2020-02-01 (Sat)

本日のキーワード : 民族
民族(みんぞく、ethnic group)とは一定の文化的特徴を基準として他と区別される共同体をいう。土地、血縁関係、言語の共有(母語)や、宗教、伝承、社会組織などがその基準となるが、普遍的な客観的基準を設けても概念内容と一致しない場合が多いことから、むしろある民族概念への帰属意識という主観的基準が客観的基準であるとされることもある(例:チュチェ思想)(笑)

本日の書物 : 『陰謀と虐殺』 柏原 竜一 ビジネス社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 この章で取り上げるのは【エジプト】、それも【ナセル時代前半のエジプトのインテリジェンス】である。ナセルとインテリジェンスの関わりを取り上げることで、【中東における権力者の発想】を透視することにしよう。

ガマール・アブドゥル=ナーセル
【ガマル・アブドゥル・ナセル】は、1950年代から60年代にかけて活躍したエジプトの軍人・政治家である。1918年生まれの彼は、1937年王立士官学校に入学し、士官学校教官となる。【1948年のパレスチナ戦争】に参加し、【敗北】を経験する中で、【国内変革の必要性】をますます強く意識するようになった。

クーデターの首謀者、ムハンマド・ナギーブ(左)とガマール・アブドゥン=ナーセル(右)
その後、【陸軍の青年将校の秘密組織】であった【自由将校団の結成】に際しては【中心的な役割】を果たした。【1952年7月】、【自由将校団によるクーデター】は政権打倒に成功し、名目的な指導者であった【ナギブ将軍を排除】すると、自己の権力基盤を固め、【1956年】の新憲法のもとで【大統領に選出】された。
56年7月、【スエズ運河国有化】を実施し、つづいて勃発した【スエズ戦争】を切り抜け、一躍【アラブ世界の英雄的な存在】となった。

スエズ紛争初期の英仏軍による攻撃で煙を上げるポートサイドの石油タンク(1956年11月5日)
さらには、1958年に、【シリアとエジプトの併合(アラブ連合共和国)】を実現した。ここに至って、【ナセルのアラブ統一、アラブ民族主義運動は頂点に達した】。

アラブ連合共和国
だが、1961年9月シリアがアラブ連合から離脱したのち、1962年からエジプトは、【イエメンでの内戦に介入】した。しかし、この介入は泥沼化し、1967年の【第三次中東戦争】では、【イスラエルにわずか6日で敗退】した。失意の中で、パレスチナ問題の政治的解決を目指すも、1970年9月28日、疲労で倒れ急死した。

1970年10月1日、カイロで500万人が参列したナセルの葬列
このように、最終的には挫折したとはいえ、【エジプトにアラブの栄光をもたらしたのがナセル】という人物であった。そして、【ナセルの政治活動】が、【後の中東の歴史に一つのモデルを提供している】ということはあきらかだ。

【アラブ社会主義】の旗印の下に、【全中東世界を統一】するという【桁外れな野望】を実現しようとしたナセルにとって、【情報機関】とは【欠かすことができない道具】であった。

その野心的な活動は、【後の中東諸国によって模倣】され、【踏襲】されているといってよい。

したがって、【中東世界の諸国家のあり方を知るうえでも、ナセルは絶好の「テキスト」】なのである。』

「アラブ統一」のナセルの野望と、「中華統一」の習近平の妄想
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、複雑なうえに、まともな報道がなされない中東の情勢について、理解していくために必要となる「手掛かり」が数多く、整理された上で書かれている書物であり、現代の中東世界を見る際に、お手元に置いて参考にされるべき良書となります。

さて、昨日のところで書かせて頂きましたが、1960年代の、リベラルを掲げるアメリカ民主党政権が推進した、残虐な「ベトナム戦争」における失態のために、1960年代末から1970年代末にかけてのおよそ10年間の「米ソデタント」という東西冷戦における緊張緩和期を、少なくとも“表面上”、もたらすことになります。ただし、それは保守派とされるアメリカの共和党が行ったものであって、「民主党の尻ぬぐい」をさせられたわけです。

民主党(アメリカ)ロゴ
ところが、その「米ソデタント」という約10年間の緊張緩和期の末期の1979年に、「イラン革命」が勃発し、「ソビエト軍によるアフガニスタン侵攻」が行われ、それと同時に、「イスラム過激派」が生み出されることになります。
つまり、アメリカは「米ソデタント」という幻想を抱く一方で、「ソビエト連邦に騙されていた」ということを意味していますが、この点につきましては次回以降に書かせて頂きたいと思います。

そのことに、後になってからようやく気付いたアメリカは、第40代の共和党のロナルド・ウィルソン・レーガン大統領(1981年1月20日~1989年1月20日)の時代に本格的な反撃を行い、社会主義のソビエト連邦を崩壊へと追い込みました。

ロナルド・ウィルソン・レーガン
実は現在、これとソックリなことが目の前で起こっているのですが、緊張緩和を幻想して騙されたアメリカ大統領こそが、これまたリベラルを掲げる、アメリカ民主党の「バラク・フセイン・オバマ2世」であり、

