2022-04-14 (Thu)

この中には合法なものもあれば、違法なものもあります。すべて不道徳です。
本日のキーワード : 国際政治の主体、列強、寡頭制
The Man Who Sold Ukraine
ウクライナを売った男 ②

They’re not consistent at all, they are polar opposites. In fact, Zelenskyy appears to be operating off a different script altogether. Take, for example, his complete unwillingness to address Russia’s minimal security concerns. Did Zelensky know that Putin had repeatedly said that Ukraine’s membership in NATO was a “red line” for Russia? Did he know that Putin has been saying the same thing over-and-over again since 2014? Did he know that Putin warned that if Ukraine took steps to join NATO, Russia would be forced to take “military-technical” measures to ensure their own security? Does Zelensky know that NATO is Washington-controlled Alliance that has engaged in numerous acts of aggression against other sovereign states. Here’s a short list of NATO’s accomplishments:
全く一致していない。正反対である。実際、ゼレンスキーはまったく別の脚本で動いているように見える。例えば、ロシアの安全保障上の問題には全く無関心である。プーチンが、ウクライナのNATO加盟はロシアにとって 「レッドライン」 だと繰り返し言っていたことを、ゼレンスキーは知っていたのだろうか。プーチンが 2014 年以来、同じことを何度も繰り返して言っていることを知っていたのだろうか? プーチンが、ウクライナがNATO加盟に踏み切れば、ロシアは自国の安全を確保するために 「軍事技術的」 な措置を取らざるを得ないと警告したことを知っていただろうか? ゼレンスキーは、NATOがワシントン支配の同盟で、他の主権国家に対して数々の侵略行為を行ってきたことを知っているのだろうか。NATOの業績を簡単に列挙してみよう。
1. The destruction of Yugoslavia
2. The destruction of Afghanistan
3. The destruction of Libya
4. The destruction of Iraq
5. The destruction of Syria
1. ユーゴスラビアの破壊
2. アフガニスタンの破壊
3. リビアの破壊
4. イラクの破壊
5. シリアの破壊
Does Zelensky know that NATO is openly hostile to Russia and regards Russia a serious threat to its expansionist ambitions?
NATOが公然とロシアを敵視し、ロシアをその拡張主義の野心に対する深刻な脅威と考えていることをゼレンスキーは知っているのだろうか。
Yes, he knows all these things. Still, he publicly expressed his interest in developing nuclear weapons. What is that all about? Imagine the problem that would pose for Russia. Imagine if a US-backed puppet, like Zelensky, had nuclear missiles at his fingertips. How do you think that might impact Russia’s security? Do you think Putin could ignore a development like that and still fulfill his duty to protect the Russian people?
はい、彼はこれらのことをすべて知っています。それでも、彼は核兵器開発に関心があることを公言した。それは一体どういうことなのか。それがロシアにもたらす問題を想像してほしい。もし、ゼレンスキーのようなアメリカの支援を受けた傀儡が、核ミサイルを手にしていたらと想像してみよう。ロシアの安全保障にどのような影響を及ぼすと思いますか?プーチンはそのような事態を無視して、ロシア国民を守る義務を果たすことができると思いますか?
And why did Zelenskyy agree to allow shipment after shipment of lethal weaponry to be delivered to Ukraine if he sincerely sought peace with Russia? Did he think that Putin was too stupid to see what was going on right beneath his nose? Did he think he was normalizing relations by expanding his arsenal, threatening his own people, and jumping through whatever hoops Washington set out for him?
そして、もし彼がロシアとの平和を心から望んでいるのなら、なぜゼレンスキーはウクライナに殺傷能力のある兵器の出荷を次々と許可したのだろうか? プーチンが愚かで、自分の鼻の先で何が起こっているのかわからないとでも思ったのだろうか? プーチンが兵器を拡大し、自国民を脅し、ワシントンが用意したどんな輪もくぐり抜けることによって、関係を正常化しようとしていると考えたのだろうか。
Or did he think that Putin’s requests for security assurances were unreasonable? Is that it? Did he think– that if the shoe was on the other foot– the US would allow Mexico to put military bases, artillery pieces and missile sites along America’s southern border? Is there any president in American history who wouldn’t have done the same thing that Putin did? Is there any president in American history who wouldn’t have launched a preemptive strike on those Mexican weapons and vaporized every living thing for a 20-mile radius?
それとも、プーチンの安全保障の要求が不合理だと思ったのだろうか? そうなのだろうか。彼は考えたのでしょうか? もし逆の立場だったら、アメリカはメキシコがアメリカ南部の国境沿いに軍事基地や大砲、ミサイル基地を設置することを認めるだろうか。アメリカの歴史上、プーチンと同じことをしなかった大統領がいるだろうか? アメリカの歴史上、これらのメキシコの兵器に先制攻撃を仕掛け、半径 20 マイルのすべての生物を蒸発させなかった大統領がいるだろうか?

