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    親子チョコ💗(500冊以上の良質な書籍のご紹介)

    子どもたちの教育のため、また、その親である私たち自身が学ぶための、読まれるべき良質な書籍のみをご紹介させていただきます。

     >  世界史 >  現在のロシアが正当化しようとしているもの

    現在のロシアが正当化しようとしているもの

    A storm is coming 206

    本日のキーワード : ナチ・ドイツ、ソビエト連邦、ロシア、中国



    中国共産党

    Document 9
    第 9 号文書

    Document 9 was leaked in 2013 by a Chinese dissident journalist who was in turn sentenced to a seven-year imprisonment for "leaking state secrets". The name of the document, Communiqué on the Current State of the Ideological Sphere (also translated as the Briefing on the Current Situation in the Ideological Realm) comes from it being the ninth such document issued that year in China. It is thought that Document No. 9 was issued by the General Office of the Central Committee, and would have required the approval of Xi and other top leaders. The New York Times reported that it "bears the unmistakable imprimatur of Xi Jinping". The document specifically addresses the following issues, using these same terms in the document itself, which it regards as problems that threaten Chinese Communist Party rule:
    第 9 号文書は、中国の反体制派ジャーナリストによって2013 年にリークされたもので、その結果、彼は「国家機密漏洩」 の罪で 7 年の禁固刑を言い渡された。この文書の名称である「「現在のイデオロギー領域の状況に関する通達」 ( 「イデオロギー領域の現状に関するブリーフィング」 とも訳される) は、その年に中国で発行された 9 番目の文書であることに由来している。第 9 号文書は、中央委員会総局が発行し、習近平をはじめとするトップリーダーの承認が必要であったと思われる。ニューヨーク・タイムズ紙は、「まぎれもなく習近平の刻印がある」 と報じている。この文書では、中国共産党の支配を脅かす問題点として、文書自体にこれらの同じ用語を用いて、具体的に次のような問題を取り上げている。

    Promoting Western Constitutional Democracy: An attempt to undermine the current leadership and the "socialism with Chinese characteristics" system of governance. Including the separation of powers, the multi-party system, general elections, and independent judiciaries.
    西側の立憲民主主義を推進すること。現在の指導部と 「中国の特色ある社会主義」 の統治システムを弱体化させようとする試み。三権分立、複数政党制、総選挙、独立した司法を含む。

    Promoting “universal values” in an attempt to weaken the theoretical foundations of the Party's leadership. That “the West’s values are the prevailing norm for all human civilization”, that “only when China accepts Western values will it have a future”.
    「普遍的価値観」 を推進し、党の指導の理論的基盤を弱めようとする。「西洋の価値観は全人類文明の有力な規範である」、「中国が西洋の価値観を受け入れてこそ、未来がある」 ということ。

    Promoting civil society in an attempt to dismantle the ruling party's social foundation, i.e. that individual rights are paramount and ought to be immune to obstruction by the state.
    中国共産党の社会的基盤を解体しようとして市民社会を推進すること、すなわち、個人の権利が最優先され、国家による妨害を受けないようにするべきだという考え方。

    Promoting Neoliberalism, attempting to change China's Basic Economic System, i.e. unrestrained economic liberalization, complete privatization, and total marketization.
    新自由主義を推進し、中国の基本的な経済システムを変えようとすること。つまり、無制限の経済自由化、完全な民営化、完全な市場化である。

    Promoting the West’s idea of journalism, challenging China’s principle that the media and publishing system should be subject to Party discipline.
    西側のジャーナリズムの理念を推進すること。メディアと出版制度は党の規律に従うべきという中国の原則に挑戦している。

    Promoting historical nihilism, trying to undermine the history of the CCP and of New China. For example to deny the scientific and guiding value of Mao Zedong thought.
    歴史的ニヒリズム (虚無主義) を推進し、中国共産党の歴史と新中国の歴史を弱体化させようとすること。例えば、毛沢東思想の科学的、指導的な価値を否定すること。

    Questioning Reform and Opening and the socialist nature of socialism with Chinese characteristics. For example, saying “We have deviated from our Socialist orientation” such as occurred after Glasnost or "openness" eased censorship restrictions in the Soviet Union.
    改革開放と中国の特色ある社会主義の社会主義的性質を疑問視すること。例えば、ソビエト連邦でグラスノスチや 「開放」 が検閲制限を緩和した後に起こったような 「我々は社会主義志向から逸脱した」 ということ。

    Hitler.jpg 習近平思想の着想者であり、中国的特徴を持つ社会主義の提唱者である習近平総書記

    パペット岸田・林

    “Chinese Communist Party” Conservapedia

    投資家サーベイ結果発表 「岸田政権、支持しますか?」



    本日の書物 : 『日本人が知らない近現代史の虚妄』 江崎 道朗 SBクリエイティブ



    戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。

    そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。

    私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、

    客観的に情勢を判断する必要があります。

    それでは、この書物を見ていきましょう!




