2019-08-07 (Wed)

本日のキーワード : 真正手形主義
手形(てがた)とは、
① 一定の内容の証明となる証文には手形を押したことから、一定の資格や権利を証明する書面そのものも手形という。通行手形(関所手形)、切符手形(切手)、約束手形、為替手形といった使われ方をする。
② 上記が転じたもの。有価証券としての一種である約束手形と為替手形の事(広義には小切手も含む)を指すのが一般的である。
本日の書物 : 『夏の騎士』 百田尚樹 新潮社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 勇気 ―― それは人生を切り拓く剣だ。
ぼくが勇気を手にしたのは昭和の最後の夏だ。あれから三十一年の歳月が流れた。平成は過ぎ去り令和となり、十二歳の少年は四十三歳の中年男になった。
今もどうにか人生の荒波を渡っていけているのは、ほんのんずかに持ち合わせた勇気のおかげかもしれない。
小学校最後の夏を迎えようとしていた頃、ぼくは意気地なしで臆病な子供だった。それを周囲に知られないように、いつも陽気にふるまい、時には向こう見ずな風を演じてもいた。しかし今思えば、同級生たちには本当はそうではないとばれていたかもしれない。というのも、口だけは達者だったが、ケンカになりそうになると、途端に意気地なしになったからだ。
それでもいじめられっ子にならなかったのは、二人の友人がいたからだ。もっとも、その二人はぼくのボディーガードになってくれるどころか、ぼく以上にケンカが弱かった。』

「消費税増税」の愚策を繰り返すのは、経済学を理解できないから
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、大人気ベストセラー作家による「最後の小説」となるもので、この夏休みを利用して、ご家族全員で読んで頂きたい「傑作小説」になります。

さて、本作品の中身についての言及はネタバレとなりますので避けさせて頂きますが、主人公らは、「ロスジェネ」、「ロスト・ジェネレーション」と呼ばれる1970年から80年代初めまでに生まれた世代にあたり、バブル崩壊後の就職氷河期を経験した方々と同じ世代になります。
恐らく、著者は、この世代の方々を応援されるおつもりで、そのような設定とされたのではないかと考えているのですが、この物語は、御覧のように、「昭和の最後の夏」、つまり1988年の夏から始まっています。
では、平成元年(1989年)の4月1日に、何があったのかと申しますと、経済環境が悪化の一途を辿っている状況の中で、我が国で初めて「消費税の導入」がなされました。このとき、税率は3%でした。その結果、税収そのものは「増税したにもかかわらず減収」となり、景気の悪化に伴う民間需要の減少を補うために財政出動(歳出増加)が繰り返され、公債発行額が増加しています。

☆一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移
表現を変えますと、民間の資産である「おカネ」が棄損あるいは消失したため、政府の負債としての「おカネ」の供給量を増加させた、ということになります。つまり、「おカネ」は「負債(借金)」だということです。

ここで、大きな矛盾があります。

現在の我が国の状態と同じことが言えるのですが、経済環境が悪化の一途を辿っている状況であることが既にハッキリとしているときに、民間の資産である「おカネ」が減少するデメリットを回避するために、政府の負債としての「おカネ」の供給量を増加させることは経済学的に必須の金融・財政政策であるにもかかわらず、一方で、「消費税の導入」という「増税策(民間資産の「おカネ」を減らす「デフレ政策」)」により、民間の資産である「おカネ」を回収し減らそうとする、のかというところです。
「それって、意味ないじゃん!」(笑)
この理屈が理解できなかったため、その被害を被ることになってしまったのが「ロスジェネ」です。

そして、さらなる「愚策」が施されることになります。1997年(平成9年)の「3%から5%への消費税率の引き上げ」です。

この愚策を行ったために、失業者や自殺者が急拡大します。

詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆「減税」をすればするほど、どうなるのでしょう?

