2019-08-15 (Thu)

本日のキーワード : ノーベル経済学賞、比較優位
比較優位(ひかくゆうい、英: comparative advantage)とは、経済学者であったデヴィッド・リカードが提唱した概念で、比較生産費説やリカード理論と呼ばれる学説・理論の柱となる、貿易理論における最も基本的な概念である。アダム・スミスが提唱した絶対優位(absolute advantage)の概念を柱とする学説・理論を修正する形で提唱された。
これは、自由貿易において各経済主体が(複数あり得る自身の優位分野の中から)自身の最も優位な分野(より機会費用の少ない、自身の利益・収益性を最大化できる財の生産)に特化・集中することで、それぞれの労働生産性が増大され、互いにより高品質の財やサービスと高い利益・収益を享受・獲得できるようになることを説明する概念である。
本日の書物 : 『日本史に学ぶマネーの論理』 飯田泰之 PHP研究所
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 ここで【貨幣発行益(シニョリッジ)】と【インフレーション】の関係について整理しておこう。問題は【貨幣発行益はどこから来るのか】という点にある。

【改鋳】による【貨幣量の増加】が【インフレをもたらさない場合】から考えてみよう。
このとき、【政府】は【「財・サービスの獲得」という利益】を得ている。また、政府が「財・サービスの獲得」という利益を得る裏側で、それらの【財・サービスを供給する商人や職人たち】は【売り上げ増大という恩恵】を受けている。それまで小判や銀を【貯蓄していた階層】にとっては、【特に損得は生じていない】。手持ちの旧金銀を新金銀に換えても、金1両・銀1匁で買える財・サービスの量は変わらないからだ。このとき、【政府が獲得する貨幣発行益の源泉】は【経済の活性化にある】。【得をしている者はあるが、損をしている者はない】。貨幣発行の影響がこの第一の段階にとどまっている限り、貨幣発行益は、確かに、打出の小槌の側面を持っている。

しかし、【経済全体の「財・サービスを供給する力」が限界に達しているとき】には、改鋳の影響は【これにとどまらない】。政府がこれまで以上に財・サービスを購入する結果、【民間が利用可能な財・サービスが減少】してしまう。市場に供給された【豊富な貨幣と不足する財・サービス】――このふたつが組み合わさったときに生じるのが【インフレーション(物価騰貴)】だ。

貨幣改鋳がインフレをもたらしたとしても、政府が「財・サービスの獲得」という利益を得ている点に変わりはない。そして、政府支出の拡大による売り上げ増によって利益を得る者もあるだろう。一方で、改鋳以前に小判銀を【貯蓄していた層】にとっては、手持ちの旧金銀やそれと交換した新金銀で【買えるものが減少するという負担が生じている】。ここにおいて、【貨幣発行益】は【金銀保有者への負担(インフレ税)から生み出されるものとなる】。…
このような【インフレ税】は【「金銀保有者から政府」にとどまらない再分配効果がある】。…

【政府が発行する貨幣】は必然的に【政府負債】としての性質を持つ。【インフレ】による【債務者利得】は【政府負債についても同様に生じる】。【インフレ】による【政府の債務者利得】は【貨幣発行益の重要な源泉】である。貨幣改鋳によって貨幣量を増加させても、インフレが起きてしまっては、発行した貨幣で購入できる財・サービスが減少することから【政府の利益は少ない――といった解説】を見かけることがあるが、【これは誤りである】。

【マイルドなインフレーション】は【政府に限らない債務者の負担を軽減することで、民間経済を刺激する】。これは今日の経済を考えると容易に理解できるだろう。…

現代の経済制度においても【金融緩和政策】から【政府が得る貨幣発行益】にはこの【第一と第二の要因が混在】している。【貨幣発行益の源泉が第二の要因である政府負債の減免ばかりになったとき】――【民間経済の状況は変わらずに、貨幣を多く持つ者から政府への所得移転のみとなったとき】、【その評価は低いものとなる】だろう。
【その分水嶺】となるのが【「経済全体の財・サービスを供給する余力」の多寡】である。飢饉や天災は財・サービスの供給余力を低下させる事件に他ならない。供給余力の低下に対して貨幣改鋳を行った宝永の改鋳は、今日の経済理論にしたがうと、必然的に大幅なインフレに帰結せざるを得ない。
貨幣改鋳による貨幣供給量の増大がもたらす光と影をごく短時間に経験した元禄改鋳と宝永改鋳、その教訓と反省は、その後の江戸期の改鋳に大きな影響を与えたことだろう。その後も貨幣改鋳は幕府の経済政策の根幹をなすものとなっていく。』

世界で通用しない日本の”御用”経済学者
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、我が国の歴史である国史の流れの中の「おカネ(貨幣)」に注目し、そこから現代経済学の知見に基づいて検証し、「経済」と「金融」というものを改めて考えていくというテーマで書かれた書物であり、「おカネ(貨幣)」というものが、そもそも何であるのか、ということを理解できるようになる良書になります。

さて、我が国の経済学者の多くは、世界の経済学者からすれば、「ガラパゴス経済学」というとても特殊な、もちろん世界でも全く通用しないものを学問と称しています。その大本を辿っていきますと、かつて日銀や官庁エコノミスト界の大ボスであった都留重人(つるしげと)にたどり着きます。バリバリの社会主義者で、「マルクス経済学者」というトンデモナイ奴でした(笑)

都留重人
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆偉大だった某“大蔵省”官僚 ~ それに比べて、今の“財務省”官僚は・・・