    『 そもそも【欧州統合】はナチス・ドイツソ連・共産主義体制という二つの全体主義から、自由と民主主義を守るために生まれました】。2019 年 9 月 19 日の欧州議会の決議文はこう記しています。

    《 欧州の統合ははじめから、二つの世界大戦によって引き起こされた苦しみと、ホロコーストをもたらしたナチスの圧政と、中欧・東欧への全体主義的で非民主的な共産主義体制の拡大への対応であったし、欧州における深刻な分断と敵意を協力と統合によって乗り越えて、欧州において戦争を終わらせ、民主主義を守る方法であった。》 (以下、拙訳)



     よって二つの全体主義による 「犯罪」 を記憶することが重要】だとしてこう指摘しています。

    《 全体主義体制の犠牲者を記憶し、共産主義者・ナチス及び他の独裁体制によって行われた犯罪という欧州共通の遺産を認識して関心を高めることが、欧州及びその人々の統合にとって、また、現在の外的脅威に対する欧州の抵抗力をつくるために決定的に重要である。》



     では何故いまソ連・共産主義の犯罪を問題にする】のでしょうかそれは【現在のロシアがソ連・共産主義の 「犯罪」 を正当化しようとしている】からです

     決議はロシアのプーチン政権をこう批判しています。

    《 ソ連人民代議員大会が 1989 年 12 月 24 日に、モロトフ・リッベントロップ協定締結及びその他のナチスとの間で結んだ協約を非難したにもかかわらず、2019 年 8 月にロシア政府当局者は、このモロトフ・リッベントロップ協定とその結果に対する責任を否定し、真に第二次世界大戦を引き起こしたのはポーランド、バルト諸国および西側であるという見解を現在広めつつある。》





     よって決議では 《 全体主義的共産主義体制及びナチス体制が行った犯罪と侵略行為に関して明確かつ原則に基づいた評価を行うことをすべての加盟国に求める】》 として、次のようなことを加盟国に求めています。

    《 全体主義体制の被害者のため8月23日を欧州追悼の日として欧州連合と国レベルの両方で記念すること》

    《 欧州連合のすべての学校のカリキュラムと教科書に全体主義体制の帰結の歴史と分析を含めることによって、これらの問題に対する若い世代の関心を高めること》

    《 現在のロシア指導層が歴史的事実を歪めてソビエト全体主義体制が犯した犯罪を糊塗しようとする努力を深く憂慮し、そのような努力は欧州の分断を目的として行われている民主的欧州に対する情報戦の危険な要素であると考える。それゆえ、欧州委員会がこうした努力に対して断固として対抗することを求める。》





     現在のロシアがソ連・共産主義体制時代の戦争犯罪を正当化しヨーロッパ各国で宣伝工作を仕掛けていることに対して、欧州各国でもナチズム共産主義という二つの全体主義の問題点を徹底的に伝えることが自由と人権、民主主義を守るためにも必要だ】、と考えているのです。





     一方【日本】ではナチズムの問題点はなんとなく教えられていますが【もう一つの全体主義である共産主義については、明確に問題点を理解している人はごく僅かです】。』

    日の丸

    原料不足と原料わりあて制度がもたらした弊害


    いかがでしょうか?

