2020-01-18 (Sat)

本日のキーワード : イスラム教徒のペルシア征服
イスラーム教徒のペルシア征服(Muslim conquest of Persia)は、イスラーム共同体がサーサーン朝ペルシア帝国を征服し、その領土を支配するに至った一連の戦争をさす。
預言者ムハンマドの在世中から、アラビア半島を征服したイスラーム教徒は東ローマ帝国とサーサーン朝ペルシアに狙いをつけていた。イスラーム側の伝承によれば、預言者ムハンマド自身、東ローマ帝国やサーサーン朝に使者を送り、イスラームへの改宗を求めたが、拒絶されたためこれらの国々を征服することを決意したとされている。
イスラーム共同体が本格的にサーサーン朝ペルシア領への軍事行動を開始したのは、ムハンマドの死後に勃発したリッダ戦争(632年 - 633年)にイスラーム共同体が勝利を収めた西暦633年になってからである。
本日の書物 : 『イスラム教の論理』 飯山 陽 新潮社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 【「イスラム国」】は2016年6月時点で自分たちの【秘密部隊が潜伏している国】として【サウジアラビア、トルコ、アルジェリア、フランス、チュニジア、レバノン、バングラデシュの7ヵ国】をあげていますが、【モロッコやシンガポール、香港、アメリカ等の例が示唆】するのは、【そうした国の数も増加している】であろうということです。

このように「イスラム国」は「目に見えるかたち」で支配領域を減少させている一方、【「目に見えないかたち」で勢力を拡大】させています。そしてその脅威は、【日本にも徐々に近づいてきています】。

「イスラム国」の脅威が中東やアフリカに固有のものではないことを日本人が実感したのはおそらく、2016年7月にバングラデシュのダッカで【日本人7人を含む22人が殺害されるテロ事件】が発生した時でしょう。
日本の外務省のホームページにバングラデシュと日本の二国間関係について「経済協力関係を中心に友好関係が発展。極めて親日的な国民性」(2017年現在)と記されているように、バングラデシュは親日国であるというイメージをもっている人も多いかもしれません。

☆「バングラデシュ人民共和国(People's Republic of Bangladesh)」外務省HP
しかし、バングラデシュが親日国であることと同国で発生したテロで多くの日本人が殺害されたことの間には、何の因果関係もありません。なぜ親日的なはずなのに日本人が殺されたのだろうかと疑問を呈することも、【問題の趣旨を取り違え】ています。【バングラデシュのテロ】で【日本人が犠牲】になったのは、【テロリストがイスラム過激派思想を奉じる「イスラム国」の戦闘員であり、その思想においては「日本人=殺すべき敵」と規定されているから】です。

私はイスラム教の研究者で、イスラム教について大学で教えたり、メディアで解説したり、ものを書いたりするのが仕事ですが、それらを続ける中ではっきりとわかったことがひとつあります。それは、【日本人のイスラム教に対するアレルギーは非常に強い】、ということです。日本人の中にはイスラム教について単に知らないとか関心がないというよりは、それについては【知りたくない、積極的に遠ざけたいという反応】を示す人が少なくありません。

その理由のひとつは、【イスラム教】が【日本人の考える宗教の枠組みの外にある】ように感じるからかもしれません。日本人は概ね、宗教というのは【個人の心の内面に関与し世界の平和に貢献するもの】だと考える傾向にあります。しかしもし、宗教というのは個人の心の内面「だけ」に関与し世界の平和「だけ」に貢献するものだと規定してしまうと、【個人の行動に関与し世界を戦いへと駆り立てる】ような宗教は「宗教ではない」ことになります。
【イスラム教】はまさしく【信者の行動を規定し、イスラム教による世界征服を目的とする宗教】ですから、日本人的感覚で見ると「そんなものは宗教とはいえない」「そんな宗教は不要である」、といったリアクションが直ちにひきおこされます。』