Maidan coup conspirators Oleh Tyahnybok (left), U.S. Asst. Sec. of State Victoria Nuland (center), Yarsenyi Yatsenyuk, and (right) Vitali Klitschko (rear).
マイダン・クーデターの共謀者であるオレ・タヤニボック(左)、ヴィクトリア・ヌーランド米国務副長官(中央)、ヤルセニ・ヤツェニュク、(右)ヴィタリ・クリチコ(後方)。

Tyahnybok: "Moscow-Jewish mafia" is running Ukraine.
タヤニボック : 「モスクワ・ユダヤ・マフィア」 がウクライナを牛耳っている。
No, Putin’s demands were entirely reasonable, but Zelenskyy shrugged them off anyway. Why?
いや、プーチンの要求はまったく妥当なものだったが、ゼレンスキーはとにかくそれを撥ね退けた。なぜか?
Does Zelenskyy know that there are Right Sektor, neo-Nazis in the government, military and Security Services. Does he know that, while their numbers are small, they are a force to be reckoned with and factor heavily in the hatred and persecution of ethnic Russians? Does he know that these far-right elements participate in torchlight parades, imprint swastikas or SS tattoos on their arms, and revere the racialist ideology of Adolph Hitler? Does he realize that many these Nazis have engaged in criminal acts of brutality including the incinerating of 40 civilians at the Trade Union Building in Odessa in 2014? Does he think that the CIA’s covert programs to arm and train these right-wing militants builds confidence or does he think it reminds Moscow of a catastrophic war in which 27 million Russians were exterminated by Germany’s Wehrmacht?
ゼレンスキーは、政府、軍、保安庁に右翼セクター(ウクライナの民族主義者らで構成される極右政治団体・政党・準軍事組織)、ネオナチが存在することを知っているのか。数は少ないが、彼らは侮れない存在であり、ロシア民族に対する憎悪と迫害の大きな要因になっていることを彼は知っているのだろうか? これらの極右勢力が聖火パレードに参加し、腕に卍やSS(ナチス親衛隊)の入れ墨を刻み、アドルフ・ヒトラーの人種主義的イデオロギーを崇拝していることを彼は知っているのだろうか? 彼は、これらのナチスの多くが、2014 年にオデッサの労働組合ビルで 40 人の民間人を焼き殺すなどの残虐な犯罪行為に従事していることを理解しているのだろうか? 彼は、これらの右翼過激派を武装させ訓練するCIAの秘密プログラムが信頼を築くと考えているのだろうか、それとも、2,700 万人のロシア人がドイツの国防軍によって絶滅させられた破滅的な戦争をモスクワに思い起こさせると考えているのだろうか。
Can you see how everything Zelensky has done, was done with the intention of provoking Russia?
ゼレンスキーがやってきたことは、すべてロシアを挑発する意図で行われたことがお分かりでしょうか?
All the talk of joining NATO, all the talk about building nukes, the steady buildup of lethal weaponry, the movement of troops to the east, the refusal to implement the Minsk Treaty and the rejection of Putin’s security demands. All of these were deliberate provocations. But, why? Why “bait the bear”; that’s the question?
NATO加盟の話、核兵器製造の話、致死的兵器の着実な増強、東部への軍の移動、ミンスク合意の履行拒否、プーチンの安全保障要求の拒否など、すべてです。これらはすべて意図的な挑発行為であった。しかし、なぜ? なぜ「熊虐め」なのか、それが問題なのだ。
Because Washington wants to lure Russia into a war so it can further demonize Putin, isolate Russia, launch a counterinsurgency operation against the Russian army, and impose harsh economic sanctions that will inflict maximum damage on the Russian economy. That’s Washington’s strategy in a nutshell, and Zelenskyy is helping Washington achieve its objectives. He’s allowing himself to be Washington’s tool. He is sacrificing his own country to advance the interests of the United States.
なぜなら、ワシントンはロシアを戦争に誘い込み、プーチンをさらに悪者にし、ロシアを孤立させ、ロシア軍に対する反乱作戦を開始し、ロシア経済に最大の損害を与える厳しい経済制裁を課したいからである。これがワシントンの戦略であり、ゼレンスキーはワシントンの目的達成に協力している。彼は、自分がワシントンの道具になることを許しているのだ。アメリカの利益のために自分の国を犠牲にしているのだ。