    今回ご紹介させていただく書物は、未だに学校教育で使用される 「アナクロ (時代錯誤) 」 な左翼の歴史観に基づき記述される歴史教科書では、決して学ぶことができないまさに現在進行形の 「近現代史の見直し」 がどのような内容であるのか非常に分かりやすく解説がなされている良書で、本書を通じてナチ・ドイツも社会主義国家・ソ連も、詰まる所、同じ穴の狢 (むじな) であることが理解できれば、現代中国がナチズム国家であるということが自然に分かるようになる、そんな当ブログお薦めの書物になります。

    読書6-54

    それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。

    (死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)

    ※(  )内は前回の数値

    handslpoc.jpg
    Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE

    アメリカ : 948,350(948,196)÷78,937,322(78,927,925)=0.0120・・・(0.0120) 「1.20%(1.20%)」
    handslpoc1.jpg

    イタリア : 154,560(154,416)÷12,764,558(12,732,680)=0.0121・・・(0.0121) 「1.21%(1.21%)」
    handslpoc2.jpg

    日本 : 23,469(23,325)÷4,954,865(4,891,242)=0.0047・・・(0.0047) 「0.47%(0.47%)」
    handslpoc3.jpg















    さて、これまで、ドイツで生まれた「キリスト教神智学(Christian theosophy)」「ベーメ神智学(Boehmian theosophy)」出発点として、その後人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想を経て、ソ連崩壊とともに死滅したかに思われたものの現在に至るまで一貫して受け継がれていく “信仰” が存在していて、その根底にあるユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の意識により、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することによって、「贖罪」の対象物として “罪” を創り出し自らの罪に対する償(つぐな)い・贖(あがな)いを果たそうと躍起になっているそんな 「極左おパヨク」 に繋がる一連の系譜について確認して参りました。



    ここで御理解頂きたいのは、そんなおバカな 「極左おパヨク」 は、飽くまでも、ある連中が果たそうとしている、ある目的の達成のための道具でしかないということです。

    その目的とは、さまざまな “アイデンティティ” を意図的に粗製濫造することで、社会分断を行い到底達成不可能な目標である “平等 (equality)” を強要(←全人類の均一化・同質化などは不可能であることは自明です!)し、多くの人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し(←これが、ポリコレw)、人々の “自由” を奪う極めて権威主義的な統制社会の再構築を目指す、というものです。

    では、なぜそれを目指そうとするのでしょうか?

    それは、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」のもとである連中にとって非常にコントロールしやすい社会が構築できるからです。

    ポイント 女性

    その「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」については、これまたドイツ出身の社会学者・歴史学者であり、マルクス主義者で、エリート理論の信奉者で、ファシズム(全体主義者)でもあったロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy)について確認をしてきましたが、そこにもやはり「キリスト教神智学(Christian theosophy)」「ベーメ神智学(Boehmian theosophy)」の影響を見ることができました。

    ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
    ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)

    また「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」同根の言葉である「オリガルヒ(oligarch)」につきましても、ロシアやウクライナの事例を参照して、それがいまから数十年前にマルクス主義が生み出した “社会主義・共産主義の幻想” が瓦解・崩壊する過程で作り出されたものであることを確認し、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 (=ユダヤ教徒)」 が存在していることも判明いたしました。さらにはウクライナとユダヤ人 (=ユダヤ教徒) と特異な関係をウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認することができました。



    そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために、次の論文を見ているところとなります。

    egdhsied.jpg
    『ナチ・ドイツにおける経済の脱ユダヤ化 ― 1938年十一月ポグロムの社会経済的背景 ―』 山本達夫

    それでは早速、続きを見て参りましょう。

    『 第 4 章四カ年計画の影響

    1. 原料不足と原料わりあて制度
     鉄鋼・金属産業において原料不足が解消された原因を,『ドイツ通信』 は受注における緊急度のランク付けに見ていた。ランク付けは鉄鋼輸入監視局 (鉄・鉄鋼) が 1937 年 3 月に発令したものである。そこでは注文の許可に優先順位が付けられ,軍需発注が最優先されていた。軍需発注のつぎに来たのが経済的に意味のある発注,つまり工作機械や代替原料を生産するための工場の建設であった。三番目が輸出関連の発注で,国内向け発注は後回しにされていた。 *340 )
     軍需関連産業や輸出関連産業とは対照的に,いつまでも原料不足を克服できない産業部門もあった。『ドイツ報告』 が 「四カ年計画の実施前から原料不足に苦しんでいた」 と書く繊維産業である。繊維産業は原料管理体制が始まるといっそう大きな困難を抱えることになった。『ドイツ報告』 ( 1937 年 1 月) には,ある種の製品において再生羊毛,スフの混合割合が強制的に定められ,さらにスフや人工繊維がわりあて制になったため,支給される糸の種類に応じて生産工程を変更しなければならなくなったと記されている。 *341 ) また編み物工場においては,粗悪な繊維の混入によって木綿を原料とする作業工程に支障が出たことが紹介されている。糸が不均一なために編み機の針が頻繁に反応して製品が破損する。そのため工場は製品を欠陥品として販売せざるを得なくなったのである。また労働者たちは糸づまりのために頻繁に機械を分解修理しなければならず,そのために出来高給を減じたのであった。 *342 )
     繊維産業の困難は鉄の発注優先順位によって増大した。故障の多くなった機械の部品をとりかえたり代替繊維用の新しい機械を購入したりするさいも, *343 ) 繊維産業は鉄の発注許可が最下位にランクされていたために必要な発注許可がおりなかったからである。1937 年をとおして第三帝国の原料不足は危険な規模になりつつあった。『ドイツ報告』 ( 1937 年 10 月) はこう分析している。「私経済部門が 『国家の必要』 のために押しやられれば押しやられるほど,個人で自由にできる原料の量が制限され,私経営は国家官僚と軍指導部の任務遂行のための単なる道具になっていった」。 *344 )
     こうした傾向に拍車をかけたのが,原料 (鉄・鉄鋼) のわりあて制度であった。受注緊急度のランク付けが,鉄の配分における戦争経済の民需に対する優位を確保する目的をっていたのに対して,わりあて制度は需要目的別に原料を配分しようとするものであった。 *345 ) 『ドイツ報告』 は概要をこう紹介している。まずあらゆる鉄需要に優先するのが輸出用注文であり,需要者のなかでグループ A として第一にくる。つぎがグループ B と C で,この 3 つには固定したわりあてがなされる。グループ B は公共の需要者からなり,国防軍,四カ年計画,国有鉄道,郵政,ドイツ道路全国総監およびその他の公共需要が入る。グループ C は一連の個人需要者で,自動車産業,機械・ボイラー,造船,冶金および鉱山業,近郊鉄道が属する。これ以外のものはすべてわりあてをされない需要であり,自由取引用に残されている分にたよるほかない。 *346 )
     特定の産業部門への原料の集中は,同一産業部門内においては原料の不均等配分となった。経営規模による原料確保能力の差が生じたのである。『ドイツ報告』 (シュヴァルツヴァルト発) は,小規模経営の所有者が,自分たちが冷遇されていると感じており,大規模工場だけに必要な原料が回され,小規模工場には原料が渡されないうえ軍関係の納品からも排除されていることに不満を募らせていると伝えている。 *347 ) またザクセンの繊維産業部門に関する報告には 「原料の配分はきわめて不均等」 とあり,「一方で 3 年分の原料の貯えをもつ大規模工場が,新規に 500 ~ 1000 平方メートルの材料貯蔵庫を建設するのに,他方では,数の上では絶対的多数を占める小規模経営はまったく供給を受けていない」 とある。 *348 )
     ただし,個別的な事例としては,最初のうちは大規模工場が原材料の蓄えを有していることを理由に,小規模工場のためにわりあてを削られたことも報告されている (西南ドイツの製靴業)。 *349 ) これに対しては大規模工場が苦情を申し立て,すべての工場にわりあて量にそった供給がなされるようになった。そのため小規模工場はヤミ屋からの原材料に頼らざるを得なくなったという。 *350 )
     原料わりあてに際して不利な立場に立たされた小規模経営は,競争力を維持するために質の悪い原料を用いて経費を抑え,従業員に通常の賃金率を下回る支払いをするほかなかった。 *351 ) 経営者たちは,同業の競争相手が原料や商品を買い占めているのではないかと家屋を捜索したり当局に告発したりしたという。 *352 ) また小規模経営のなかには,短縮操業を余儀なくされたり閉鎖に追い込まれたりするものも出るようになった。シュレージエンの紡績工場について,労働管理官の月刊報告 ( 1937 年 5 月分) はこう記している。「小さな工場を排除する目的で,コンツェルンが形成され始めているのではないかという疑いが生じている」。 *353 )
     原料不足によって最大の損害をこうむった産業部門は繊維産業と皮革 (製靴) 産業であった。とくに中小の経営は深刻な打撃を受けていた。先のジールップの秘密報告 ( 1936 年 8 月 27 日付) には,「繊維原料の不足のために窮状がいまなお続いている。 90 万の職場を持ちこたえさせなければならない」 と記されている。 *354 ) また,1937 年 6 月 26 日付でライヒ労働大臣が首相官房にあてたつぎの書簡からも同様の状況が読みとれる。


