2020-04-21 (Tue)

本日のキーワード : トレードオフ
トレードオフ(英: trade-off)とは、何かを得ると、別の何かを失う、相容れない関係のことである。平たく言うと一得一失(いっとくいっしつ)である。対義語は両立性(コンパチビリティ、英: compatibility)。トレードオフのある状況では具体的な選択肢の長所と短所をすべて考慮した上で決定を行うことが求められる。
本日の書物 : 『戦争と平和』 百田 尚樹 新潮社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 極限状況下に短所は現れる
私は、常々、次のように考えてきました。
「【戦争という極限状況下】においては、【その民族あるいは国家の持つ長所と短所が最も極端な形で現れる】」 ―― と。

【どのような民族あるいは国家にも、長所と短所があります】。ある国はすべて優れていて、ある国は何もかも駄目とか、そんなことはありません。【日本も同じ】です。いいところもあれば、悪いところもあります。そうした長所、短所は普段、平和な時、日常生活においてはそれほど目立つものではありません。しかし、【戦争のような極限状況】においては、【それが露骨に顔を出す】 ―― 私はそう考えています。

本章では主に兵器や戦術の比較をしながら、【日本あるいは日本人の持つ特性】を見ていきたいと思います。

零式艦上戦闘機
まずは、【ゼロ戦】(正式には零式艦上戦闘機)と【グラマンF4F「ワイルドキャット」】という日米を代表する戦闘機を比較するところから始めてみましょう。

F4F ワイルドキャット
この二つの戦闘機を爼上(そじょう)に載せたのは、【大東亜戦争】はつまるところ【「制空権」】(今で言う航空優勢)をめぐる戦いだったからです。
かつては制海権を取った者が世界を支配しました。スペインしかり大英帝国しかりです。その武器は強大な砲艦(戦艦)でした。江戸幕府がたった四隻の黒船にうろたえることは象徴的な出来事です。しかし二〇世紀半ば、戦艦は飛行機に主役を譲りました。いかに強大な戦艦と言えど、航空攻撃には耐えられなかったのです。つまり、【「制空権を得たものが制海権を得る」という時代】になってしまいました。【その制空権を握るための一番の武器が戦闘機だった】のです。
大東亜戦争が始まった時、【日米の海軍】の【主力戦闘機】が【ゼロ戦とグラマンF4F】でした。

【ゼロ戦は戦闘機の歴史に残る傑作機】です。戦争中の日本軍で最も多く作られた飛行機です。その意味で大東亜戦争を象徴する兵器と言ってもいいでしょう。現在の航空史家の間でも評価の高い飛行機ですが、【一方で日本的な長所と短所が全て詰まっている戦闘機】でした。別の言い方をすれば、【ゼロ戦】は【「実に日本人らしい戦闘機」】であり、【まさしく日本人でなければ作り得なかった戦闘機】なのです。

F4F ワイルドキャット 1942年撮影
【グラマンF4F】は初期のアメリカ海軍の主力戦闘機です。大東亜戦争開戦から一年以上にわたって、ゼロ戦と戦った、まさに【ゼロ戦のライバルと言える戦闘機】です。【非常に頑丈な機体】で、【随所にアメリカの戦闘機ならではの特徴】があります。

ほぼ同じ頃に、艦上戦闘機(空母に搭載する戦闘機)として開発された両機は、しかし【設計思想がまったく異なる飛行機】でした。

そこには【戦争に対する考え方】以外に、【二つの国の国民性の違いも如実に表れている】と、私は見ています。』

日本国民に欠けている「設計思想」
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、今回の「武漢肺炎(COVID-19)禍」という困難な状況にある中でこそ、ご覧頂きたい書物で、「戦争」と「平和」というテーマを通じて、私たち日本国民の「長所」と「短所」を浮き彫りにすることで、改めて、今、何が必要なのか・何をしなければならないのかを日本国民すべてに対して問いかけ、そして考えさせる良書となります。

さて、本文中では、大東亜戦争時に敵対して戦った、日本とアメリカの2つの代表的な戦闘機について触れられていましたが、そんな両国が協力して、我が国の次期主力戦闘機の開発に着手するための最終調整に入りました。しかも、今回の決定で大きなポイントは、「日本主導の開発」である点になります。


