2019-06-10 (Mon)

本日のキーワード : 社会主義、極左、極右
国家社会主義(こっかしゃかいしゅぎ)は、国家と社会主義を関連づけた思想や体制。国民社会主義、民族社会主義とも。


本日の書物 : 『日本人として知っておきたい世界史の教訓』 中西輝政 扶桑社
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 では、【戦前における共産主義の罪】とは何でしょうか。もう一度、【近衛上奏文】を見てみましょう。…
《 抑々(そもそも)満洲事変、支那事変を起し、之(これ)を拡大して遂に大東亜戦争にまで導き来れるは是等(これら)軍部内の意識的計画なりしこと今や明瞭なりと存候(ぞんじそうろう)。満洲事変当時、彼等が事変の目的は国内革新にありと公言せるは、有名なる事実に御座候。支那事変当時も「事変永びくがよろしく事変解決せば国内革新が出来なくなる」と公言せしは此(こ)の一味の中心的人物に御座候。
是等(これら)軍部内一味の革新論の狙いは必ずしも共産革命に非ずとするも、これを取巻く一部新官僚及民間有志(之(これ)を右翼というも可、左翼というも可なり、所謂(いわゆる)右翼は国体の衣を着けたる共産主義者なり)は意識的に共産革命にまで引きずらんとする意図を包蔵し居り、無智単純なる軍人之に踊らされたりと見て大過なしと存候。 》
ここで言う【「国内革新」】とは、国内の人的・物的資源、あるいは経済活動のすべてをきたる戦争に投入するため【国家の統制下におく国家総動員体制】と、それを実現する政治体制としての【大政翼賛体制】をめざした動きのことです。

つまり【戦後左翼のいう「軍国主義」】ですが、上奏文は、【満洲事変の目的の一つ】は、その【「国内革新」】にあり、現地満洲と呼応しつつ、日本国内でのその推進には【軍部内】あるいは、それと通じた【革命勢力】、ある種の【共産主義者】が【かかわっていた】というのです。…

問題だったのは、こうした外圧を利用して、【日本国内において軍の一部と結んで推進された「軍国主義」化の動き】でした。国際連盟からの脱退を迫られた翌年の1934(昭和九)年10月、【日本の陸軍省新聞班】が【『国防の本義と其(その)強化の提唱』というパンフレットを発行】しました。

☆『国防の本義と其強化の提唱』国立国会図書館デジタルコレクション
「たたかひは創造の父、文化の母である」という、それこそグロテスクな一文で始まるそのパンフレットは、「高度国防国家」、つまり【総力戦を戦うための国家総動員体制の構築】と、そのために議会政治や政党政治を停止し、【資本主義を排して社会主義的な統制経済を実現することを提唱】しています。私の考えでは、あの【敗戦に至る「昭和の悲劇」の本質】は、【この陸軍パンフレットにすべて集約されている】と言っても過言ではありません。

☆『国防の本義と其強化の提唱』国立国会図書館デジタルコレクション
この『国防の本義』パンフレットは、当時、陸軍省軍務局軍事課員で政策班長だった陸軍少佐、【池田純久(いけだすみひさ)】らが中心となって作成したとされています。

池田純久
池田は、陸軍士官学校(28期)、陸軍大学校(36期)を出た後、現役軍人として一般大学への「派遣学生」となり、昭和四年から七年まで3年にわたって【東京帝国大学経済学部】で学んでいます。【当時の東大経済学部はまさに「マルクス主義の牙城」とも言える存在】でした。

池田は、その東大経済学部で学び、さらに【昭和十二年】には【企画院】調査官として勤務し、その後は【関東軍に配属】されています。

企画院庁舎と職員
【当時の企画院】は、有名な【「企画院事件」(1939~41年)】が示す通り、【共産主義活動で摘発されて転向を表明した、いわゆる転向左翼出身の「革新官僚」の「一大巣窟(そうくつ)」だった】、といわれています。

こうした経歴から、【池田は、陸軍統制派の理論的支柱】と目されました。皇道派とならぶ陸軍の派閥だった【統制派】は皇道派とは違い、【社会主義的な傾向を強く持ち】、【国家総動員体制を推進】し、【対外的には中国(国民党政府)に強硬姿勢で臨む一方、ソ連とは友好関係を維持して英米のアジア侵略に対抗する】という基本的な志向が支配的でした。…一方、【皇道派】は【ソ連と共産主義勢力を最も警戒】し、それゆえに【中国の蒋介石政権や米国との友好関係を重視】していました。

