2019-07-13 (Sat)
「日本橋」 木曽海道六十九次 英泉
本日のキーワード : 参勤交代、大名行列、浮世絵
木曽海道六十九次(きそかいどうろくじゅうきゅうつぎ)は、天保6- 8年(1835-1837年)頃、浮世絵師・渓斎英泉および歌川広重により描かれた浮世絵木版画の連作。図版の表記どおり「街道」ではなく「海道」として記載する。
江戸・日本橋と京・三条大橋を結ぶ中山道の69カ所の宿場、出発地点の日本橋の合計70枚で構成されている。
本日の書物 : 『経済で読み解く日本史③ 江戸時代』 上念司 飛鳥新社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 そもそも、【幕府と大名の連合政権の本質】とは、お互いが存在を認め合うことで【共通の敵】(敵対する大名や寺社勢力など)を殲滅(せんめつ)するという【「双務性」的な同盟】です。関ヶ原以降、大坂冬の陣、夏の陣を経て、徳川家と大名たちのコンセンサスはより強固に形成されていったと考えられます。
そして、殲滅すべき外敵である豊臣家を滅ぼした後は、【新たな敵が出てこないように体制を強化する必要】があります。徳川家を中心とする幕藩体制を強化するためにお互いが協力した理由はまさにこれです。【幕府と大名がお互いの領分を侵さない代わりに、幕藩体制の維持に協力するという合意ができ上がった】わけです。
3代将軍・家光の頃まで、幕府は諸藩の大名に対して金銀を配りまくりました。戦乱からの復興資金も確かに必要でしたが、何よりも「江戸幕府が成立してよかった」と思わせ、幕藩体制維持のインセンティブを高める必要がありました。
大名はこれに応えるように、【幕府との顔つなぎ】のために【自ら進んで妻子を江戸に住まわせ、自身も積極的に参勤】します。
江戸時代は何よりも【コネがモノを言う時代】でしたから、こうやって【顔つなぎ】をしておけば将軍家に覚え目出度(めでた)く、【何かと利権にありつける】という嗅覚が働いたのかもしれません。
いずれにしても、日本国内で殺し合いをしていたときよりは、ずっと平和的に競争する時代になったことは確かです。
ところが、【歴史教科書】にはこの点について次のように書かれています。
(略)
まるで、【北朝鮮のような管理社会が到来したかのような書き方】です。妻子を人質に取られて多額の費用をかけて江戸に参勤することで、大名は徳川家との主従関係を刷り込まれたみたいですね。江戸幕府は「秀吉のときより、もっとユルくやろうよ」と言って集まったはずなのに、ずいぶんニュアンスが違います。
もちろん、【この教科書の記述は歴史的な事実に反します】。
まずは【原典】に当たりましょう。家光が改正した【「武家諸法度(寛永令)」】には、【参勤交代】について次のように書かれています。
大名小名、在江戸の交替相定むる所なり。
毎歳夏四月参勤致すべし。従者の員数近来甚だ多し。且は国郡の費、且は人民の労なり。向後其の相応を以て之を減少すべし。
【参勤交代の際に連れてくるお供の数が増えると、領民の負担が増えるので相応に人数を減らしなさい】と書いてあるじゃないですか! 財政的に困窮させるどころか、【家光は大名の負担を心配し、結果的に領民を苦しめるのではないかと懸念している】わけです。【歴史教科書の記述とはずいぶん違います】。
幕府が大名に対して「参勤交代によって諸藩に多大な経済負担を強いた」というのはあくまで時代が下ってからそうなっただけではないでしょうか。そもそも、【江戸への参勤は大名の側から進んで行ったもの】ですから…。』
江戸への参勤は“大名の側から進んで行ったもの”なんです
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、私たちの日本の歴史を、経済・金融の面を切り口としてみた場合、これまで学校の授業でお勉強させられ、「訳の分からない歴史」でしかなかったものが、普段の日常感覚で国史の流れをスッと、いとも簡単に理解できる、という良書で、また、多くの方々が勘違いしていると思われる「おカネ」というものについて、非常に正しい認識ができるようになる、お薦めの書物の第3巻になります。
さて、先日と同様、本文中に教科書の記述を省略させて頂いている部分が御座いますが、本書で引用されているのは、『新しい社会 歴史 <平成26年版>』(東京書籍)になるのですが、手元にちょうどそれよりも新しい『新編 新しい社会 歴史 <平成28年度版>』が御座いますので、そちらを実際にご覧頂きたいと思います。
