2019-07-02 (Tue)

本日のキーワード : 世界恐慌
世界恐慌(せかいきょうこう)とは、世界的規模で起きる経済恐慌(英語: world economic crisis/panic)である。ある国の恐慌が次々と他国へと波及し、世界的規模で広がる事象を世界恐慌という。世界初の例は、クリミア戦争が終結した時に穀物価格が急落したことにより1857年に起こった1857年恐慌である。戦間期に重要な位置を占めるものとして、通史的には1929年に始まった世界大恐慌をさす。
本日の書物 : 『なぜデフレを放置してはいけないか 人手不足経済で甦るアベノミクス』 岩田規久男 PHP研究所
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 読者のなかには【「人手不足の割には、実質賃金の上昇率が低いのでは」】と思われる方が少なくないと思われます。

図表3-22は、パートタイマーの実質時給に比べて、一般労働者の実質時給の上昇率が鈍いことを示しています。一般労働者は正規社員の比率が高いと思われます。つまり【アベノミクス】において、【実質賃金の上昇率が低いのは正社員】で、これが一般労働者の実質賃金上昇率を抑制している最大の要因と思われます。

では【「なぜ、人手不足の割には、正規社員の実質賃金の上昇率はパートタイマーなどの非正規社員に比べて低い」】のでしょうか。

【この疑問に明快に答えてくれたのは】、私が日銀副総裁だった当時の【連合幹部の言葉】です。「量的・質的金融緩和を実施しているのだから、来年度は、物価はかなり上がると思いますが、連合の賃上げ要求は低すぎますね」という私の疑問に、【その連合幹部は「しかし来年度、物価が上がらなかったらどうなります」と答えた】のです。

【物価が上がらなければ】、すでに説明したように、【実質賃金】は【企業が雇用を守るうえで高すぎる水準になってしまいます】。そうなると、…【雇用が不安定になり】、リストラを経験した【連合の正規社員は「雇用が心配だ」という】のです。
かくして、【長期デフレ】と【金融危機】を【経験】して、使用者側だけでなく、【労働者(とくに正規社員)側】も、【企業の安定】(廃棄や倒産をしないこと)と【その結果としての正規社員の雇用の安定】を【最優先課題にするようになった】のです。

この【労使ともどもの「縮み志向」】、言い換えれば【デフレマインド】こそが、【日本のデフレを伴った長期経済停滞の究極的要因】です。

企業経営者と連合に代表される【労働者のデフレマインドを払拭】し、【彼らの予想インフレ率を】日銀の物価安定目標である【2%まで高めることができないかぎり】、【正規社員の実質賃金】はパートタイマーのようには【上がらない】でしょう。…

右で連合幹部の発言を紹介しましたが、【予想インフレ率が低下する】と、【労働者の来年度に向けた賃上げ要求は下がり】、実際の【賃金上昇率も鈍り】ます。賃金は物価を決める大きな要因ですから、【賃金上昇率が鈍化すれば、消費者物価上昇率も低下】します。
以上から、【物価が上がりにくい理由】は、【消費増税後】、【労働者(その他の人びとも)の予想インフレ率が低下したことにあります】。

【日銀】の「経済・物価情勢の展望」(2018)は【「人手不足の割には、物価が上がりにくい」要因】を数々挙げていますが、【どの要因も最終的には消費増税後、予想インフレ率が低下した点に帰着します】。

これは、【消費増税】で【金融政策の「リフレ・レジーム」が毀損されたことを意味】します。

この壊れたリフレ・レジームを再構築するためには、次章で提案するような【財政政策と金融政策の協調】が【不可欠】です。』

教科書に書かれている「ニューディール政策」の嘘
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、我が国が長期間に渡ってデフレから抜け出せない根本原因が、①日本銀行の金融政策の失敗、と、②財務省が主導する緊縮財政&増税、と、③世界の主流である経済・金融政策の理論とは異質の主張をする日本の経済学者、と、④民意を問うことなく勝手に増税を決めてしまう日本政府、にあるということが、非常に分かりやすく丁寧に解説されていて、今、このタイミングで消費税率引き上げを実施することが、「自滅の特攻攻撃」に等しい愚策であるということを、嫌というほど分からせてくださる良書になります。

さて、昨日のところで少し書かせて頂きました、当ブログの要注意人物に指定されております都留重人(つるしげと)は、「反帝同盟事件」で数カ月の投獄と退学処分を受けた(1930年)ほどのバリバリの社会主義者であったわけですが、日本での進学が出来なかったため(当然ですがw)、アメリカへと渡ることになるのですが、その当時のアメリカは「世界恐慌」の真っ只中にありました。

