2020-06-29 (Mon)

本日のキーワード : ハイエク、オーストリア学派、清算主義
オーストリア学派(オーストリアがくは)は、経済学における限界革命において、レオン・ワルラス、ウィリアム・ジェボンズとともにその三大巨星であったウィーン大学のカール・メンガー、およびその流れをくむ経済学者たちの学派である。ウィーン学派とも呼ぶ。
本日の書物 : 『政治無知が日本を滅ぼす』 小室 直樹 ビジネス社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 鉄枷(てつかせ)の様な過酷なヴェルサイユ体制。是れを脱却する事なんぞ、とても出来る道理はない。
誰もが、こう思った。
しかし、ヒットラーは、そうは思わなかった。此処が、彼の正しく天才たる所以(ゆえん)である。…

アドルフ・ヒトラー 1936年
当時、米ソなんて、未だ未だ田舎の途上国。【世界の中心は英国にある】とされていた。
【全て何でも、イギリス中心に決まる】のだ。
其の英国が、ヨーロッパのバランスを考えて【ドイツ寄り】になって来た。
となると、【状況は根本的に変わって来る】。…

【当時の英国は、アメリカさえも従えて、世界を支配している】とさえ思われていた。
【史上空前の世界帝国】だ。今のソ連だって、ジンギスカンだって、是れには及ばない。
其の、大英帝国がドイツの側に立ちそうになったのだ。
伝統的に言って英国は、【ヨーロッパ大陸における力のバランス】を重視する。
是れが、英国【安全の為の必要条件】であるからだ。其れ故、ドイツが余り強くなり過ぎる事も困るが、逆に余り弱くなり過ぎて、フランスの覇権が確立する事、是れも困るのだ。…
是れは一つ、英国が力を貸してドイツに然るべき地位を与えてやったら、一方に於いては、大陸に於ける力のバランスを恢復(かいふく)すると共に、他方に於いては、ドイツ人の感謝を得るに違いない。
何と名案ではないか。英国人は、段々とこう考える様になってきた。
【是れがまた、ヒットラーの趣味とピタリだ】。』

財務省官僚らの緊縮主義の大本
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、普段から政治に無関心でいるために『政治音痴』な日本国民の方々と、その職務として政治に関心を持っているにもかかわらず、何故か『政治音痴』な「朝日新聞グループ」に代表される日本のメディア関係者と、さらには、それを生業(なりわい)としているにもかかわらず、どうしようもなく『政治音痴』な政治家におすすめの良書で、『政治』というものが何か、がキチンと基本的なところから理解できる書物になります。

それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。
(死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)
※( )内は前回の数値

☆Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE
アメリカ : 121,969(121,228)÷2,380,490(2,347,022)=0.0512・・・(0.0516) 「5.12%(5.16%)」

イタリア : 34,644(34,675)÷239,410(238,8330)=0.1447・・・(0.1451) 「14.47%(14.51%)」

日本 : 967(965)÷17,963(17,879)=0.0538・・・(0.0539) 「5.38%(5.39%)」

北京近郊の安新県は昨日ロックダウンされた。北京の新発地卸市場に出入りした感染者が県内で多数確認されたからである。しかしこの安新県よりも、北京中心部は問題の新発地市場にずっと近いし、市場とは往来も多い。安新県がこうなっていたら北京市とその周辺一帯は危ない。北京のロックダウンも近い?
— 石平太郎 (@liyonyon) June 28, 2020

さて、2つの世界大戦の戦間期において、当時の覇権国であったイギリスが、“自国の安全保障のため”に、ヒトラー率いるドイツに梃入(てこい)れを行うようになる流れが、本文からも御理解頂けると思いますが、この動きを参考にして、大東亜戦争後に世界の覇権国となったアメリカが、その後、“自国の安全保障のため”に、どのような行動を取ったのかを考えてみますと、まず、ソ連を盟主とする共産主義国に対抗するため、朝鮮戦争(1950年6月~1953年7月)を切っ掛けとして、我が国に梃入れを行います。1953年、アメリカはイギリスと共にイランにおけるクーデターを成功させ、ソ連の影響力を排除します(→かつてのイランは、冷戦時代における西側の主要なプレイヤーでした!)。
このように、ソ連を敵国と見做(みな)し、その覇権争いを繰り広げるアメリカとの間で行われたのが「東西冷戦」(1945年~1989年)で、実に44年間に及ぶ戦争でした。そのソ連は1991年に滅亡しますが、その滅亡に追い込むアメリカの猛反撃が始まったのが、カーター大統領(任期:1977年1月~1981年1月)の頃で、1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻が切っ掛けでした。そして、次のレーガン大統領が止めを刺すことになりますが、この時に、実はアメリカは中華人民共和国に梃入れを行っています。それと同時に、我が国が経済面での脅威として認識されるようになり、標的にされ、“平成不況”という負のスパイラ時代を迎えることとなります。
そして、いま現在、アメリカの標的となっているのが、中華人民共和国を支配する中国共産党、ということになります(→☆ソビエト連邦 → 日本国 → 中華人民共和国 という流れに気付くことが大切です!)。

