2019-07-31 (Wed)

本日のキーワード : 重商主義、貨幣ヴェール説、デフレ政策
正徳の治(しょうとくのち)は、江戸時代の正徳年間を中心に進められた政治改革である。
正徳は江戸幕府の6代将軍徳川家宣・7代将軍家継の治世の年号で、主に将軍侍講(政治顧問)の新井白石と側用人の間部詮房らが実権を担った。白石の儒学思想を基に、文治主義と呼ばれる諸政策を推進した。
貨幣政策に関してイニシアティブを握った白石は貨幣の含有率を元に戻すよう主張。有名な正徳金銀は新井の建言で発行されたもので、これによってデフレーションが発生した。市場の貨幣流通量を減らすべくその方法として貨幣純度を元に戻す必要は感じていたが、これを一気に行えば経済界に与える悪影響は計り知れず、元禄金銀・宝永金銀の回収と新金銀の交換は少なくとも20年はかけて徐々に行うように提言している。事実、元禄金銀・宝永金銀(あわせて金2545万両、銀146万貫)と比較すると、正徳の治の間に行われた改鋳量は正徳小判・一分金合わせて約21万両である。社会全体のGDPが上昇する中で、通貨供給量を減少させたことは、デフレを引き起こした。
本日の書物 : 『モモ』 ミヒャエル・エンデ 岩波書店
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 モモはあいての目をうかがいました。この男はどういうわけか人を不安にさせます。とくにその目からつたわってくるひややかさがいけません。けれどふしぎなことに、なぜか理由はわかりませんが、この男がかわいそうにも思えました。
「でもあたしの友だちなら、あたしはすきよ。」
灰色の紳士は、まるできゅうに歯でも痛みだしたように、顔をゆがめました。けれどすぐにまたじぶんをおさえて、かみそりの刃のようなうす笑いをうかべました。
「わたしは思うんだがね、」
とおだやかに言いました。
「わたしたちふたりはようく話しあわなくちゃいけないね。そうすればきみは、なにが問題なのかがわかると思うよ。」
彼はポケットから灰色のメモ帳をとり出して、パラパラとめくり、さがしていたページを見つけました。
「きみはモモっていう名前だね?」
モモはうなずきました。灰色の紳士はメモ帳をとじ、ポケットにしまうと、モモにちかよってすこし息をきらしながら地面に腰をおろしました。しばらくだまったまま、なにかを考えているように小さな灰色の葉巻をくゆらすばかりでした。

ミヒャエル・エンデ広場にあるモモの像
「いいかね、モモ――よく聞くんだよ!」
男はようやく口をきりました。よく聞くことなら、モモはさっきからずっと、いっしょうけんめいにやってきました。ところがこの男の話を聞くことは、これまであいてにしただれよりもずっとむずかしいのです。ほかの人の場合には、モモはいわばあいてのなかにすっかり入りこんで、そのひとの考えや、そのひとのほんとうの心を理解することができました。けれどこの訪問者があいてでは、それがまるでできません。いくらつとめてみても、からっぽのやみのなかに落ちこんでいくような感じで、あいてがいないもどうぜんです。こんなことはモモにははじめてでした。
「人生でだいじなことはひとつしかない。」
男はつづけました。
「それは、なにかに成功すること、ひとかどのものになること、たくさんのものを手に入れることだ。ほかの人より成功し、えらくなり、金もちになった人間には、そのほかのもの――友情だの、愛だの、名誉だの、そんなものはなにもかも、ひとりでにあつまってくるものだ。きみはさっき、友だちがすきだと言ったね。ひとつそのことを、冷静に考えてみようじゃないか。」 』

「政府(幕府)がお金持ちになれば良くなる」という勘違い
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、ドイツの児童文学作家による架空の物語ですが、深く考えないでご覧頂いても、大人でもかなり楽しめるお話になっているのですが、物語の中心となる「時間」というものを「おカネ」と読み替えることで、この物語が本当に伝えたいものが何であるのかが理解できるようになります。そして、それは現代を生きる私たち一人ひとりが、「おカネ」というものの意味をキチンと理解するためにも必要であり、ぜひ、多くの方々にご覧頂きたい良書になります。

さて、昨日のところで書かせて頂きましたように、かつて「革新派」と呼ばれる左にも右にもまたがって存在した「共産主義者」がいましたが、

そんな左下や右下の下々(しもじも)の共産主義者をコントロールしつつ、大日本帝国を戦争へと導いていった左上の上座に位置する「革新官僚」の系譜に連なる連中よるプロパガンダが、いまだに継続されています。

現代の日本の思想状況
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆共産主義者とネトウヨ

☆戦後の日本社会党も日本共産党も、そして戦前に戦争を引き起こした連中も、悪いのはすべて「革新派」です

そして、その典型例が歴史ある「大蔵省」から格下げされた“三流官庁”である「財務省」(企業で言えば経理部)のトップ(つまり経理部長)に居座り続けている岡本薫明(おかもとしげあき)くんになります(笑)


☆「消費税は社会保障財源」「国民に理解求める」岡本薫明財務次官インタビュー
で、そんな岡本薫明(おかもとしげあき)くんも、「おカネ」というものが何であるのかがサッパリ理解できないその一人になります(笑)

