2019-12-12 (Thu)

本日のキーワード : 国際連盟
国際連盟(こくさいれんめい、國際聯盟 英語: League of Nations, フランス語: Société des Nations, スペイン語: Sociedad de Naciones)は、第一次世界大戦後の1919年の協商国と、ドイツとのヴェルサイユ条約、および中央同盟国との諸講和条約により規定され、ヴェルサイユ条約の発効日である1920年1月10日に正式に発足した国際機関である。
本日の書物 : 『ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番――世界トップ1%の資産防衛』 ブルック・ハリントン みすず書房
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 ウェルス・マネジャーは、顧客が束縛されずに自由に蓄財を行えるようにして、成長と移動に課されるこうした制約から資本を「解放する」。皮肉なことに、ある国家の制約から富を移転するには、別の国家を頼りにする必要がある。別の地域から「解放」された資産を求めて国家は張り合い、資産を保護しようと別の方法で主権を用いる。

【世界の上流階級の資金をめぐるこの競争の結果】として、法人向けおよび個人向けの【ウェルス・マネジメント計画にとって、オフショア金融機関の利用が不可欠な要素となった】のである。
こうした地域がウェルス・マネジメント業務にとって重要であることは、STEPの研修の受講内容からもわかる。TEP免許取得の入門コースでは、【オフショアについての解説が教科書の冒頭から28ページも費やされる】(教科書の11%を占める)。言い換えれば、【ウェルス・マネジャーが研修の最初に学ぶ】のは、【私有財産保護のためのオフショア金融センターの利用】なのである。取引ツールや富裕層が直面する問題に先立ち、これを学ぶことになる。

すべてのオフショア金融センター(OFC)が実際に沖合い(オフショア)にあるわけではない――内陸のスイスがその顕著な例だ――が、【その多くは島か、何らかの形で地理的または政治的に分離しているという特徴】がある。「厳しい競争市場」で上流階級の富を引き寄せるために、OFCはこの特徴を自分たちに有利に使える。イギリス海峡から南太平洋まで、カリブ海からインド洋まで、【OFCは世界のあちらこちらにある】。OFCには総額で、【個人資産にして推定89億ドル】、【企業資産で数兆ドル以上】が集まっている。世界で【70から80あるOFC】のなかでも、主に【ヨーロッパや中東、アフリカの資産が集まるスイス】が、【オフショアの個人資産の26%を保有】して優位を保っている。【香港とシンガポールには主にアジアの資産】が集まり、【オフショア資産の13%を占める】。このような世界有数のセンターに加えて、同じビジネスに関わる何十ものセンターが存在する。よく知られたところでは【チャンネル諸島のジャージー島とガーンジー島】――イギリスとヨーロッパ大陸の中間に位置する――や、遠隔地で辺鄙なところでは、【マレーシア直轄領のラブアン島】、南太平洋のタヒチとフィジーの中間に位置する【クック諸島】などがある。
OFCはこのように多岐にわたるが、【すべてのOFCに共通する重要な特徴】があり、【これによってOFCは単なるタックス・ヘイブンではなく、規制と説明責任から自由な地域になっている】。』

「国際法」を遵守する国、破る国
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、世界中の超富裕層と呼ばれる人々の「富」を、国家による収奪から保護する役割を担っているウェルス・マネジャーについて、学者である著者自身がウェルス・マネジメント研修プログラムに参加し、資格を取得したのちに、その実態を調査・研究したまとめとして書かれた良書で、あまり一般には知られることのない、世界の「おカネ」を巡る攻防が、どのように展開されているのかを理解することができるお薦めの書物になります。

さて、本文中にオフショア金融センター(OFC:Offshore Financial Center)という言葉が登場していますが、これは小規模かつ低税率の法域である、主として非居住者であるオフショア会社に対する企業向け商業サービスの提供等を行っている地域のことで、いわゆる「タックス・ヘイブン」とは異なりますので、混同されないようご注意下さい。
で、そのオフショア金融センター(OFC)の中には、小さな国家も含まれていて、その「主権」を用いることで、世界中から多くの「おカネ」を引き寄せることに成功しています。
このように、たとえ小さな国家であったとしても、その主権が認められるという、今日の国際社会では当然とされることが始まったのが、昨日も書かせて頂きましたように、1648年のウェストファリア条約締結による「ウェストファリア体制」で、これは今日に至るまで続いています。このとき、あらゆる国は対等だという原則が確立されたわけです。
と同時に、次のような変化も起こりました。
それ以前の考え方 : 「自分と違うことを考えている者は、殺さなければならない」
それ以降の考え方 : 「自分と違うことを考えている者は、殺さなくてもよい」
この変化は、それまでの戦争に次ぐ戦争の時代に終止符を打とうとして、国際社会において、あらゆる国々が従うべき共通のルールの確立を目指したもので、「国際法(International Law, Law of Nations)」の原型が誕生した瞬間でもあったわけです。
しかし、御存じのように、第一次世界大戦が勃発し、ヨーロッパは戦争の惨禍の中心となりました。
そこで、第一次世界大戦の講和条約、通称「ヴェルサイユ条約」が、1919年6月28日に締結されますが、この時、国際連盟が設立されます。
その国際連盟規約の冒頭に、次のような文章が記載されていて、
『 締約国ハ 戦争ニ訴ヘサルノ義務ヲ受諾シ 各国間ニ於ケル公明正大ナル関係ヲ規律シ、 各国政府間ノ行為ヲ律スル現実ノ規準トシテ国際法ノ原則ヲ確立シ、 組織アル人民ノ相互ノ交渉ニ於テ正義ヲ保持シ且厳ニ一切ノ条約上ノ義務ヲ尊重シ、 以テ国際協力ヲ促進シ、且各国間ノ平和安寧ヲ完成セムカ為、 茲ニ国際聯盟規約ヲ協定ス。
( 締約国は戦争に訴えざるの義務を受諾し、各国間における公明正大なる関係を規律し、各国政府間の行為を律する現実の基準として国際法の原則を確立し、組織ある人民の相互の交渉において正義を保持し且つ厳に一切の条約上の義務を尊重し、以って国際協力を促進し、且つ各国間の平和安寧を完成せむがため、ここに国際聯盟規約を協定す。)』
と、今から100年前の1919年の時点で、つまり、現在の日本国憲法も、その第9条も存在すらしていない時代に、すでに国際社会においては、「国際法」によって、「戦争」そのものが否定されているわけです。

