2019-09-24 (Tue)

本日のキーワード : 景気弾力条項
景気弾力条項とは、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」の附則18条のことである。なお、以下の内容は、三党合意による修正を経た後の法文である。
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律
附 則
(消費税率の引上げに当たっての措置)
第18条 消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。
2 税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。
3 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前2項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。
本日の書物 : 『アベノミクスが変えた日本経済』 野口 旭 筑摩書房
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 安倍は、【三党合意による消費増税法案】が可決された直後に行われた2012年9月の自民党総裁選出馬表明時には、
「【消費税引き上げの前にデフレ脱却】をして経済を力強い成長軌道に乗せていく必要がある」
と述べ、【他の総裁候補者が消費税増税を自明とする中】で、消費増税法における【「景気弾力条項」に基づく増税延期】の可能性に唯一言及していた。

さらに総裁就任後にも、インタビューなどにおいて、
「日本経済がデフレ脱却に向かっていないと判断した場合には【消費税の引き上げ延期】を検討する」
と述べていた。
ちなみに、安倍が依拠するこの【「景気弾力条項」】とは、【消費増税法案にあった附則18条のこと】である。そこでは、【消費税増税の実施はあくまでもその時点での経済状況の判断に依存するもの】であり、具体的には【3%程度の名目経済成長率】と【2%程度の実質経済成長率】の【達成および維持】が【前提とされる】ことが【明示】されていた。

こうした慎重姿勢にもかかわらず、安倍は結局、【2014年4月】に、第一回目の【消費税増税を実施】した。

その最大の要因は、アベノミクスが開始された2013年に入ってからの顕著な景気回復であった。特に決定的だったのは、速報値では2・6%であった2013年第2四半期(4月~6月)の実質経済成長率(年率換算)が、9月9日に発表された改定値で3・8%へと大幅に上方修正されたことである。名目経済成長率(年率換算)の方も、速報値の2・9%から改定値の3・7%へと上方修正された。この突発的な景気拡大により、3%の名目経済成長率および2%の実質経済成長率という【景気弾力条項の基準】が、【一時的に】せよ【形式的に】は満たされることになったのである。
つまり、アベノミクスの開始時点での大いなる成功は、【その最大の目標であるデフレ脱却を頓挫させるリスクをはらむ増税を後押しする】という、きわめて皮肉な結果をもたらしたわけである。

その後ただちに明らかになったように、【この消費税増税による経済の下押し効果】は、【大方の想定を越えていた】。とりわけ【民間消費】は、「増税前の駆け込み需要拡大の反動減」では説明できないような、【趨整的な落ち込み】を示していた。その結果、アベノミクスの発動以来、2%目標に向かって明確な上昇傾向を示していた【消費者物価上昇率】も、【再びゼロ近傍まで低下】した。』

財務省の小物官僚に惑わされないようにするために
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、そもそも「アベノミクス」って一体何なのか、それによって、日本経済がどのように変わったのか、あるいは変わろうとしつつあるのか、それをマクロ経済学の観点から、キチンと分かりやすい形で解説がなされている書物で、本書をご覧頂くことで、「アベノミクス」が始まった直後のセオリー通りの展開や、2014年の消費税率引き上げによる大失敗が理解でき、そして、目下、世界経済が混沌とする中で予定されている、「悪夢の民主党政権」同様の愚策中の愚策である消費税率の再引き上げを行うことが、いかなる意味を持っているのかを、読者御自身のアタマで考えることができるようになる良書になります。

さて、2014年4月の第一回目の消費税増税実施によって、折角の回復のチャンスを失った日本経済ですが、あろうことか、今回さらに、止めの一撃となる再度の消費増税が行われるそうです。そして、その背後にいる永久戦犯の一つが「財務省の小物官僚」になります。


岡本薫明(おかもと しげあき)


☆「消費税は社会保障財源」「国民に理解求める」岡本薫明財務次官インタビュー
そんな「財務省の小物官僚」は、主に東京大学(あ)法学部を卒業しただけの単なる“学士”で構成される「超ド文系集団」に過ぎず、そのため、戦前の大日本帝国のおバカ官僚同様に、自分たちのアタマでまっとうな思考を行うことができません。
そんなおバカ官僚とは違って、私たち日本国民は、まっとうな思考をしていく必要があるのですが、今回の消費増税についてキチンと考える上でも、ポール・クルーグマンが20年以上も前に、我が国の惨状を見て、提唱した理論を良く知っておく必要があると思います。

ポール・クルーグマン
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆20年以上前の失敗から何一つ学べない財務省・日銀 ~ 「緊縮財政」と「消費税増税」


