2019-09-23 (Mon)

本日のキーワード : デフレ、価格破壊
『価格破壊』(かかくはかい)は、城山三郎の経済小説。または、それを原作とするテレビドラマ。ダイエーの創業者、中内㓛をモデルにしたとされる。
某電機メーカー社員の赤坂が車で信号無視の歩行者を轢きそうになった。注意したところ、その男は矢口という大学の同期生だった。赤坂に近況を語る矢口は、当時再販制の対象で値引き販売が規制されていた一般用医薬品の大安売りを始めて、消費者から支持されている。製薬会社からの圧力にもめげずに日本中の現金問屋を訪ねて歩く彼は、その後店をスーパーマーケット「アロー」へと発展させ、関東一円でチェーン展開を開始。
店では生鮮食料品や家電製品も扱うようになるなど、総合スーパーへと規模を拡大。スーパーで一儲けを企むライバル勢力との駆け引きや、値引き販売に圧力を加えようとする家電メーカーとの闘い、再販制を盾に自社商品(石鹸)の卸を拒むメーカーに対抗して始めたプライベートブランド商品の開発などを経て、やがて矢口の率いる「アロー」は小売業の王者のようになってゆく。

☆土曜ドラマ 城山三郎シリーズ 価格破壊 原作:城山三郎/出演:山崎努、いしだあゆみ、佐分利信/「ザ・商社」に続く和田勉演出の経済ドラマ。
本日の書物 : 『アベノミクスが変えた日本経済』 野口 旭 筑摩書房
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 多くの国が【インフレ】に悩まされていた1980年代までは、【日本】は【「物価安定の優等生」】と呼ばれていた。…【日本のインフレ率】は【ほぼ恒常的に他の先進諸国よりも低く保たれていた】。そうではあったが、少なくとも1980年代までの日本経済は、【低インフレではあっても、決してデフレではなかった】。

その状況が変化したのが、1990年代である。日本の物価上昇率は、バブルが崩壊した1990年代初頭から低下し始め、90年代半ばにはインフレ率はほぼゼロとなった。しかしながら、【当時の日本】では、【このような急速なインフレ率低下の危険性】は、【まったく認識されてはいなかった】。【それどころか、当時はむしろ】、この状況が【「価格破壊」として称揚されていた】。後に経営破綻にいたる流通大手のダイエーが、その価格破壊の旗手として脚光を浴びたのは、まさにこの頃のことである。

日本経済の【デフレ化】を【決定的なものにした】のは、1997年4月の【消費税増税】である。…【この消費税増税による景気後退】と、それによって【引き起こされた金融危機】によって、【日本経済】は遂に物価が持続的に下落する【真性のデフレーションに陥る】ことになる。

☆【迫る10%】(3)消費税は「鬼門」、政争と直結 産経新聞
この1997年頃からアベノミクスが開始される2013年頃までの約15年間、日本経済はまさに【「デフレの罠」】の中でもがき続けることになる。しかしながら、デフレーションが生じた1990年代末頃の日本においては、【それが人々の経済生活にどれほどの困難をもたらすか】は、1990年代半ばの価格破壊の場合と同様に、【政府や政策当局も含めて、きわめて不十分にしか認識されていなかった】。
【とりわけ問題だった】のは、物価安定に第一義的な責任を負うべき【日本銀行】が、【デフレに対して許容的なスタンスを取り続けていた点】である。当時の日銀総裁であった【速水優(はやみまさる)】は、インフレ・ファイターであることを中央銀行の本義と考える【旧来的な金融政策思想の持ち主】であり、デフレが進行する中においてさえも【デフレよりもインフレの方を懸念するような人物】であった。

速水優
実際、【当時の日銀】は、【デフレの危険性を指摘する一部専門家の指摘】を【まったく無視し続けた】。

日銀は【それどころか】、デフレは技術革新による生産性上昇の現れであり、【むしろ歓迎すべきものである】といった、この当時一世を風靡した【「良いデフレ論」を積極的に主張していた】のである。

当時の日銀が、【デフレにもかかわらずきわめて不十分な金融緩和しか行わなかった】のは、その【日銀の体質の一つの現れ】と考えることができる。
結局のところ、日銀のこうしたデフレ許容的な政策対応は、日本経済に深く根付き始めていたデフレをさらに克服し難いものにするように作用した。』

「答え(解)」ではなく、「振る舞い」を考えてみましょう
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、そもそも「アベノミクス」って一体何なのか、それによって、日本経済がどのように変わったのか、あるいは変わろうとしつつあるのか、それをマクロ経済学の観点から、キチンと分かりやすい形で解説がなされている書物で、本書をご覧頂くことで、「アベノミクス」が始まった直後のセオリー通りの展開や、2014年の消費税率引き上げによる大失敗が理解でき、そして、目下、世界経済が混沌とする中で予定されている、「悪夢の民主党政権」同様の愚策中の愚策である消費税率の再引き上げを行うことが、いかなる意味を持っているのかを、読者御自身のアタマで考えることができるようになる良書になります。

さて、早速、昨日の続きに入りたいと思いますが、当ブログでは、私たち日本人は、ポール・クルーグマンが20年以上も前に、我が国の惨状を見て、提唱した理論を良く知っておく必要があると考えていて、

ポール・クルーグマン
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆20年以上前の失敗から何一つ学べない財務省・日銀 ~ 「緊縮財政」と「消費税増税」