1910年から1960年までの米国の実質GDP

都留重人

1910年から60年にかけての米国の失業率
そんな大不況のアメリカ経済を立て直したとして、恐らく多くの日本人が学校で覚えさせられる言葉が「ニューディール政策」です。

例えば、東京書籍の教科書を確認してみますと、次のように記述がなされています。



このように、1933年からの「ニューディール政策」によって、「経済が回復に向かった」と書かれています。そして、何故か、「民主主義の政治も維持され」た、とも。

フランクリン・ルーズベルト
そもそも、「ニューディール政策」はフランクリン・ルーズベルト大統領の政策でしたが、ルーズベルト大統領自身が、憲法で定められた民主主義の原則を踏みにじった、とんでもない政治家です。

詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆フランクリン・ルーズベルトとアドルフ・ヒトラーは、「同じ穴の狢(むじな)」でした

☆歴史を修正しても困らない人、歴史を修正されると困ってしまう人

☆三国協商を潰すためのドイツの道具 = レーニン

そして、「経済が回復に向かった」、その決定的な理由は、本書でも説明がなされておりますが、「金本位制を中止ないし廃止して、マネーストック(貨幣量)を急拡大させた金融超緩和政策こそが、大不況とデフレを収束させた主要な要因である」と、世界の主流経済学者は評価を下しています。


一人当たり国民所得の推移と金本位制からの離脱時期
「金本位制」・「兌換紙幣」時代の「貨幣」の捉え方で、現代における「貨幣」を考える人が、未だに散見されるのですが、そういう人に限って、「政府の借金がー」とか「日銀の経常損失がー」とか「日銀の債務超過がー」とか、訳の分からないことを言って騒ぎ立てているのですが、現代における「貨幣」、つまり「おカネ」の本質がサッパリ理解できていないことによります。

現在のアジア最強通貨は、我が国の通貨である「日本円」です。
詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆朝鮮のおカネ、支那のおカネ、日本のおカネ

その「日本円」の誕生は明治時代になりますが、それでは、それまではどうだったのか、というところから、「おカネ」の本質が理解できていない人は、お勉強をやり直すべきです。江戸時代までの日本には、独自の「貨幣」は流通していなかったのですから。
それが理解できれば、我が国の「デフレの元凶」が「マネーストック」の低さにあることが容易に判明するはずなのですが。

詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆ボリシェビキとニューヨークと片山潜

それでは、本日の最後に、昨日同様に参考となるある書物をご紹介させて頂きます。もちろん、この(↓)要注意人物のお話に繋がってゆくことになります。

都留重人
お話は1941年(昭和16年)9月6日の御前会議において、
明治天皇の有名な御製、
よものうみみなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ
の「波風」の部分を、
よもの海みなはらからと思ふ世になどあだ波のたちさわぐらむ
と、昭和天皇は「あだ波」と詠まれたと近衛文麿や杉山元は書き遺しているにもかかわらず、


☆『平和への努力』国立国会図書館デジタルコレクション
『平和への努力』とは別に後から「朝日新聞社」から刊行されたものには、「よもの海」の御製が「波風」と記されているという摩訶不思議な現象が起きている点について分析しているところになります。

『 次の第三の問題点に、「波風」改竄の疑惑が隠されている。 「半封建的侵略主義的」な「日本帝国主義の本質の分析」のためにこの手記を刊行したと刊行意図を述べ、それを「信濃毎日新聞」(以下「信毎」)と牛場友彦(うしばともひこ)が支援してくれたと感謝を述べている箇所である。

牛場友彦
近衛の周辺では、ゾルゲ事件の主役・尾崎秀実(おざきほつみ)らを中心とした「昭和研究会」と、その延長戦上に生まれた「朝飯会(あさめしかい)」という組織が活動していた。近衛の脇が甘かったのは事実で、これらの組織にはゾルゲの手が回り、コミンテルンに情報が筒抜けとなっていたことは近衛にとっては痛恨事といわねばならない。この点について、近衛は昭和二十年二月十四日、天皇に上奏し、自身の不明を次のように詫びている。尾崎が処刑された三カ月後のことである。
「 不肖は彼らの主張の背後に潜める意図を十分に看取する能わざりしは、全く不明の致す所にして、何とも申訳無之(これもうしわけなく)、深く責任を感ずる次第に御座候(ござそうろう)」 (矢部貞治『近衛文麿』下)
問題は、「朝飯会」の主要メンバーに、尾崎秀実と同席していた当時近衛の秘書でもあった牛場友彦が「朝日」版の協力者になっている点である。牛場のほかにもうひとり、見逃せない影をもつ人物がいる。「朝飯会」メンバーで、「信毎」と緊密な関係をもつ男、風見章(かざみあきら)である。