☆《独自》F2後継機、日米企業で作業部会 共同開発へ最終調整

☆日本主導の「絶対条件」が決め手 F2後継機、米との共同開発
そして、我が国の強みが、“ハイパワー・スリム・エンジン”という設計思想の下、新開発に成功した「国産戦闘機用ジェットエンジン」で、その最大の特徴は、アフターバーナ最大推力が15t以上出せるという点(つまり、15tのモノを垂直に持ち上げられるだけの力)で、ちなみに、それだけのパワーを出せるエンジンはこれまでアメリカとロシアしか製造できませんでしたが、そこに我が国が肩を並べたということになります💗


☆ついに完成した世界最高水準の国産戦闘機用エンジン「XF9-1」- 日本のミリタリーテクノロジー 開発者インタビュー【前編】 #BLOGOS
☆「5.4.3.2.1…加速!」最大推力試験当日に奇跡は起きた - 国産戦闘機用エンジン「XF9-1」開発者インタビュー【後編】 #BLOGOS
ところで、“ハイパワー・スリム・エンジン”という設計思想の下、新開発に成功した「国産戦闘機用ジェットエンジン」と書かせて頂きましたが、これ(=ハイパワー・スリム・エンジン)は、戦闘機用ジェットエンジン自体の設計思想になります。
戦闘機というものは、エンジンだけがズバ抜けて優れてさえいれば良いわけではない、ということは、普通に誰にでも理解できることだと思います。
では、我が国主導で開発しようとしている次期主力戦闘機の「設計思想」って、何なのでしょうか?

本文中にも書かれていましたように、大東亜戦争を戦った日米海軍の主力戦闘機のゼロ戦とグラマンF4Fには、それぞれの国民の戦争に対する考え方・国民性の違いが、その設計思想の段階からすでに表れていたわけです。
その「設計思想(Design Philosophy)」は、様々な分野で重要となってくる概念ですが、何かをする場合、まず一番最初に考えなければならないもので、「どういった点を考慮すべきか」を大掴(おおつか)みに考えたものになります。そして、それを出発点として、それを満たすための基本的な条件を考えます。そして、大まかな手順を考えて・・・という風に進んでいくわけですが、何故、「設計思想」が重要なのかと言いますと、トレードオフ(trade-off)、つまり、何かを得ると、別の何かを失う、相容れない関係が生じた場合に、その判断の優先順位を決めるためのものだからです(→☆『 設計思想(Design Philosophy)とは何か』 タイム・コンサルタントの日誌から)。

本書では、ゼロ戦とグラマンF4Fの「設計思想」の違いについて、著者が分析をされておられますので、詳細は本書をご覧頂くことと致しまして、その2つの戦闘機の形式・性能の違い(→これが、「設計思想」の違いから生じてきます)を簡単に申し上げますと、まず、ゼロ戦は「曲線中心」、グラマンF4Fは「直線中心」であることで、前者は熟練職人の手による匠の技が必要なのに対し、後者はそこまでの熟練工は必要とせず、素人でも参加可能となっていて、これは戦闘機の生産スピードに影響を与えます。

零式艦上戦闘機

F4F ワイルドキャット
また、戦闘機の「速度」と「旋回性能」は、トレードオフ(trade-off)の関係にあるのですが、ゼロ戦はその「両立性(compatibility)」を求め、グラマンF4Fは「防御力」を求めました。要するに、ゼロ戦は「攻撃力重視」で、グラマンF4Fは「防御力重視」ということになります。これこそが、私たち日本国民が共有しなければならない“弱点”になりますが、その辺りのことにつきましては、次回以降に書かせて頂きます。

それでは、次期主力戦闘機の「設計思想」を推測するための情報を、以下に挙げておきますので、ぜひ、みなさまも御自身で考えてみて下さい。


☆次期戦闘機、ステルス性能重視 共同開発、米英を検討―河野防衛相:時事ドットコム

☆『我が国の防衛と予算(案) 令和2年度予算の概要』防衛省
それでは、本日はここまでとさせて頂きますが、みなさんは、次のどちらを重視するのが良いと思われますか?
① 攻撃力
② 防御力

続きは次回に♥
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