☆「It's Baaack:Japan's Slump and the Return of the Liquidity Trap」By Paul R.KRUGMAN

現在、ポール・クルーグマンが、何をせよとアドバイスしているのかを、山形浩生氏の訳による「復活だぁっ! 日本の不況と流動性トラップの逆襲」から確認しているところになりますが、

☆「復活だぁっ! 日本の不況と流動性トラップの逆襲」山形浩生訳
これまでに論文を読み進めてきましたところ、何だか意味不明な数式が登場してきました。

『 財が一つで、representative agent 経済(ただし、エージェントはそれぞれ自分の消費分は他人から買わなきゃいけない)を考える。はじめは、財が非弾性的に供給されるものとしよう。つまりそれぞれのエージェントが一定のほどこし yt を毎期ごとにもらえるものとしよう。具体性をつけるため、効用関数は以下のような形を取るものとする。』


この数式が何を意味しているのかが理解できない方にとっては、ここから先へと進むことができないのではないかと思い、少々お話から脱線させて頂いているところとなります。
昨日のところでは、次のような函数(関数)があったと仮定し、

足し算を足し算にしているので、「++タイプ」と表現することと致しました。
そして、xやyがゼロであった場合、それが「どのように振舞うのか」を観察してみますと、

f(0)というものが何なのかはさっぱり分からないのですが、f(0)に2を掛けても変わらないということを上の式は表していますので、そこから「f(0)は0でなければならない」という結論が導けました。
さらに、もしも、yという数が“無限に小さい”とすれば、どうなるのかを確かめるために、その数を「dx」として表すこととし、次のような式を考えました。

ここで必要となってくるのが、「微分」の考え方になります。
「微分積分学」のエッセンスは、
『「曲がった」ものも、どんどん拡大すると、「まっすぐ」に見えてくる』
ということになりますが、

「微分」で何をやっているのかをイメージするとすれば、ある曲線上の1点から、“無限に小さい”分だけ水平方向に位置をずらした時、垂直方向の位置がどれだけ変化するのかを考え、その傾きを測ることと言えます。

例えば、y=f(x)というものがあって、その中身が何なのかはサッパリと分からないままだとしても、“無限に小さい”分だけ水平方向に位置をずらした時、つまり、dx分だけ変化(dx)したときに、垂直方向の位置がどれだけ変化するのかを考え、つまり、dy分の変化(dy=f(x+dx)-f(x))を考え、その傾きを測る、つまり、水平分(dx)の垂直(dy分の変化[dy=f(x+dx)-f(x)])を求める(微分係数を求める)ことになりますので、「微分」は次のように定義されます。

で、上の定義式と比較しながら、さきほど考えていた下の式について見てみましょう。

両辺からf(x)を引いて、さらに両辺をdxで割ってみると・・・

この式の左辺は、まさにfの微分係数を表している(※微分の定義式と同じということです。dとΔは同じことを意味し、limはΔxをどんどんゼロに近づけていくと、という意味に過ぎません)ことが分かります。
ここで再確認ですが、今やっていることは、「答え(解)」を求めているのではなく、「どのように振舞うのか」を観察しているだけです。そんなに難しく考える必要はありません。

で、左辺は、fの微分係数を表している、別の言い方をすれば、f(x)の「導関数」を求める式(※「導関数」を求めることを「微分する」と表現します)となっているわけですから、「´」を使って「導関数」の表現に置き換えてみますと、次のようになります。

詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆歴史を学ぶのに「数学」がゼッタイ必要な理由

☆ネットの「後追い」をする、とても恥ずかしい日本のメディア

さて、残っているのは、右辺についてどう考えれば良いのかということになります。


そこで、すでに、「f(0)は0でなければならない」ということが分かっていますので、それを右辺に放り込んでみましょう。ゼロを足しても、どうせ変わりませんので。

この右辺は、x=0におけるfの微分係数を表しているだけ、ですね💗
先ほどと同様に、今度は右辺を「´」を使って「導関数」の表現に置き換えてみますと、次のようになります。

左辺から、すべての数xにおける傾きと、右辺から、ある点(x=0)での傾きとが、まったく同じだと、この式は表していることになりますので、f(x)はcを定数とすると、次のように表現することができます。

すなわち、「++タイプ」は直線であるということになります。また、ゼロを入れるとゼロが出てくることが分かっていますので、b=0でなければならないので、「++タイプ」は、

という形であるということが判明いたしました。
まとめておきますと、足し算を足し算にする「++タイプ」の函数(関数)は、

cを定数とした場合、

という直線の形をしている、ということです。
続きは次回に♥
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