2020-01-20 (Mon)

本日のキーワード : 灯油
灯油(燈油、とうゆ)は、灯火用の液体燃料の総称。また、石油製品の一種。
灯油とは、元来はランプなど照明器具のための油の総称をいう。灯火用の液体燃料としては古来より胡麻油や鯨油などが用いられ、この意味では「灯油(ともしびあぶら)」とも読む。
やがて、従来の灯火用燃料の代替品として石油を精製した燃料が用いられるようになった。
本日の書物 : 『イスラム教の論理』 飯山 陽 新潮社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 【イスラム教徒】には【1日5回礼拝】することが【義務】付けられています。その義務を毎日きちんと果たしている人については、その人の【右肩に乗っている天使】によって毎日【善行が記録】されます。一方正当な理由なしに全く礼拝をしないととか、1日1回しか礼拝をしない人については、現実生活で罰せられることはありませんが、その人の【左肩に乗っている天使】によって毎日【悪行が記録】されます。

ムガール帝国の天使の描写(16世紀)
この善行と悪行の記録は生きている間ずっと続きますが、信者自身は【最後の審判】の時までその記録を目にすることはできません。ですからイスラム教徒はよく、この世は試験期間であり、結果が判明するのは最後の審判の日だ、といういい方をします。この考えによると【死とはすなわち試験期間の終了】ですから、神を信じ毎日こつこつ【神の命令を実行し正しく生きているという自覚があるイスラム教徒】にとって、【死は非常に安らかなものになる】はずです。

シーア派の天使の描写(ペルシア、1555年)
しかし【信仰心も弱く神に禁じられた行為ばかりをしているという自覚のあるイスラム教徒】にとって、【死は地獄行きを決定づけられる恐怖の瞬間】となります。ですが悪行の込む人にとっても、【一発逆転で天国行きを狙うチャンス】はあります。

それが【ジハード】です。

イスラム過激派によるテロを伝える報道の中ではしばしば、テロ実行者が日常的に飲酒や放蕩にふけっておりとても正しいイスラム教徒とはいえない、だからジハードなどと称してはいても所詮はならず者がそそのかされて実行した愚行にすぎない、といった評価を見ますが、これは間違っています。私たちから見るとテロが愚かで残虐な行為でしかないのは確かですが、実行者が正しいイスラム教徒とはいえない素行で知られていた場合は特に、【「だからこそジハード」なのだという解釈がむしろ妥当】なのです。

飲酒、喫煙、姦通など神によって禁じられた行為は現在のイスラム諸国でも広く見られますし、欧米で暮らすイスラム教徒にとってはそれらがむしろ「普通」の行為である場合すらあります。

しかしイスラム教徒は全員、神の存在、現世のあとに必ず来世がやってくること、終末の日に全ての人間が最後の審判を受けることを信じています。審判の日は【「精算」の日】ともいわれます。【悪行】を重ねつつ、いつかそれを【「精算」しなければならない】。【いつか「精算」できる】からきっと大丈夫だ、などと考えているイスラム教徒は少なくありません。

それを【最も確実なかたち】で【明白に「精算」できる】のが、【ジハードという最大善の敢行】です。』

イスラム教徒と「法律の論理」
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、そのタイトルにあります通り、「イスラム教の論理」について書かれた書物になりますが、その「イスラム教の論理」とは、「イスラム教の教え」や、それに基づいた「イスラム法」を遵守しようとすればするほど、どうしてもイスラム教徒の方々にとっては避けることができない“巨大な障壁”が目の前に現れることになってしまうのですが、そんなイスラム教徒の方々にとっての「苦悩」や「覚悟」といったものが何であるのかを理解することができる良書となります。