☆“The Man Who Sold Ukraine” The Unz Review・ An Alternative Media Selection
☆投資家サーベイ結果発表 「岸田政権、支持しますか?」
本日の書物 : 『戦争と国際法を知らない日本人へ』 小室 直樹 徳間書店
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 【列強の規模が、ヨーロッパから全世界的なものにひろがった】。
【それまでは、ヨーロッパ列強だけが国際政治の主体】であり、アジア、アメリカ諸国は、単なる客体にすぎなかった。…
たとえば、日本に対する【三国干渉】。
明治二十八年 ( 1895 年) 日本は清国に勝って遼東半島を割譲させた。
そこへ、突如として、【ドイツ、フランス、ロシアの三国が干渉】してきた。遼東半島を清国に返せ、と。事前において、【戦勝国日本に一言の相談もなしに】。
日本国内は怒り猛った。
しかし、【列強の意思】。
いかんともなしがたかった。【理不尽な三国干渉】を受諾するほかなかった。
【日露戦争で、日本はロシアに勝った】。その結果、【列強の一員にのし上がった】。ポーツマス講和会議を、アメリカが斡旋した。折衝がくりかえされた。が、日露戦争に主戦場を提供した清国には、一言の発言ももとめられなかった。一言の相談も、もちかけられなかった。
右の例からも明らかなように、【それまでは、ヨーロッパ列強だけが国際政治の主体】であり、アジア、アメリカ諸国は客体にすぎなかった。
【そこへ、アメリカ合衆国と日本とが、新たに列強の仲間に加わることによって、列強の規模は、ヨーロッパ的なるものから、世界的なるものにひろがった】。
【それとともに、外交システムに、大きな変化が起きた】。
【それまでの外交は、いわば、仲間うちの談合であった】。
【ヨーロッパの貴族とくに王様は、密接に血縁関係で結ばれている】。…
【王は最高の人】だから、【対等の人と結婚】するとすれば、【外国の王の娘のほかはない】ではないか。臣下との結婚ということは、まあ、考えられない。
そうすると、【王家はみんな親類】ということになる。
貴族のばあいも、これに近い。
【ヨーロッパ人は、身分ちがいの結婚にはたいへんな抵抗を感ずるが、外国人との結婚は、ちっとも気にしない】。…
外国人との結婚がちっとも気にならず、みんなほとんど親類づきあいというのであれば、【外交だって、その線でゆこうということになる】。
【これがヨーロッパ外交の原点】。』

ライヒ経済省の 「財産申告政令」 と 「財産申告指令」 の狙い
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、ロシアによるウクライナ侵攻という歴史的な出来事を理解する上で必要不可欠な要素であるにもかかわらず、特に戦後の日本人に欠けている、「戦争・国際法・国際政治・国際経済」 の基礎に歴として存在しているのが 「キリスト教」 という宗教である、という歴史認識を、著者独特の表現で事の本質を見事に射貫く解説がなされている書物になります。「宗教」 あるいは 「哲学」、はたまた 「法律」 というものを、いわゆる “文系アタマ” の人々は、主観的な感覚・感情によって “自分勝手な” 解釈をしがち (例 : ☆入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任) なのですが、「宗教」 にも 「哲学」 にも 「法律」 にも、「数学」 的 (= 論理的) な要素が多分に含まれていて (というか、それそのものですがw)、“自分勝手な” 解釈は何ら意味をなさないものである、ということが本書を通じて広く日本国民全体で共有できるように、という願いを込めて当ブログはお薦めさせて頂きます。

それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。
(死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)
※( )内は前回の数値

☆Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE
アメリカ : 984,190(982,675)÷80,270,988(80,168,842)=0.0122・・・(0.0122) 「1.22%(1.22%)」