ゾロアスター教のイラン帝国が「イスラム教」に占領された歴史
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、そのタイトルにあります通り、「イスラム教の論理」について書かれた書物になりますが、その「イスラム教の論理」とは、「イスラム教の教え」や、それに基づいた「イスラム法」を遵守しようとすればするほど、どうしてもイスラム教徒の方々にとっては避けることができない“巨大な障壁”が目の前に現れることになってしまうのですが、そんなイスラム教徒の方々にとっての「苦悩」や「覚悟」といったものが何であるのかを理解することができる良書となります。

さて、最近何かと話題になっているのが「イラン」ですが、その正式な名称が、「イラン・イスラム共和国(Islamic Republic of Iran)」で、昨日も書かせて頂きましたように、本来の「republic」(リパブリック)の意味からは全くかけ離れた、もともとは「領域国家」型の国家主義システムに由来する側に属する国になります。
紀元前6世紀半ば~紀元前4世紀後半にかけて、この地を支配していたのが、ペルシア人が建国した「ペルシア帝国(アケメネス朝)」で、

アケメネス朝の最大版図
ギリシャのマケドニア王国のアレクサンドロス大王(アレクサンダー大王)によって滅ぼされてしまいます。

アルゲアス朝の最大領域(アレクサンドロス3世の時代)
そして、大王の後継者の一人であったマケドニア王国の貴族の子であったセレウコスが「セレウコス帝国(セレウコス朝シリア)」を建国し、この地を支配します。

セレウコス朝の最大領土
その「セレウコス帝国」が紀元前1世紀に「ローマ」によって滅ぼされると、中央アジアの遊牧民族の国家であった「パルティア」がこの地を支配し、300年にもわたって両国は対峙することになります(→ローマ帝国でさえも、震え上がった「遊牧騎馬民族」)。

紀元前50年頃のパルティアの領域
その「パルティア」を滅ぼしたのが、「イラン帝国(サーサーン朝、サーサーン朝ペルシア)」になります。

ホスロー2世時代(620年、最大図版)
で、この「イラン帝国」の国教としての宗教は「ゾロアスター教」でした(→西洋の「ギリシャ論理学」 VS 東洋の「インド論理学」)。

ナクシェ・ロスタム

ナクシェ・ロスタムの「ゾロアスターのカアバ」
6世紀半ば、西の「ビザンツ帝国(東ローマ帝国)」と東の「イラン帝国(サーサーン朝、サーサーン朝ペルシア)」が2大勢力として君臨していました。

ところが、その後の100年間で、あっという間に弱体化します。
何故か?

632年の預言者ムハンマドの死後、イスラム教段がジハード(聖戦)を強力に推し進め勢力範囲を広げていったから、です(→こんなにスゴイ! 約1400年前の「うまるちゃん」)。

正統カリフ時代の最大版図
こうして、イランの地は、「イスラム教」に支配されるようになります(一時的にモンゴル帝国に支配されたこともありましたが)。

ここに、「国家が宗教に支配される」という形が出来上がります。
そして、現代を生きる私たちが知っておかなければならないのは、そもそも「新米国家」であった「イラン」が、どうして、「反米国家」となったのかということです。
それは、今から約40年ほど前の、1979年の「革命」によって始まりました。
ということで、本日はここまでとさせて頂きますが、その辺りの流れを、下記の動画で、どうぞご確認くださいませ。

続きは次回に♥
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* by 名無し
ムハンマド以前に現在のサウジアラビアをローマやアレクサンダー大王、古代バビロニアが支配しなかったのは失敗だったな。イスラムは基礎を軽視していきなり結果の良いものを作ろうという姿勢そのもの。ムハンマド以前の国や統治機構あっての平和が存在しなかったのは最大の失敗だろう。
Re: タイトルなし * by みっちゃん
仰る通り、そもそもの、何らかのまとまりをもった集団が、キチンと形成することができなかったことが鯨飲なんでしょうね!