風見章
風見は第一次近衛内閣の書記官長(昭和十二年六月~十四年一月)に就いた経歴があるが、前身は「信毎」で共産党の地下運動を支えたいわくつきの記者だった(須田禎一『風見章とその時代』ほか)。 風見が「信毎」でやったことは、マルクスの『共産党宣言』を絶賛する連載記事を掲載し、過激な労働争議の支援をしたことに尽きる。つまり、牛場と「信毎」の間を繋ぎ、「朝日」に近衛の手記を渡した陰には、そもそも風見章がいたと考えれば「序」文との辻褄が合うのだ。
「朝日新聞」は昭和二十年十二月末、近衛の手記を「信毎」から入手して紙上で連載し、翌年五月に冊子としてまとめ、刊行した。その際、風見や牛場の作為的な手が加わって、「あだ波」を「荒波」と改竄して刊行した可能性は否定できない。そうすれば、東京裁判で天皇の「平和志向」を印象づけられるからだ。…元朝日新聞記者の尾崎秀実はもちろんのこと、コミンテルンによる資金援助で支えられていた太平洋問題調査会(IPR)の主要メンバーと、「朝日新聞」の関係には根深いものがあったことは周知の事実だ。 しかも、太平洋問題調査会と「朝飯会」会員、「朝日新聞」の主要メンバーはほとんど重なっていた。三者にまたがる人物を挙げれば、牛場友彦、佐々弘雄(さっさひろお)、笠信太郎(りゅうしんたろう)、西園寺公一(さいおんじきんかず)といった親コミンテルン一派であり、束ねていたのがほかならぬ風見章だった。 したがって、「朝日新聞」版の『失はれし政治』を史料とするには、あまりにも偏りすぎていると言わざるを得ないのである。…以上のような背景を踏まえたうえで、昭和史研究家がどのような史料をもとに「波風」と言い続けてきたのかを検証したい。共通しているのは、彼らはひたすら天皇が「反戦主義者」だったと言い募る点だ。それは、陸軍が暴走して日本を戦争に駆り立てた、と証明するのに都合がいいからであろう。言うまでもないが、東京裁判と同じ方程式を現在でも繰り返している。…』
詳しくはこちらをご参照💗
↓

続きは次回に♥
ランキング参加中で~す^^ ポチっとお願いします♥
↓↓↓↓↓↓↓

にほんブログ村

人気ブログランキング


- 関連記事
-
- 「プライマリーバランスの黒字化」を政策目標とする“愚行” ~ 「アメリカ進歩センター(Center for American Progress/CAP)」と財務省 (2019/08/25)
- 消費増税は、再び経済を後戻りさせる最悪の愚策です (2019/08/24)
- 減価するおカネ (2019/08/06)
- 中華人民共和国の「米ドル本位制」とスタグフレーションの必然性 (2019/08/05)
- 日本共産党の委員長の選び方 ~ こうして独裁者が生まれます(笑) (2019/08/02)
- 「日銀が経常損失を計上する状況は、大変な事態だ」と考えてしまう「アホ」 (2019/07/04)
- 財政再建には名目成長率引き上げが不可欠なのに、消費増税で名目成長率を引き下げるという愚かな行為 (2019/07/03)
- デフレ不況を抜け出す解決策 ~ それと真逆の愚策 「消費税増税」 (2019/07/02)
- 「消費税増税」というアベノミクス破壊作戦 ~ 参院選は与党が大敗するでしょう (2019/07/01)
- 「文系の経済学」と「理系の経済学」 マルクス経済学はどっち? (2019/06/30)
- 何が正しい経済理論なのか“サッパリ”分からない日本人 ~ 例 : 実物的景気循環論(RBC) (2019/06/29)
- マルクスよりも愛された社会主義者らのアイドル ~ 「国家社会主義者」のラッサール (2019/06/18)
- この5年間で、何ら「学習」出来なかった日本政府 ~ お子さまでもわかる「消費税率引き上げ」が絶対にダメな理由 (2019/06/17)
- 「サタニズム(悪魔崇拝)」の「マルクス教(=共産主義)」の布教活動 ~ 使徒・片山潜 (2019/06/14)
- 西洋的自然科学にみられる決定的矛盾 (2019/04/11)