イタリア : 160,402(159,909)÷15,106,066(14,877,144)=0.0106・・・(0.0107) 「1.06%(1.07%)」

日本 : 28,531(28,332)÷6,885,876(6,730,654)=0.0041・・・(0.0042) 「0.41%(0.42%)」

さて、これまで、ドイツで生まれた「キリスト教神智学(Christian theosophy)」・「ベーメ神智学(Boehmian theosophy)」を出発点として、その後、人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想を経て、ソ連崩壊とともに死滅したかに思われたものの、現在に至るまで一貫して受け継がれていく “信仰” が存在していて、その根底にある、ユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の意識により、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することによって、「贖罪」の対象物として “罪” を創り出し、自らの罪に対する償(つぐな)い・贖(あがな)いを果たそうと躍起になっている、そんな 「極左おパヨク」 に繋がる一連の系譜について確認して参りました。
ここで御理解頂きたいのは、そんなおバカな 「極左おパヨク」 は、飽くまでも、ある連中が果たそうとしている、ある目的の達成のための道具でしかないということです。
その目的とは、さまざまな “アイデンティティ” を意図的に粗製濫造することで、社会分断を行い、到底達成不可能な目標である “平等 (equality)” を強要(←全人類の均一化・同質化などは不可能であることは自明です!)し、多くの人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し(←これが、ポリコレw)、人々の “自由” を奪う極めて権威主義的な統制社会の再構築を目指す、というものです。
では、なぜ、それを目指そうとするのでしょうか?
それは、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」のもとで、ある連中にとって非常にコントロールしやすい社会が構築できるからです。

その「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」については、これまたドイツ出身の社会学者・歴史学者であり、マルクス主義者で、エリート理論の信奉者で、ファシズム(全体主義者)でもあったロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)が提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy)について確認をしてきましたが、そこにもやはり「キリスト教神智学(Christian theosophy)」・「ベーメ神智学(Boehmian theosophy)」の影響を見ることができました。

ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
また「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」と同根の言葉である「オリガルヒ(oligarch)」につきましても、ロシアやウクライナの事例を参照して、それがいまから数十年前に、マルクス主義が生み出した “社会主義・共産主義の幻想” が瓦解・崩壊する過程で作り出されたものであることを確認し、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 (=ユダヤ教徒)」 が存在していることも判明いたしました。さらには、ウクライナとユダヤ人 (=ユダヤ教徒) と特異な関係を、ウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認することができました。
そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために、、次の論文を見ているところとなります。