     「種々の原料不足は現在なお続いているので個々の生産部門においては短縮労働を余儀なくされている。国家局の統計では扶助を受けている短縮労働者の数しか把握されていないが,それは 1937 年 4 月上旬の時点で 11 万 1000 人である。絶対的な短縮労働者の数は間違いなくこれよりもはるかに多い。扶助を受けている短縮労働者の大半は,繊維産業 ( 7 万 6000 人) と製靴産業 ( 2 万人) にいる」。 *355 )
     

     他方,原料不足と失業者の増大から利益を得る者もあった。西南ドイツからの 『ドイツ報告』 はこう伝えている。


     「原料不足がもたらしたのは闇取引と闇労働である。合法,非合法の皮取引商人,あるいは靴の買い占め人が必要な融資を現金または商品ですると,それで工場を開く専門屋がすぐ出てくるのだ。工場では失業者が募集されているが,失業者たちはそこで正規の賃金をはるかに下回る賃金で働き,疾病保険金庫にもその他の失業保険機関にも届けられていない。労働戦線に対しても,彼らは引き続き失業保険を支払っているだけである。彼らは1 日 10 時間かそれ以上働いている。このような場合,工場主はたいてい立派なナチ党員なので,大工場経営者の抗議にも動じることがない。もっともユダヤ人かその他の 『国家の敵』 の場合だと話は別だが」。 *356 )


     ここで言及されている 「ユダヤ人」 の姿を連想させるのが,ベルリンのジュート工場に関する報告である。


     「ジュート加工工場の大部分はユダヤ人の手にあるが,厄介な問題は生じていない。ただ軍と党から注文がないだけである。ジュートが不足しているので,アーリア人の注文主は,たとえそれがユダヤ人の工場からのものであろうとも,商品を受け取れさえすればそれで大喜びなのだ」。 *357 )
     この報告はライヒ経済省 ( Ⅳ / 3 課営業経済組織と身分的構築担当 : バールト上級課長補佐 *358 ) ) が掲げていた 「営業経済の領域においてはユダヤ人の法的不利は生じさせてはならないという基本原則」 *359 ) を考え合わせる必要がある。これはライヒ経済省第 IV 部第 6 課 「経済経営および団体に対する不当干渉の防御」,通称 「ユダヤ人保護課」 の方針でもあった。
     つまり原料不足が支配的な状況においても,経営基盤のしっかりしたユダヤ営業経営が存続できる可能性は十分あったのである。問題は,わりあてられる原料の絶対量が減少するなかでユダヤ営業経営に敵対的な集団が形成されつつあったことである。四カ年計画の遂行にともなって原材料不足が営業経営の内部に深刻な不平等を生み出す一方,増大する労働力の不足によって新たな問題が生じた。


    *340 ) DB, 1937/ 3, A 96

    *341 ) DB, 1937/ 1, A 57, 63.

    *342 ) DB, 1937/ 1, A 63.

    *343 ) DB, 1936/ 9, A 32.

    *344 ) DB, 1937/10, A 21.

    *345 ) Ibid.

    *346 ) また,グループA ~ C に対する割り当て以外の鉄の不正供給のために,割り当て以外の鉄に頼っている工場が存在基盤を奪われたことも報告されている。DB, 1937/10, A 21-22.

    *347 ) DB, 1937/1, A 54.

    *348 ) DB, 1937/1, A 61.

    *349 ) DB, 1937/1, A 75.

    *350 ) 同じく西南ドイツの製靴業。DB, 1937/10, A 52.

    *351 ) Ibid. 労働管理官の月刊報告(1937 年10 月)にも,協定賃金以下の支払いについての記述が見られる。Mason, op. cit., Dok. 47, p. 371.

    *352 ) シュレージエンからの報告。DB, 1937/5, A 59.

    *353 ) Mason, ibid., Dok. 40, p. 336.

    *354 ) BA. R8119F/P-391, op.cit.

    *355 ) Mason, op. cit., Dok. 40, p. 356.

    *356 ) DB, 1937/5, A 52, 54.

    *357 ) Ibid., A 57.

    *358 ) 先のライヒ経済省組織図参照。バールトは1937 年末ごろ課長に昇進している。参照:BA. R 3101-8934, 53.

    *359 ) ライヒ経済省の内部文書(1936 年8 月12 日付)にみられる。BA. R 3101-8934, 43. 』


    ということで、本日はここまでとさせて頂きます。







    続きは次回に♥




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