さて、ここまで本書のご紹介をさせて頂いて、テロ行為などに象徴される「ジハード」が、実は「イスラム教の論理」に基づいたものであることが御理解頂けたのではないかと思います。「ジハード」を自爆テロなどによって実行する彼らもまた、敬虔なイスラム教徒なのです。
そして、ここに、イスラム教徒の方々にとっての「苦悩」や「覚悟」があるわけです。
信仰を捨てることができない限り、「神の言葉」としての「コーラン」から導き出される「イスラム教の論理」、それこそが「イスラムの法律」ですが、それは決して動かすことができない法律になります。
そこで必要となってくるのが、「法律の論理」です(→マスコミの「嘘」と、“モンスターという嘘”との決定的な違い)。
『 「法律」は厳格で動かすことができなかった。法を動かして人情に適合することは不可能であった。そこで・・・「事実」を動かすことを考えたのです。・・・唯一の手段は「嘘」です。あった「事実」をなかったといい、なかった「事実」をあったというよりほかに方法はないのです。』
つまり、「イスラムの法律」が動かせないものであるのであれば、その“解釈を変更”するしかない、ということになります。

ところが、そんな“解釈の変更”を否定し、まさに「神の言葉」としての「コーラン」を文字通りにしか捉えず、ただひたすら、「イスラム教による世界征服」を目論んだ、“かのように見せかけていた”のが、あの「イスラム国(ISIL)」です。

ちなみに、この「イスラム国(ISIL)」の正体は、旧サダム・フセイン政権下のイラクで、情報部員(工作員・スパイ)だった「ハジ・バクル」(本名:サミール・アブド・ムハンマド・アル・キリファウィ/Samir Abd Muhammad al-Khlifawi)が設計・計画した「サダム・フセイン流の全体主義独裁国家」の再興を目指したものであったことがすでに判明しています。「イスラム原理主義」を掲げていたのは、あくまでも手段に過ぎなかったということです(現に、スンニ派住民も虐殺していますのでw)。

ハジ・バクル(Haji Bakr)

☆「フセイン政権の亡霊イスラム国 カリフ制国家偕称の背後にある不平スンニ派イラク人による擬制国家という本質」並木宣史

☆ISの拡大計画、「立案者は元フセイン政権情報員」 独誌
で、その「イスラム国」を誰がどのように利用していたのかというお話につきましては、また別の機会にでも書かせて頂きたいと思いますが、その前に、まず、現代に繋がる中東地域の歴史の流れを確認しておく必要があります。そこで、ポイントとなるのが、昨日少し触れさせて頂きました「スエズ運河」の支配権です。

☆動画:米空母エーブラハム・リンカーン、スエズ運河を通過 ペルシャ湾へ
この「スエズ運河」が完成したのが、1869年、つまり明治2年で、約150年ほど前の出来事です。下の地図の黄色く囲っているところにあります。

ところで、現代で「中東」と言えば「石油・原油」というイメージがあると思いますが、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて、世界の石油生産の過半を占めていたのはどこか、御存じでございますでしょうか?

答えは、ロシア帝国の「バクー油田」で、現在のアゼルバイジャン共和国に位置しています。

1800年代のバクー油田

アゼルバイジャン共和国
さきほどの地図で、イランの北方にある「カスピ海(ペルシア語で“ハザール海”)」(→本当の侵略者が誰なのか? それを知らない日本人)の西岸にあります。この辺りの歴史的経緯や背景は、ここでは省略をさせて頂きますが、ご関心のある方は「第一次ロシア・ペルシア戦争(1804年)」や「第二次ロシア・ペルシア戦争(1826年)」を調べてみて下さい。

カスピ海(ハザール海)

バクーの位置
そのバクーで大掛かりに油井(ゆせい)が掘削されたのが1846年で、当時この地域を支配していたロシア帝国が、1872年に油井の売却を始めると、ノーベル賞で知られるノーベル兄弟(スウェーデン)や、ユダヤ教徒のロスチャイルド家(フランス)らの資本が流入し、その後急速に発展します。
中高生の理科・化学の実験で行われるものに「蒸留(じょうりゅう、Distillation)」がありますが、採掘された原油は、蒸留によって成分を精製します。蒸留による成分精製操作を「精留(せいりゅう、rectification)」と一般に言いますが、特に石油精製のための精留を「分留(ぶんりゅう、fractional distillation)」と呼びます。

☆石油情報センターHP
当初、原油が資源として大量利用されるようになったのは、ランプ油として「鯨油」から「灯油(とうゆ)」へと置き換えが進んだからでした。


銅製の石油ランプ(19世紀)
やがて、内燃機関(2ストロークエンジン)が発明され、

2ストロークエンジン
1876年、ドイツのニコラウス・オットーは、ピストン室で直接燃料を効率的に燃焼させる初めての内燃機関(4ストロークエンジン)を発明します。

4ストロークエンジン(①吸入②圧縮③燃焼・膨張④排気)