当然、あとから作られたものである現在の日本国憲法も、この「国際法」と矛盾することがないように定められたものになります。
そのことがサッパリと理解できない「おバカ」の典型が、これ(↓)です💗



☆望月衣塑子記者「武力によらない平和訴え続けた中村哲さん 彼の思いを引き継がねば」
別に、日本国憲法の第9条だけが、世界で唯一、戦争放棄を掲げているわけではなく、「国際法」においては、すでに一般常識になっているという事実を御存じないということです。

さらに申しますと、「武力によらない平和」という文言も、恐らく何らかの勘違いをされていると思われるのですが、この「戦争の放棄」というのは、国際社会のルールとなる「国際法」を遵守する国々に対して適用されるものであって、「国際法」を破る国家に対しては、例えば、次のような規定があります。
『 第一〇条〔領土保全と政治的独立〕
聯盟国ハ、聯盟各国ノ領土保全及現在ノ政治的独立ヲ尊重シ、且外部ノ侵略ニ対シ之ヲ擁護スルコトヲ約ス。右侵略ノ場合又ハ其ノ脅威若ハ危険アル場合ニ於テハ、聯盟理事会ハ、本条ノ義務ヲ履行スヘキ手段ヲ具申スヘシ。
( 第10条 領土保全と政治的独立
聯盟国は、聯盟各国の領土保全及び現在の政治的独立を尊重し、且つ外部の侵略に対し之を擁護することを約す。右侵略の場合又はその脅威若しくは危険ある場合においては、聯盟理事会は、本条の義務を履行すべき手段を具申すべし。)』

何なら、もう少し、例示してさしあげましょう💗
『 第一一条〔戦争の脅威〕
一 戦争又ハ戦争ノ脅威ハ、聯盟国ノ何レカニ直接ノ影響アルト、否トヲ問ハス、総テ聯盟全体ノ利害関係事項タルコトヲ茲ニ声明ス。仍テ聯盟ハ、国際ノ平和ヲ擁護スル為適当且有効ト認ムル措置ヲ執ルヘキモノトス。此ノ種ノ事変発生シタルトキハ、事務総長ハ、何レカノ聯盟国ノ請求ニ基キ直ニ聯盟理事会ノ会議ヲ招集スヘシ。
二 国際関係ニ影響スル一切ノ事態ニシテ国際ノ平和又ハ其ノ基礎タル各国間ノ良好ナル了解ヲ攪乱セムトスル虞アルモノニ付、聯盟総会又ハ聯盟理事会ノ注意ヲ喚起スルハ、聯盟各国ノ友誼的権利ナルコトヲ併セテ茲ニ声明ス。
( 第11条 戦争の脅威
1 戦争又は戦争の脅威は、聯盟国の何れかに直接の影響あると否とを問わず、総て聯盟全体の利害関係事項たることを茲に声明す。仍って聯盟は、国際の平和を擁護するため適当且つ有効と認むる措置を執るべきものとす。この種の事変発生したるときは、事務総長は、何れかの聯盟国の請求に基づき直ぐに聯盟理事会の会議を招集すべし。
2 国際関係に影響する一切の事態にして国際の平和又はその基礎たる各国間の良好なる了解を攪乱せむとする虞あるものに付き、聯盟総会又は聯盟理事会の注意を喚起するは、聯盟各国の友詛的権利なることを併せて茲に声明す。)』
御覧のように、ここにハッキリと書かれているのですが、「国際平和を擁護するために、適当かつ有効と認められる措置を執るべきものとする」という文章の意味するところは、「集団的自衛権」の存在を宣言し、その武力行使を容認するということです。

安全保障関連法が成立した際に、産経新聞でさえ、「防衛政策 歴史的転換」だとか、「集団的自衛権可能に」とかといった見出しで報道していましたが、これらは完全に「嘘」の報道で、「朝日新聞による慰安婦捏造報道」と匹敵するほどの、謝罪と訂正が必要なレベルの「フェイクニュース」です。もちろん、これは日本国民の敵(それもラスボス)である内閣法制局による仕業になりますが(→日本国民にはすっかり見透かされてしまっている財務省の目論見)。
「国際法」を遵守し、国際連合に加盟する我が国は、当然、「集団的自衛権」の存在を“他の加盟国同様に”認め、その武力行使も“他の加盟国同様に”認めている国家です。安保法が云々といった国内法の範疇のお話ではないんです(笑)

ところで、「国際平和を擁護するために、適当かつ有効と認められる措置を執るべきものとする」という文章から、「集団的自衛権」の存在は理解できるけれども、「適当かつ有効と認められる措置」というものに、果たして「武力行使」が含まれていて、容認されているのか、と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

それでは、次回以降、その点について確認してみたいと思います。
続きは次回に♥
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