一昨日のところで書かせて頂きましたように、我が国で言えば戦国時代から江戸時代初期にあたる1480年頃~1650年頃のヨーロッパでは、物価水準が急激に上昇(インフレ)していて、

☆『16世紀「価格革命」論の検証』 平山健次郎
当時の人々は、「なぜ、物価が上昇しているのか(=インフレが起こっているのか)」、その理由が分からなかったのですが、フランスの重商主義者であったジャン・ボダン(1530年~1596年)が、当時の経済の変化で重要なものとして、新大陸から大量に持ち込まれていた金銀に着目し、金銀の量と価格水準との関係性を理論化し、「おカネ」の理論である、「貨幣数量説」をまとめ、

ジャン・ボダン
それを、イギリスの哲学者のジョン・ロックがさらに一般的な形でまとめます。

ジョン・ロック
「重商主義(mercantilism)」の考え方は、「おカネ」としての金銀という貴金属を「国富」として捉え、それを蓄えようとする政策を唱えていたのですが、ジョン・ロックは新たな理論を唱えることとなります。
ジョン・ロックの理論の根底にあるのは、「物々交換」、「等価交換」という発想です。また、のちにカール・マルクスへと受け継がれる「労働価値説(labour theory of value)」の起源を、そこに見出すことができます。
重商主義者であったジョン・ロックは次のように論じます。
「おカネ」の供給、つまり金銀の流入が増加すれば、「モノ」の価格が上昇し、逆に、「おカネ」の供給が減少すれば、「モノ」の値段も下落するため、いずれにしても「貧乏なまま」になる、だから、「おカネ」の供給(=金銀の流入)の増加を維持しつつ、同時に、他国に比べて自国の「モノ」の値段を高く維持するように、有利な貿易バランスを目指すべきだ、と。
「モノ」と「モノ」との交換によって「経済」が成り立っている、であれば、他国よりもイギリスの「モノ」の値段が高ければ、より多くの「モノ」と交換できる、そのためにも、「おカネ」となる金銀の獲得も大切だ、なぜなら、「モノ」の値段を上昇させるからだ、という理屈です。
この考え方に対して、当時の多くの重商主義者は疑問を抱きました。
「イギリスで産出されるモノの値段が他国よりも低くなれば、より輸出が増えて、イギリスは儲かるのでは?」
、と。
ここで、ジョン・ロックの理論の根底にある、「物々交換」、「等価交換」という発想を考えます。
いま、お米1合(150g)と玉ねぎ1個、お米1合ときゅうり1本、お米2合とトマト1個、お米1合とピーマン2個、お米3合とだいこん1本、お米1合とジャガイモ1個、が交換されているとします。
このとき、お米1合と等しくなる関係を式で示しますと、次のようになります。
お米1合 = 玉ねぎ1個
= きゅうり1本
= トマト1/2個
= ピーマン2個
= だいこん1/3本
= ジャガイモ1個
経済活動の本質は、上に見られるような「モノ」と「モノ」との交換であって、「おカネ」は単に不便さを解消するための道具として用いられているだけで、仮に、「おカネ」の量が2倍に増加したとしても、それは「モノ」の「価格」を引き上げるだけ(例えば、お米1合の値段が2倍になり、その他の野菜もそれぞれ2倍になるだけ)で、その交換の比率には何ら影響を与えない、このような考え方を「貨幣ヴェール説」と呼びますが、この点が、「貴金属(金銀)は国富である」とする、従来の重商主義者らの考え方を否定するものとなります。

ところで、「重商主義(mercantilism)」の考え方は、「貴金属(金銀)は国富である」として、その金銀という貴金属を蓄えることを政策として推進するわけですが、我が国にも同じような考え方を持ち、世の中を「デフレ」の底なし沼に落とし込んだ馬鹿がいました。その人物が、新井白石(あらいはくせき/1657年~1725年)で、「正徳の治(しょうとくのち)」と呼ばれる数々の愚策を施したことで知られています。

新井白石
そんな彼は、次のように書き遺しています。

☆『折たく柴の記 下』 新井白石 国立国会図書館デジタルコレクション
「我が国で産出される万代(ばんだい/万世、永久)の賓貨(ひんか/宝)となるべきもの(→つまり、金銀)を傾けて(→無駄遣いする)、遠方(外国)から来る、ただほんのひと時の奇玩(きがん/めずらしい品物)となすべきものに易(あなど)られ(→一時的に珍しいと感じても本質的な価値がないモノに、本当に価値のある金銀を交換してしまう愚かな行為)、そんな貨利(かり/財貨→ここでは奇玩のこと)などとの取引のために、我が国の国威を棄損するということは、然(しか)るべきことと覚えず(=適当であるとは思われない)。」

まさに、「重商主義(mercantilism)」の考え方である、「貴金属(金銀)は国富である」という発想です。そんな彼が採った政策が、市中に出回る「おカネ」の量を減少させ、「おカネ」そのものの「価値」を高める「デフレ政策」でした。いま、財務省主導のプロパガンダのもとで推し進められている「消費増税」と同様の「デフレ政策」になります。

1776年、それまでの重商主義を批判し、「貴金属(金銀)は国富である」という考え方を真っ向から否定し、「労働によって生み出される財やサービス」こそが「国富」であるといった主張を行ったのが、『国富論』を著したアダム・スミスで、いわゆる「経済学」が誕生した瞬間になります。

アダム・スミス
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