2019-11-11 (Mon)

本日のキーワード : 有効需要
有効需要(ゆうこうじゅよう、英: Effective demand)とは、貨幣的支出の裏づけのある需要。金銭的な支出を伴った欲望として、単なる欲望とは区別される。「有効」という言葉は、貨幣支出(購買力)に基づいていることを示している。
一般理論の序論第3章のケインズ自身の言では、雇用量は総需要曲線と総供給曲線の交点において決定され、さらにこの点において事業者の利潤期待が最大化されるとし、ケインズはこの交点を有効需要と呼んだ。経済学では、有効需要とはマクロ経済全体で見た需要のことを指し、消費・投資・政府支出および純輸出(輸出マイナス輸入)の和で定義される。総需要と同義であり、Y=C+I+G+X-Mとも表される。「全体としての産出物の需要表」。全体としての産出に必要な雇用が完全雇用状態でない場合、非自発的失業が生じる。古典派は非自発的失業がない状態まで全体としての産出が行われるとする。
この概念は経済学者であるミハウ・カレツキあるいはジョン・メイナード・ケインズによって提唱され、後に形成されたケインズ経済学(ケインジアン)の考え方の根幹となっている。
ケインズ以前に主流であった古典派の経済学では、セイの法則(Say's Law)を中心として自由放任主義を展開していた。セイの法則は「供給はそれ自らの需要を生み出す」と要約される理論で、どのような供給規模であっても価格が柔軟に変動するなら、かならず需給は一致しすべてが需要される(販路法則)という考え方に立つ。経済は突きつめればすべては物々交換であり、貨幣はその仲介のために仮の穴埋めをしているにすぎない(ヴェール)。それゆえ追加的な生産物のみが新たな交換と支払い(需要)をうみ出す事が出来る、とする。ピグーら新古典派経済学は、このような均衡は財の価格が十分に調整しうるほどの長期において成立すると解釈する。一方、ケインズは「長期的にはわれわれはすべて死んでいる(In the long run, we are all dead.)」と呼び、このような長期的均衡は実現しないと批判した。
本日の書物 : 『数学嫌いな人のための数学 ― 数学原論』 小室 直樹 東洋経済新報社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『生徒 : そうすると、【有効需要の原理】とは、【経済】が言わば、【そこを目指していく傾向があるというだけのこと】であって、【成立するかどうかは、覚束(おぼつか)無い】というんですね?
先生 : 【恒等式ではない】んだから、【そう言わざるを得ません】。…

生徒 : せっかく【有効需要があっても、これが満たされない場合】として、経済学的に【重要な例】としてどんなのがありますか。
先生 : まずは、【クラウディング・アウト(crowding out)】です。…「閉め出し」と訳されています。有効需要があったとき、これを供給できるためには、それを生産するための生産力がなければならない。【生産力が不足】していると、せっかくの有効需要も【供給しきれない】こともあり得ます。
生徒 : 10兆円の有効需要があっても、8兆円しか供給できないということですか。
先生 : そういうことです。
生徒 : 【クラウディング・アウトが存在】すれば、【セイの法則は成り立ち(真である)】、【古典派は正しいことになります】ね。
先生 : そうです。生産力が不足して供給しきれない。供給した商品はみんな売りきれます。…

生徒 : なるほど、【クラウディング・アウト】こそ【ケインズ派】か【古典派】かの【分かれ目】なんですね。

【クラウディング・アウトが起きること】は、【有効需要の原理が成立せず、セイの法則が成立する】ためのどんな条件(condition)ですか。
先生 : 【十分条件(sufficient condition)】です。【必要条件(necessary condition)ではありません】。

生徒 : と言うと? どういうことなんですか。
先生 : 【クラウディング・アウトがあれば、有効需要の原理は成立しない(有効需要の原理が作動するともかぎらない)】。すなわち【セイの法則が成立する】。しかし、【セイの法則が成立するためには、クラウディング・アウトを必要とはしません】。

生徒 : 他に何があればいいんですか。
先生 : 【「資金不足」】があればいいんです。…例えば、【政府】が、【財政政策】として自動車道路を作るという【設備投資】をしたとします。そのために【資金が必要】です。必要な資金を銀行から借りてまかなったとします。そうするとどうなります?…大きな資金を銀行から政府が借り出したら銀行はどうなります?
生徒 : はじめ潤沢な資金をもっていた銀行でも、そんなに借りられたら【資金不足】になるでしょうね。
先生 : そこです。銀行が資金不足になればどうなります?
生徒 : 民間企業が、設備投資するために銀行にかけつけても、もう資金がないと断わることもあるでしょう。
先生 : 有効需要が大きくなれば、企業は、生産してそれを供給するために設備投資しなければならないこともあり得ます。その設備投資ができないとすると?
生徒 : ああ、なるほど。資金不足で設備投資ができなくなり、そのための生産力不足で、有効需要があっても、それを供給できないってこともあるわけですね。』