☆「It's Baaack:Japan's Slump and the Return of the Liquidity Trap」By Paul R.KRUGMAN

そこで、ポール・クルーグマンが、何をせよとアドバイスしているのかを、山形浩生氏の訳による「復活だぁっ! 日本の不況と流動性トラップの逆襲」から確認しているところになります。

☆「復活だぁっ! 日本の不況と流動性トラップの逆襲」山形浩生訳
ちなみに、「It's Baaack(復活だぁっ!)」とタイトルにありますが、これは、それまでの経済学において、実際にはあり得ない病理的なケースとして考えられていた「流動性の罠」が、当時の日本経済の状況を見て、あり得ないと思われていた現象が目の前に起きている、つまり、「流動性の罠」という忘れ去られていた問題が、経済学の主要な課題として“復活した”という意味になります。そのような議論が巻き起こる中で、当時の日銀がどのように考えていたのか、それが本日ご紹介させて頂いた本文の内容の示す通りになります。

それでは本題に入ると致しまして、これまでに論文を読み進めてきましたところ、何だか意味不明な数式が登場してきました。

『 財が一つで、representative agent 経済(ただし、エージェントはそれぞれ自分の消費分は他人から買わなきゃいけない)を考える。はじめは、財が非弾性的に供給されるものとしよう。つまりそれぞれのエージェントが一定のほどこし yt を毎期ごとにもらえるものとしよう。具体性をつけるため、効用関数は以下のような形を取るものとする。』


昨日のところで、ここ数式は「効用関数(utility function)」と呼ばれるもので、経済学の基本的概念である、「財やサービスの消費から得られる“主観的”な満足度」という意味の「効用(utility)」について、数式で表現した「函数(関数)」でしかないと書かせて頂きました。
さらに、「限界効用(Marginal utility)」という言葉についても、経済学における「限界」、つまり「微分」のことだとも書かせて頂きました。

ですので、さきほどの数式の意味を理解しようと思えば、数学の「微分積分学」を知っておく必要があることになります。
以前にも書かせて頂いておりますが、「微分積分学」のエッセンスは、
『「曲がった」ものも、どんどん拡大すると、「まっすぐ」に見えてくる』
ということになります。
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆覚えようとする(丸暗記する)人は、その内容について理解ができないから、そうするんです

で、今度は、その「微分」を一旦後回しにすると致しまして、昨日後回しにしていた「函数(関数)」について考えてみたいと思います。
「函数(関数)」は、英語で「function」になりますが、自動販売機のようなイメージのもので、何かを入れると、何かが出てくる装置であり、単なる「函(箱)」です。
例えば、いま、自動販売機(f)に、コイン(x)を投入すると、何か(y)が出てくるとします。このとき、私たちには、自動販売機(f)の内側がどのようになっているのかは知りません。

ですので、実際に仕組みがどのようなものなのかは良く分からないのですが、ここはとにかく、自動販売機(f)にコイン(x)を入れて、出てきた何か(y)を、「f(x)」と表すって勝手に決めてしまうことにします。つまり、

と書き表すことに決めたということです。(※最初から決まっていたわけではなく、いま、ここで、自分で決めたという風に考えてみて下さい!)
で、これからやろうとしていることは、学校のお勉強のように、何らかの最初から与えられた数式があって、xがいくつだったなら、yがいくつになるか、というような「答え(解)」を求めるのではなく、実は良く分かっていないものが、アレコレと考えてみて、それが「どのように振舞うのか」を観察してみましょうということになるのですが、グダグダと説明するよりも、実際にやってみちゃった方が早いので、先に進めてみたいと思います。
いま、次のような装置があったと仮定してみます。

これは、自動販売機(f)にコイン(x+y)を入れると、「f(x)」と「f(y)」とを足したものが飛び出してくるという想像上の装置を表していて、足し算を足し算にしているので、このような装置を「++タイプ」と表現することとします(※あくまでも仮定であり、想像上の装置であるため、本当に存在するのかどうかは知りません)。
で、このお話は数学のお話ですので、実際には、xもyも何らかの数になるのですが、もしも、あらゆる数xとyに対して、このように振舞うのであれば、xとyがゼロであっても、同じように振舞うのではないかと考えることができます。
そこで、試しにゼロを入れてみますと、

となるはずです。ここで、f(0)というものが何なのかはさっぱり分からないのですが、f(0)に2を掛けても変わらないということを上の式は表していますので、そこから「f(0)は0でなければならない」ことになります。
みなさん、如何でしょうか?
もう一度繰り返しますが、「答え(解)」を求めているのではなく、「どのように振舞うのか」を観察しているだけです💗

それでは、今度は、もしも、yという数が“無限に小さい”とすれば、どうなるでしょうか?ここでは、その数を「dx」として表すこととします(※これも、自分で勝手に決めちゃっただけ、と思ってください!)。
すると、こんな感じになります(yをdxに置き換えただけですがw)。

お気付きかもしれませんが、ここで必要となってくるのが、さきほど一旦後回しにしていた「微分」になります。
ということで、本日はここまでとさせて頂きますが、「微分」の考え方の導入部分については、以前にも書かせて頂いておりますので、この後のお話の予習という意味でご確認くださいませ。
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆歴史を修正しても困らない人、歴史を修正されると困ってしまう人
☆世界に災いをもたらすのは。。。

続きは次回に♥
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