘンヴァルトには同有限会社の一部として煉瓦工場があったのである。 *653 ) ユダヤ人が連行された強制収容所はブーヘンヴァルトのほかにダッハウ,ザクセンハウゼンがあった逮捕者たちはこのほかにも各地の道路建設工事やダム工事にも投入された。アヤースが指摘するように 「反社会的分子」 の大量逮捕の開始の時期は,強制収容所を親衛隊の生産拠点へ拡張する計画が着手された時期と完全に一致していたのである。 *654 )
     強制収容所に入れられなくともさまざまな規制を受けて公的扶助に頼らざるをえなくなっていたユダヤ人は扶助を与えられる代償として無報酬の義務労働をわりあてられ建設工事の補助労働力として労働投入されていた。『ドイツ報告』 は,彼らがそのさいドイツ人労働者と接触しないように監視されていたと伝えている。 *655 )


    *637 ) Durchführung der Dritten Verordnung zum Reichsbürgergesetz. Erlaß des Reichsminister des Innern vom 14. Juli 1938. -Ie 286/38-5012c- in: Krüger, Alf, Die Lösung der Judenfrage in der deutschen Wirtschaft. Kommentare zur Judengesetzgebung (Berlin, 1940), pp. 98-107.

    *638 ) DB, 5 Jahrgang, 1938, Nr. 7, A 66-67.

    *639 ) DB, 1938 / 7, A 66-67.

    *640 ) DB, 1938 / 7, A 79.

    *641 ) Ibid., A 82.

    *642 ) Ibid., A 86.

    *643 )DB, 1938 / 7, A 87.

    *644 ) Ibid., A 86-87.

    *645 ) Ibid., A 95.

    *646 ) Ibid., A 105.

    *647 ) Ibid.

    *648 ) Ibid., A 106.

    *649 ) Ibid., A 105.

    *650 ) Ibid., A 106.

    *651 ) DB, 1937 / 10, A 127-129.

    *652 ) Ibid., A 107.

    *653 ) Broszat, op. cit., pp. 77-78.

    *654 ) Ayaß, Wolfgang, "Asoziale" im Nationalsozialismus (Stuttgart, 1995), p. 162.

    *655 ) DB, 1938 / 7, A 91. 』


    ということで、本日はここまでとさせて頂きます。







    続きは次回に♥




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