経済学のエッセンスを、サクッと身に付けましょう!
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、2001年に発刊されたもので、“ゆとり教育”という、後の世に大きな災いをもたらす害悪が蔓延しつつある頃に書かれた書物で、「数学」というものが如何に教育において重要であるのかが、よく理解できる良書となります。

さて、本書によれば、「経済学の極意」とは、
〇 ケインズ理論のエッセンス = 有効需要の原理 = “方程式”
〇 古典派のエッセンス = セイの法則 = “恒等式”
というところにあり、
〇 「特定の数値のときにだけ成立する」のが「方程式」、
〇 「どんな数値のときにも成立する」のが「恒等式」、
という違いがあることを理解する必要があります。そこで、
国民生産(national product) : Y [生産物(yield)の頭文字]
国民消費(national consumption) : C
国民投資(national investment) : I
とし、また、
国民所得(national income) = 国民生産(national product) : Y
とした場合に、古典派の恒等式は、

他方、ケインズの方程式は、

となります。
ここで、本文中に、「クラウディング・アウトこそケインズ派か古典派かの分かれ目」と書かれていましたが、この「クラウディング・アウト(閉め出し)」を研究したのが古典派で、ケインジアンは「クラウディング・アウト(閉め出し)」そのものを無視しています。
ケインズの「有効需要の原理」は、有効需要があれば、国民経済は、その有効需要に見合う分の供給をするので、需要と供給のバランス(均衡)がとれてイコールになる、という理論です。
そして、供給の側には何ら問題がないという前提ですので、クラウディング・アウトという供給側の問題が生じた場合には、有効需要の原理が成立しないこととなり、「供給した商品はみんな売りきれる」というセイの法則が成立することになるわけです。

となると、ケインズの理論が対象としているのは、もっぱら、需要側の問題について、ということになります。この需要側に関する研究を、古典派は怠っていたわけです。
そして、ケインズの理論によって、「消費関数(consumption function)」や「投資関数(investment function)」といったアイデアが生み出され、現代に至る「理論経済学」が構築されるようになったわけです。
で、その根幹となるモデルが、「最単純ケインズ・モデル」で、次の仮定を前提としています。
① 外国はないものとする
② 政府はないものとする
③ 時間はないものとする
④ 経済人以外は存在しないものとする
ここで、「最単純ケインズ・モデル」において、「需要関数(demand function)」を「D」としますと、ケインズの方程式は、

だったわけですから、

となります。「C」は国民消費(national consumption)ですが、さらに今度は、「限界消費性向(marginal propensity to consume)」を「a」として、「最純消費関数」を考えます。ただし、この時、
国民所得(national income) = 国民生産(national product) : Y
という前提があることを忘れないで頂きたいのですが、そう致しますと、次のように表すことができます。

限界消費性向という考え方は、手取りの月給が20万円から22万円に増えた場合(10%増)に(これまでかつかつの生活をしていて20万円ピッタリ消費していたとしましょう)、増えた2万円のうち、どの程度を消費に回すか(消費しない分は貯蓄)ということを表すもので、比例定数となります。2万円のうち、1万6千円を追加の消費に回すのであれば「0.8」です。
これを、国民経済で考えた場合でも同じで、もし、国民所得が1兆円増加して、国民消費が8000億円増加するならば、限界消費性向は「0.8」となります。
ここまでを整理させて頂きますと、「最単純ケインズ・モデル」の「需要関数(demand function)」は、

で、「最単純消費関数」が、

で、かつ、
国民所得(national income) = 国民生産(national product) : Y
と言う前提がありましたので、

「最単純ケインズ・モデル」の「需要関数(demand function)」は、

と書き表すことができます。
よって、次の2つの方程式が目の前に存在していることになります。


ここで、投資関数「I」を定数とします。

そうすると、次のような循環が見てとれると思います。

そこで問題です。
(問題) ここまでの前提を元にして、いま、国民投資(「I」)が1兆円追加で増えた場合、国民生産・国民所得(「Y」)はいくら増加するか、次の連立方程式を用いて答えよ。ただし、限界消費性向は「0.8」とする。 ※ヒントはトップ画像にあります。




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