☆『ナチ・ドイツにおける経済の脱ユダヤ化 ― 1938年十一月ポグロムの社会経済的背景 ―』 山本達夫
それでは早速、続きを見て参りましょう。
『 第 7 章 経済の脱ユダヤ化とアーリア化
4. 国家公民法第三政令と「六月行動」
…じっさい1938 年 7 月 5 日付ライヒ経済大臣回覧通達 「ユダヤ人財産の申告に関する政令にもとづいて布告された四カ年計画総監の 1938 年 4 月 26 日付指令」 〔史料編 26 ) 〕 *626 ) においても,ライヒ経済省は財産申告政令と財産申告指令の狙いがつぎの 3 点であったことが記されている。
① 国家指導部にユダヤ人資本の総額 (オーストリア併合によって緊急に必要となった) とドイツ経済に及ぼし得る影響の概要を伝えること
② ドイツ民族の利益に反しない方向にユダヤ資本を活用すること (ただし,「 〔ユダヤ営業経営の〕 譲渡認可」 が 「ドイツ国民経済の一般的利益に反する場合は拒否されなければならない」 とされた。)
③ アーリア化にさいして闇取引(一般経済政策の観点から望ましくない)が防止されるようにすること
「偽装禁止令」,「財産申告政令」,「財産申告指令」 の布告意図に関連して,私がとくに興味を覚えるのは,これらの法令に署名したゲーリングがニュルンベルク裁判で行った供述である。担当検事がこれらの法令について尋ねたとき,法令の布告から 8 年も経過した 1946 年 3 月の時点でなお彼がよく覚えていたのは 「偽装禁止令」 と,とくに 「財産申告指令」 なのである。
ニュルンベルクの法廷における判事の質問は ― 裁判の目的と性格からして仕方のないことではあるが ― ユダヤ人大量殺戮に対するゲーリングの責任を立証することを主眼とした誘導尋問のようなかたちになっている。「第三帝国第二の男」 ゲーリングがユダヤ人絶滅に関与していないなど,当時だれも想定できなかったのである。
ニュルンベルク裁判では,かぎられた期日内に有罪判決を言い渡さなければならないという制約があるため,検事はあらゆる項目についてさまざまな角度から尋問する余裕はなかった。尋問の仕方も,裁判の政治的目的が前面に出ているために,現在のわれわれの関心からすれば適切さを欠いたり的外れになっていたりするものが少なくない。裁判の速記録という 「史料」 だけが頼みの歴史研究者としては,完結した過去の出来事を前にもどかしさを感じるところである。
けれども,これまで明らかにした経緯や背景を念頭において法廷でのやりとりを追ってみると,この問題についてゲーリングがかなり率直に証言していることに逆に驚かされる。ゲーリングはべつに開き直ったわけでも,あるいは到底あり得ない減刑を期待して模範解答を口にしたわけでもなかった。ゲーリングはまさに当時の四カ年計画総監の立場で,戦争経済体制の確立という 「経済問題」,すなわち原料配分の問題や労働力配置の問題,社会秩序の維持といった問題と格闘していたときの印象を,正直に開陳したまでなのである。裁判記録の問題の箇所を抜き出してみる。ジャクソン Jackson 判事 (J と略記) とゲーリング (G と略記) とのあいだに,1946 年 3 月 20 日水曜日の午前中に交わされた問答はつぎのようなものである。 *627 )
J : それから,あなたは 1936 年 12 月 1 日に法律を発布し,それによると財産を国外に持ち出したり国外に留め置いたりしたドイツ人には死刑が科せられることになっていた。
G : その通りだ。
J : 換言すれば,法を犯した者の財産は国庫に入り,民族裁判所が刑事訴追したということですか。
G : その通り,外国為替保護令だ。政府の認可なく外国に口座を設けた者が対象となる。
J : 〔職業官吏制度再建法,ニュルンベルク法についてゲーリングの確認をとったのにつづき〕 あなたの 3 番目の法律は 1938 年 4 月 22 日に布告されましたが,それは国内のユダヤ営業経営の偽装を処罰するものでした。
G : その通りだ。(Jawohl)
〔この間,2 回の問答あり〕
J : それからあなたは 1938 年 4 月 26 日に四カ年計画の枠内で命令を出し,それによるとユダヤ人の財産は申告されなければならなかった。つまり国内外にいるユダヤ人はその財産を申告しなければなりませんでした。これに相違ありませんか。
G : そうだと思う。(Ich nehme es an.) 記憶にはない。だがあなたがいま手元にその命令を持っていて,そこに私の署名があるのなら,それについては何の疑問もなかろう。
J : 1938 年 4 月 26 日,あなたは四カ年計画の枠内でひとつの命令を出し,それによればユダヤ営業経営に関する処分は,すべて事前に政府による認可を受けなければなりませんでした。
G : それについては覚えている。(Daran erinnere ich mich.)
J : 〔1938 年 11 月 12 日付でゲーリングが出した別の命令について彼の確認をとろうとする〕
G : すでにのべたように私は当時出されたそれらすべての法令に署名したのであって,そのことに対して責任をとる。(Ich habe bereits ausgeführt, daß ich diese sämtlichen damals erlassenen Gesetzen gezeichnet habe und dafür die Verantwortung trage.)
アーリア化を国家の積極的な政策と見なす従来の研究においては,総じて財産の申告を定めた 「財産申告政令」 の意義が強調されている。 *628 ) しかし四カ年計画総監ゲーリングは,ユダヤ人財産の所有権の移動やユダヤ営業経営の存続についての規定・制限を定めた 「財産申告指令」 について 「それについては覚えている」 と明言しているのである。このことは当時,偽装アーリア化対策が国家指導部にとっていかに大きな関心事であったのかを裏付けるものである。
「反偽装令」,「財産申告政令」 および 「財産申告指令」 が,アーリア化を促進させるためではなく,逆にそれを制限・阻止するために発せられたことは明らかである。だが間もなく国家指導部はアーリア化の単なる阻止という消極的な路線では不十分であると考えるようになった。最大の理由は国際環境の変化である。1938 年 5 月には,前年の末以降,急速に具体化していたチェコスロヴァキアに対する侵略計画 ( 「ホスバッハ議事録 (1937 年 11 月) 」 ) が実行段階にさしかかっており,3 月のオーストリア併合もあって列強の関心は中部ヨーロッパに集中していた。こうしたなか問題の力による解決をも辞さない決意を固めていたナチ指導部は,一刻も早い臨戦体制の確立という考えに取りつかれるようになった。臨戦体制の確立とは何よりもまず労働力と原料の集中配分体制の樹立であった。
*626 ) Der Reichswirtschaftsminister. III Jd. 2818/38. Berlin, den 5. Juli 1938. Betrifft: Durchführung der auf Grund der Verordnung über die Anmeldung des Vermögens von Juden erlassenen Anordnung des Beauftragten für den Vierjahresplan vom 26. April 1938 (RGBl., I S. 415) in: GWB 624
*627 ) 以下,引用はIMG. Bd. 9, pp. 572-573, Mittwoch, 20. März 1946 による。
*628 ) Adam, op. cit., P. 177, 大野『ナチズムと「ユダヤ人問題」』,141 頁。 』
ということで、本日はここまでとさせて頂きます。
続きは次回に♥
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