それでは、ここからは前回の続きになりますが、ケインズはハイエクとの間でも、世界的な不況を目の前にして、彼らの周辺の経済学者を巻き込みつつ、激しい論争を繰り広げていたのですが(→☆財務省が「積極財政」を否定するようになった、実にクダラナイ理由)、

ジョン・メイナード・ケインズ 1933年

フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエク

フリードリヒ・ハイエクらによって代表される世代の「オーストリア学派」と呼ばれる人たちは、1980年代に盛んに唱えられた「ネオ・リベラリズム(neo - liberalism)」と呼ばれる思想・概念の源流の一つになるのですが、初期の「ネオ・リベラリズム(neo - liberalism)」の中心的な存在であったハイエクらは、「ネオ・リベラリズム(neo - liberalism)」とは別の独立した形で、マクロ経済政策の運営における「緊縮主義」(=「マクロ緊縮主義」)という特質がありました(→☆ネオ・リベラリズムとリバタリアンと緊縮主義)。

昨日も書かせて頂きましたように、ハイエクらオーストリア学派の「景気循環理論」の特徴は、景気循環の本質は、①低金利による「信用膨張」と、②是正作用としての「信用収縮」という現象の循環である、として捉えた点にあります。
であれば、次のような結論が、その理論から必然的に導き出されることになります。
○ 不況の発端は“低金利による信用拡大”にある
⇒ 従って、「信用バブル」を生み出さないことこそが肝要であって、不況克服のための政策が重要なのではない
○ 問題の本質は信用膨張による過剰投資にあるのであり、その「誤った投資」を矯正する唯一の手段は「債務の清算」で、不況対策として「財政拡張」や「金融緩和」を行うことが問題の先送りに過ぎない
⇒ 不況は「信用バブル」によって生み出された「誤った投資」の矯正過程であり、政策的な介入はその矯正を妨げる

これが、オーストリア学派に特徴的な「マクロ経済政策否定論」、あるいは「政策的無為主義」と呼ばれるもので、特に不況期におけるこうした政策戦略(→つまり、何ら政策的なことを実践しない、消極的な態度を取り続けるという戦略w)のことを「清算主義」と呼びます。

ところで、みなさまは、もうお気付きでございますでしょうか?
このハイエクの「清算主義」は、世界大恐慌時に唱えられ、ケインズはそれを真っ向から否定しました。空前の大不況によって、目の前に大量の失業者が溢れ返っていたからです。それを、そのまま放置することなど、出来なかったからです。

ジョン・メイナード・ケインズ
そして、いま、中国共産党が世界中に意図的に拡散させた、「武漢肺炎(COVID-19)禍」によって、同様の経済状況が出現しようとしています。
にもかかわらず、ハイエクの「清算主義」を実践している連中が、我が国に存在しているのですが、そのことにお気付きでございますでしょうか?


岡本薫明(おかもと しげあき)
「官僚の、官僚による、官僚のための“政治”」を実現し、それをコントロールしようとし続けている「国賊たる財務省官僚」が、盛んに唱えている屁理屈が、この「清算主義」であり、「マクロ経済政策否定論」であり、「政策的無為主義」になります。
昨日出た「Will 8月号」に田中秀臣教授との対談が掲載されています。次のコロナの波が来なければ(そう祈っています),経済対策は内需拡大によるデフレ完全脱却、経済正常化に集中すべきであり、消費税の時限的減税は不可欠です、といったことが書いています。
— 本田悦朗 (@etsuro0112) June 28, 2020
ということで、本日はここまでとさせて頂きます。
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