それでは、まず「略」の部分に該当するページをご紹介させて頂き、著者がご指摘なされている部分を抜き出してみます。
あと、念のために、武家諸法度についても、下記に転載しておきますので、詳しくはリンク先でご確認くださいませ。
大名小名在江戸交替相定る所也
(だいミやうしやうミやうざいゑどけうたいあいさだむるところなり)
毎歳夏四月中参勤を致す可し
(まいとしなつしぐわつぢうさんきんをいたすべし)
従者之員數近来甚だ多し
(じうしやのゐんじゆきんらいはなはだおゝし)
且國郡之費且人民之労也
(かつこくぐんのついゑかつにんミんのつかれなり)
向後其相應を以て之を減少す可し
(きやうかうそのさうをうをもつてこれをげんしやうすべし)
但上洛之節者教令に任せ公役者分限に随ふ可き事
(たゞししやうらくのせつハけうれうにまかせくやくハぶんげんにしたがふべきこと)
☆ 三次市立図書館/「往来本」デジタルアーカイブ 武家諸法度〈大橋殿真筆〉
折角なので、江戸時代を正しく御理解頂くために、もう少し補足しておきたいと思います。
で、まずは、こちら(↓)の書物から。
『 テレビや映画の時代劇でよく見かけるのが、参勤交代の大名行列に一般民衆が土下座して通過を見守るシーンである。これは実は、大きな間違い。もっとヒドい時代考証間違いの映画になると、木っ端役人の八州廻り(はっしゅうまわり)にさえ百姓が土下座しているシーンがあった。
一般民衆は路傍に立って行列を見物する振る舞いが許された。…一般民衆にとって、大名行列を見物する行為は、現代ならばスポーツ選手の優勝パレードを見物するのと似たような感覚の娯楽だった。…
一般民衆が土下座しなければならなかった行列は、将軍および御三家と紀伊徳川家の行列だけで、この行列は「土下座せよ」という意味で「下にぃ、下にぃ」と先触れの番士が声を掛けた。
さて、参勤交代の大名が道中で泊まる宿が、本陣である。これを高級旅館だと勘違いしている人が多いが、全く異なる。…本陣とはそもそも役職のことであり、まわりくどい言い方をすると、宿舎は「本陣の館」となる。本陣は単に大名に宿泊場所を提供するだけで、基本的に酒食を提供しない。だから参勤交代する大名は調理器具や食材、料理人、さらには入浴用の風呂桶など、一切合切を運ぶ必要があった。
また、本陣は百姓町人だが、実は戦国時代は武士であった。豊臣家や徳川家が天下を統一する過程で、どんどん有力大名が滅ぼされていったが、そういう大名家に仕えていた家臣団まで根刮ぎに滅ぼされたわけではない。そんな、根絶やしにするような扱いをすれば、手ひどい叛乱が起きて、天下統一など達成できたものではない。有力大名を攻め滅ぼす場合、トップは殺すが、その下の「幹部家臣」は名主(なぬし)、庄屋、本陣などという名称を与えて、従来の収入がほぼ維持できるような懐柔策を採用した。現代風に言えば、M&Aでライバル会社を乗っ取ったものの、全社員を総入れ替えするわけにはいかないので、代表権を持たない幹部社員はそのまま継続して社員として遇する、という状況と似ている。したがって名主、庄屋、本陣は、百姓町人でありながら、当人の意識としては武士のままである。
そういう本質的な由来を知らない時代劇作家が書くと、まだ戦国時代なのに、名主、庄屋が存在したりする、トンデモ時代劇が世に出回ったりする。』
詳しくはこちらをご参照💗
↓
如何でございますでしょうか?
「参勤交代」のイメージがガラリと変わった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、次の歌川広重の東海道五拾三次にある「日本橋」を御覧下さい。
続いて、「藤川」。
今度は、葛飾北斎の富岳三十六景から。
それでは、次に、木曽海道六十九次から歌川広重の「加納」を御覧下さい。
まるで、現代で言えば緊急車両が通る時のように、「道を空けているだけ」ですね💗
また、江戸時代の江戸の街というのは、「慢性的に女性不足」の都市で、そのことが切っ掛けとなって、様々な「顧客ニーズを満たす新商売」が発達するようになります。
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆女性が圧倒的に足りなかった「江戸」で生まれた「イノベーション」
続きは次回に♥
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