バラク・フセイン・オバマ2世
その事にようやく気付いたのが、米国保守派が支持する第45代の共和党のドナルド・ジョン・トランプ大統領になります。もちろん、崩壊へと追い込んでいる対象国は、社会主義の中華人民共和国です💗

ドナルド・ジョン・トランプ
世界の首脳クラスの中でも、“とびっきり無能”として知られる習近平に、引導を渡そうとしているところになります(笑)


それでは、本題に入らせて頂きたいと思いますが、本文集に書かれていましたように、ガマル・アブドゥル・ナセルは、「アラブ社会主義の旗印の下に、全中東世界を統一する」という野望を抱いていたわけですが、ここで念のために確認をしておきたいのですが、その「アラブ」っていうのは、そもそも何なのでしょうか?

「アラブ」という言葉は「アラビア人」のことを意味していて、日本語の「アラブ人」という言葉は「アラビア人人」という意味不明な言葉になります。
本来の「アラブ」の意味は、もともとはバラバラであった様々な部族を中心に形成された社会が存在していたオリエントや北アフリカの地域において、それらを何かしらの一定の基準で「統一」するものが出現したことによって、バラバラだったものを“十把一絡げ”に、ザックリとまとめて表現しただけのものでしかなく、従って、いわゆる「アラブ人」とか「アラビア人」という人種や民族はこの世には実在していないんです。
これとまったく同じことが、「漢民族」とか「中華民族」という言葉にも言えます。だって、そんなものは、この世には実在したことが無かったのですから(笑)
ちなみに、「漢人」というのは、単に、「記号としての漢字が使える人」という意味でしかありません(→☆支那や朝鮮半島の歴史は、「チャイナ・コンクエスト」であり「コリア・コンクエスト」でした(笑)、☆漢字は単なる記号だった!! 「+・-・×・÷・=」と同じモノ)。

で、本来はバラバラであったオリエントや北アフリカの地域を「統一」する勢力となったのが「イスラム教」で、これによって、後の時代に、「アラブ文化」や「アラビア語」を受容・共有していて、「アラブ諸国」に居住する人々のことを「アラブ人(正確には「アラブ(アラビア人の意)」)」と呼ぶことになるわけです(→☆世界征服を目指す宗教 ~ 「イスラム教」)。

「イスラム教」の開祖は「ムハンマド」(570年頃~632年)で、我が国が世界に誇るべき思想家であった「聖徳太子」(574年~622年)の時代とほぼ同じ(→☆特攻隊が「犬死かどうか」という議論は、本質からズレまくったクダラナイ議論なので止めませんか(笑))ですが、ムハンマドの時代の後に、その死後にムハンマドを継承する時代(632年~661年)とされる正統カリフ時代という、わずか30年ほどの期間に、破竹の勢いで「イスラム教」の勢力域を拡大します(→☆世界征服を目指す宗教 ~ 「イスラム教」)。

正統カリフ時代の最大版図

イスラム帝国の版図拡大の流れ
その「イスラム教」の発祥の地であるのが「サウジアラビア半島」で、現代の「イスラム教原理主義」を生み出す元となるのが、「サウジアラビア(サウード家によるアラビアの王国の意)」になります(→☆イスラム原理主義の始まりは、サウジアラビアの歴史にあります)。

サウジアラビア
それでは本日の最後になりますが、エジプトのガマル・アブドゥル・ナセルは、「アラブ社会主義の旗印の下に、全中東世界を統一する」という野望を抱き、それを実行していた(最終的には失敗します)わけですが、その統一しようとしていた「アラブ世界」と言う、そもそも人種的なまとまりがない、バラバラな社会集団であったものを、「アラブ文化」や「アラビア語」を受容・共有していてるという根拠に乏しい理由で、無理矢理に、「我々は同じだ!」という中華人民共和国における「中華思想」と同じパターンで“周辺地域の征服を目論んでいた”だけのお話になります💗

アラブ諸国とされる主な国々
そして、この「アラブ世界」というのは、支那において北と南で違いがあるのと同じ(→「不思議の国のアリス」と「偉大なる漢民族」)で、西と東で違いがあるんです。

一般的に、イラクからエジプトまでをマシュリク(太陽が昇るところ)と呼び、

マシュリク
リビアからモロッコまでをマグリブ(太陽が没するところ)と呼びますが、

マグリブ
この2つの地域は、歴史的にあまり強い関係性を持たずに、それぞれが別個の発展を遂げた地域でもあります。
それを、現在の中華人民共和国の指導者である、“とびっきり無能”として知られる習近平がやろうとしていることと比較してみますと、非常に分かりやすい類似した構図になっているのですが、要するに、「“中華社会主義”の旗印の下に、“全中華世界”を統一する」という非常に馬鹿げた野望を持っていて、それを実行しているわけです(笑)
さて、どうなるのでしょうか?


続きは次回に♥
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