ニコラウス・オットー
これらの内燃機関は、当初はガスを燃料としていたのですが、のちにガソリンで動作する内燃機関(ガソリンエンジン)が開発されます。この「貯蔵と運搬が容易」な液体燃料(ガソリン)を使用する内燃機関(ガソリンエンジン)の登場によって、「自動車の商業実用化」、「飛行機の発明」等が可能になり、輸送の分野に大きな発展をもたらすことになります。

ここでお話を戻しますと、20世紀初頭まで、世界最大の油田を保持していたのがロシア帝国だったのですが、他方、急成長を遂げるライバル国家が存在していましたが、さて、それがどこなのかご存じでございますでしょうか?

答えは、「アメリカ合衆国」です。1870年にジョン・ロックフェラーらが設立した「スタンダード・オイル(Standard Oil Company)」が有名です。

ジョン・ロックフェラー

スタンダード・オイルの第1製油所(1899年)
それでは、本日はここまでとさせて頂きますが(あれ?スエズ運河はどこに行ったの?→これは、次回以降に書かせて頂きますw)、19世紀後半に、「ロシア帝国」と「アメリカ合衆国」という2つの「灯油生産国」が軸として存在していたという点を押さえておいていただいた上で、次の歴史的な流れを理解しておいてください。
〇1870年、ジョン・D・ロックフェラー(John D. Rockefeller)が、米国オハイオ州でスタンダード石油会社(Standard Oil Company of Ohio)を創立。以降、わずか10年足らずの間に、米国全土にわたる石油市場を独占。
〇1879年、ノーベル兄弟産油会社(The Nobel Brothers Petroleum Production Co.)が設立。1888年には、「ロシア灯油」の3分の1を生産するに至るまで成長する。
〇1883年、仏ロスチャイルドは「カスピアン・アンド・ブラックシー・ペトロリアム(Bnito:ブニト)」を設立。「ロシア灯油の最大輸出業者」となり、1880年代後半には「東洋市場」へ進出。
〇「ロシア灯油」の世界市場シェアは、1884年の3%から1889年には22%へと上昇する一方、「米国灯油」のシェアは97%から78%へと低下。
〇1891年、「大英帝国」の貿易商のイラク系ユダヤ教徒であったマーカス・サミュエル(Marcus Samuel)が、ブニト(Bnito)を支配する仏ロスチャイルドと「ロシア灯油」の独占販売契約を締結(1900年までという期限付き)。ここに、「東洋市場」向け大量輸出の道が開かれる。
〇1897年、マーカス・サミュエルは「シェル運輸貿易会社(Shell Transport and Trading Company)」を設立、石油事業を継承させる。

マーカス・サミュエル
やがて、1890年代には、「米国灯油」と「ロシア灯油」が、つまり、スタンダード石油会社とシェル運輸貿易会社が、「東洋市場」において衝突するようになっていきます。
続きは次回に♥
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Re: 八欲が韓国人を衝き動かす! -日本は歴史の真実を世界に宣 明せよ!』金田正二著 ご紹介 * by みっちゃん
千田さん、ご訪問頂きありがとうございます。
御紹介頂きました著者の書物(「差別された韓国で気づいた ふるさと日本」と「八欲が韓国人を衝き動かす! -日本は歴史の真実を世界に宣明せよ!」)を購入させて頂きました。
必ず読ませて頂きますが、御紹介についてはお約束できませんのでご了承くださいませ。
現在の朝鮮半島に起こっていること、その本質は、「チュチェ思想」にあると当ブログでは考えております。その被害者こそが、「まともな在日朝鮮人」であり、「まともな韓国人」であり、「抑圧され続けている北朝鮮国民」であって、また、その「チュチェ思想」信者が、我が国において、危険極まりない活動を現在も続けている、という事実を日本国民が知らないことこそが大問題だと考えております。
御紹介頂きました著者の書物(「差別された韓国で気づいた ふるさと日本」と「八欲が韓国人を衝き動かす! -日本は歴史の真実を世界に宣明せよ!」)を購入させて頂きました。
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