財務省や日銀や御用学者どもが、いかに「ガラパゴス」なのか、よく理解できる動画を貼っておきますので、ぜひご覧下さいませ。
そのような状況であるため、日本の経済学者は、これまでに「ノーベル経済学賞」を一度も受賞できていません。ほかの分野では、あれほど多く輩出しているにもかかわらず、です。要するに、何の貢献も出来ていないわけです。そのくせ、メディアを通じて、トンデモ理論や珍説を唱えたりしているのを、よく見かけます(笑)

アダム・スミス(1723年~1790年)の『国富論』に始まる経済学は、当時の重商主義を批判し、「貴金属(金銀)は国富である」という考え方を真っ向から否定し、「労働によって生み出される財やサービス」こそが「国富」であるといった主張を行います。

アダム・スミス
その流れを受け継ぎ、「価値の最適な尺度は貴金属(金銀)ではなくて労働にある」(労働価値説)と唱え、土地と農業を重視したのが、アメリカ合衆国建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリン(1706年~1790年)でした。

100ドル紙幣に描かれているフランクリン
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆日本共産党の委員長の選び方 ~ こうして独裁者が生まれます(笑)

そして、アダム・スミスが確立した、人間の労働が価値を生み、労働が商品の価値を決める、という「労働価値説(LTV/labour theory of value)」を、さらに発展させたのがデヴィッド・リカード(1772年~1823年)でした。

デヴィッド・リカード
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆「文系の経済学」と「理系の経済学」 マルクス経済学はどっち?

そして、その「労働価値説」を中心として、カール・マルクス(1818年~1883年)が唱えたのが「マルクス経済学」になるのですが、その理論には致命的な欠陥が存在していて、普通の人間は誰も相手にはしませんでした。そう、一部のお馬鹿な者たちを除いて(笑)

詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆偽物の経済学であるマルクスの理論を破壊した、経済学の本物の革命

☆「マルクスの理論」を知らない&理解できないのが「パヨク」

「無能な学者」でも有名大学に職を得られる「穴場」 ~ マルクス経済学

そんな私たち人類にとっては無駄でしかなかった「マルクス経済学」のお話は横に置いておくことと致しまして、デヴィッド・リカードは、かの有名な「比較優位(comparative advantage)」という理論を打ち立てることで、「近代経済学の創始者」として評価されています。

デヴィッド・リカード
その理論は、イギリスとポルトガルという2つの国の、ワインと毛織物という2つの商品を例にして、仮に、ワインと毛織物のどちらも、ポルトガルの方がイギリスよりも生産コストが安く“絶対的な優位性”があったとしても、それでもイギリスと貿易をすることが望ましい、というものでした。
さて、一体どういうことを意味しているのでしょうか?

ここで、イギリスの労働者が220万人、ポルトガルの労働者が170万人いたとします。また、イギリスのすべての労働者が1単位時間の労働で生産できる毛織物の量を「Sb」、ワインの量を「Wb」、同様に、ポルトガルのすべての労働者が1単位時間の労働で生産できる毛織物の量を「Sp」、ワインの量を「Wp」であるとします。
もし、
Wb < Wp
である場合、ポルトガルはワインに関してイギリスに「絶対優位」であると定義します。
また、
Wb÷Sb < Wp÷Sp
である場合、ポルトガルはワインに関してイギリスに「比較優位」であると定義します。
いま仮に、1単位時間の労働で生産できる量を次の通りであったと仮定します。
イギリス : 毛織物(36)、ワイン(30)
ポルトガル : 毛織物(40)、ワイン(45)
このとき、ポルトガルはイギリスに対してどちらの商品も「絶対優位」となります。
Wb(30) < Wp(45)
Sb(36) < Sp(40)
しかしながら、「比較優位」を考えますと、次のようになり、
Wb(30)÷Sb(36) < Wp(45)÷Sp(40)
Sb(36)÷Wb(30) > Sp(40)÷Wp(45)
ワインに関してはポルトガルが「比較優位」であり、毛織物に関してはイギリスが「比較優位」であると言えます。
イギリスとポルトガルの労働者が毛織物とワインの2つの商品にそれぞれ次のように従事していたとします。
イギリス : 毛織物(100万人)、ワイン(120万人)
ポルトガル : 毛織物(90万人)、ワイン(80万人)
そして、1単位時間の労働で生産できる量を掛け合わせてみますと、次の通りとなります。
イギリス : 毛織物(3600)、ワイン(3600)
ポルトガル : 毛織物(3600)、ワイン(3600)
ここで、イギリスとポルトガルの両国を合わせてみた場合、毛織物(7200)、ワイン(7200)の生産量であることが分かります。どちらの国も、生産量を増やそうとした場合には、どちらか一方の商品を減産しなければなりませんが、その際、「比較優位」にある財の生産に集中し、比較劣位にある商品を輸入することでお互いが利益を享受できるであろう、と考えるわけです。
具体的に見てみますと、両国が「比較優位」の財にすべての労働者をシフトさせて、
イギリス : 毛織物(220万人)、ワイン(0人)
ポルトガル : 毛織物(0人)、ワイン(170万人)
1単位時間の労働で生産できる量を掛け合わせてみますと、次の通りとなります。
イギリス : 毛織物(7920)、ワイン(0)
ポルトガル : 毛織物(0)、ワイン(7650)
イギリスとポルトガルの両国を合わせてみた場合、毛織物(7920)、ワイン(7650)の生産量となり、生産量の拡大がなされたことになります。
このようなデヴィッド・リカード(1772年~1823年)の「比較優位論」に基づいた貿易理論は、1960年代までの経済学の世界では主流な見方でした。
ところが、1970年代後半以降、ある新しい経済モデルが構築され、それが主流経済学に取り入れられるようになります。
その功績によって、2008年にノーベル経済学賞を受賞した人物こそが、ポール・クルーグマン(1953年~)になります。

ポール・クルーグマン
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