そして、さらに、2014年(平成26年)に「5%から8%への消費税率の引き上げ」という愚策を繰り返します。

これら一連の愚策の施しの結果、「そのうちに、また、勝手に増税をするんでしょ?」という疑念を日本国民が抱くこととなり、いつまで経っても「デフレ」から抜け出せなくなってしまったわけです。しかも、もっとも働き盛りで「おカネ」を必要とする「ロスジェネ」世代は、可処分所得がどんどん減少しているというオマケまでついて。

詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆民間人が「横取り」されているモノ
☆明日を今日よりも豊かにするためには。。。アリとキリギリス

しかも、またしても同じ愚策を繰り返そうとしているのが東京大学(あ)法学部卒の財務省の自称エリート官僚どもで、学習効果の無さにはホトホト呆れるばかりで、そのお馬鹿の筆頭となるのが岡本薫明(おかもとしげあき)です(笑)


☆「消費税は社会保障財源」「国民に理解求める」岡本薫明財務次官インタビュー

それでは、本日の最後に、「おカネ」が一体何なのか、ということを考えてみたいと思います。
16世紀、ヨーロッパの人々は「なぜ、物価が上昇しているのか(=インフレが起こっているのか)」ということを考えはじめるようになり、16世紀後半、フランスの重商主義者ジャン・ボダンが、ヨーロッパへと新しく大量に持ち込まれる金銀は「おカネ」であると考え、金銀の量と価格水準との関係性を理論化します。これが、「貨幣数量説」です。

ジャン・ボダン
17世紀末ごろ、その考え方を受け継ぎ、より一般化したのがイギリスのジョン・ロックで、経済活動の本質は、「モノ」と「モノ」との交換(物々交換)であって、「おカネ」は単に不便さを解消するための道具として用いられているだけで、「実質的な経済活動」には何ら影響を与えることはない、と唱えました。これが、「貨幣ヴェール説」で、現在でもこの考え方を受け入れている経済学者が存在しています。つまり、「物々交換」、「等価交換」という発想を持つ経済学者がいるということになります。その「貨幣ヴェール説」と「物々交換」、「等価交換」という発想に密接に関係しているのですが、のちにカール・マルクスに受け継がれた「労働価値説」の起源となる考え方もロックは唱えています。

ジョン・ロック
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆重商主義者と「おカネ」の理論

☆財務省官僚と新井白石の共通点 ~ 経済学誕生以前の古臭い考え方

ここで、次の問題が生じます。
なぜ、おカネが「モノ・サービスの価格」には影響を与えるのに、「モノ・サービスの産出」には影響を与えないのか?

いま、「お米1合 = 玉ねぎ1個」という交換が成立していたとして、そこで「おカネ」の供給量が倍増したとしても、お米1合の「価格」も、玉ねぎ1個の「価格」も、それぞれが2倍になるだけで、「実質的な経済活動」には何ら影響を与えない(貨幣ヴェール説)というが、お米や玉ねぎの「価格」が2倍になったら、より多く「産出」しようとするのではないのか?という当然の疑問が湧いてくることになります。

そして、この問題に対する回答として大きく4つの考え方が登場するようになるのですが、それは19世紀後半から20世紀にかけてのことになります。

アダム・スミス
1776年、『国富論』によって、それまでの重商主義を批判し、「貴金属(金銀)は国富である」という考え方を真っ向から否定し、「労働によって生み出される財やサービス」こそが「国富」であると主張したアダム・スミスの登場で、経済学が誕生することになります。
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆日本共産党の委員長の選び方 ~ こうして独裁者が生まれます(笑)

19世紀初頭、イギリスにおいて、「おカネ」を巡る考え方についての一大論争が起こります。それが、「地金論争」です。
スコットランド出身で、のちにフランスへと渡ったジョン・ロー(1671年~1729年)は、「真正手形主義(The Real Bills Doctrine of Money)」や「稀少価値論(The Scarcity Theory of Value)」を唱えた独特の金融理論を持った人物になります。

ジョン・ロー
「稀少価値論」というのは、「水と宝石」を例えとして、人間が生きていく上でも必需である水の「利用価値」は高いけれども「交換価値」は低く、他方で、宝石は「交換価値」が非常に高いけれども、食べることもできないので、その「利用価値」は低い、だから、「利用価値」と「交換価値」を区別した上で、「モノの価格」はその相対的な希少性によって決定されるという考え方になります。
「真正手形主義」というのは、真正手形(実際の商取引に基づいて代金支払いのために振り出す手形のこと。融資だけの目的で振り出される融通手形とは異なる)を例えとして、「おカネ」とは「信用」のことであり、その「信用」は何らかの取引のニーズが存在するからこそ決まってくるものであり(取引ニーズが先にあるということ)、世の中に存在する「おカネ」の量は、金銀などの輸入なんかで決定されるものではなく、世の中に対する「信用の供与」によって決定されるという考え方になります。

実は、この「真正手形主義」という考え方の信奉者が、元日銀総裁であった白川方明(しらかわ まさあき)なのですが、それがどういった問題があるのか、お分かりでしょうか? ということで、本日はここまでとさせて頂きます。

白川方明



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