そして、この【池田こそ、一説によると近衛上奏文のいう「此の一味の中心的人物」であったとみられていた】、といいます。』

「極左」の社会主義者と「極右」の国家社会主義者
いかがでしょうか?
今回ご紹介させていただく書物は、学校の授業で覚えさせられる世界史とは違って、主に第一次世界大戦の前までの大英帝国の覇権、そして第一次世界大戦の最中に勃発した1917年の「ユダヤ革命(Jewish Revolution)」(→教科書の記載では「ロシア革命」)後のソ連を中心とした社会主義・共産主義勢力、そして2つの大戦間に確立した現在に至るアメリカの覇権を軸に、ここ100年ほどの世界の流れを大きく読み解く能力が身につく良書となります。

さて、前回のところで、日本初の社会主義政党・「社会民主党」(1901年)が片山潜(かたやません)、安部磯雄(あべいそお)、木下尚江(きのしたなおえ)、幸徳秋水(こうとくしゅうすい)、河上清、西川光二郎(にしかわみつじろう)の6名(うち5名がキリスト教徒)で結成・即日禁止処分されたお話、そして、日露戦争開戦(1904年)を支持する世論に反し、非戦論を訴え、社会主義思想の宣伝・普及を行うために、社会主義運動の中心組織となる平民社が幸徳秋水と堺利彦(さかいとしひこ)によって結成(1904年)されたお話(ちなみに、同社が発行した「平民新聞」の記者であったのが荒畑寒村(あらはたかんそん)とその妻・管野スガ(かんのすが)になります)、

幸徳秋水

荒畑寒村

管野 スガ
さらに、西川光二郎らの「日本平民党」と堺利彦らが「日本社会党」が合流して「日本社会党」が結成(1906年)されますが、翌年に治安警察法の適用による結社禁止命令が出され解散したお話について簡単に書かせて頂きました。
この一連の流れは、20世紀初頭の私たち日本における、一種の宗教として「社会主義」を信仰する「左翼・極左勢力」の動向になります。

そして、その中で宗教原理主義者のような連中が生み出され、例えば「日本社会党」のメンバーの中で、暴力革命を主張する「直接行動派(硬派)」に属する危険な連中というのが、それに該当致します。具体的には、「赤旗事件」で逮捕(1908年)された荒畑寒村とその妻・管野スガみたいな連中です。もちろん、暴力革命を主張する「直接行動派(硬派)」の中心人物であった幸徳秋水もそうです。
で、そのように一種の宗教として「社会主義」を信仰する「左翼・極左勢力」が立てた「明治天皇暗殺計画」が発覚(1910年)、いわゆる「大逆事件(たいぎゃくじけん)」ですが、これによって私たちの日本政府は、すべての国民の安寧のために当然ですが、幸徳秋水をはじめとする全ての社会主義者、アナキスト(無政府主義者)の根絶を目指し、徹底的な取り調べや家宅捜査を行い、幸徳秋水や管野スガら24名を処刑(1911年)します。
非常に正しい判断と対処ですね💗

ここまでご覧頂きました通り、私たちの日本においては、この時点(1911年頃)までは、一種の宗教として「社会主義」を信仰する「左翼・極左勢力」の殲滅・一掃を正しく実行できているんです。

ところが、この頃から、もう一方の非常に危険な連中が、その活動を活発化させてゆくようになります。
さきほどの、20世紀初頭の私たち日本における、一種の宗教として「社会主義」を信仰する「左翼・極左勢力」の流れとは別の、これも一種の宗教として「国家社会主義」を信仰する「極右勢力」の登場です。

「国家社会主義」は英語で「National Socialism」、「国家社会主義者」は英語で「National Socialist」ですから、「社会主義(socialism)」・「社会主義者(socialist)」に「国民国家の(national)」が加えられただけのもので、ある種の混乱を引き起こしていると思われるのが、「国家社会主義」はドイツ語で「Nationalsozialismus (ナツィオナールゾツィアリスムス)」となりますが、このドイツ語の「Nationalsozialismus (ナツィオナールゾツィアリスムス)」を英語で「National Socialism」とは言わずに、わざと「ナチズム(Nazism)」と呼んで別物のように扱っているために、ヒトラーのナチズムが社会主義であることを知らない方が多くいらっしゃいます。

つまり、国家社会主義も社会主義も同じ範疇であると理解しておくことが大切なポイントとなります。

詳しくはこちらをご参照💗
↓
☆「共産主義」・「社会主義」・「ナチズム(国家社会主義)」・「ファシズム」・「ネオコン」・「左翼リベラル」・「進歩主義(プログレッシブ)」は、すべて同じ意味です(笑)

それでは、「社会主義」と「国家社会主義」の違いは、何なのでしょうか?

取り敢えず、ここでは、「国民国家の(national)」と加えられている点にのみ注目して、「民族的社会主義」と考えておきましょう(ちなみに「国家社会主義」という言葉は戦後のものでしかなく、戦前は「国民社会主義」と訳していました)。
例えば、ヒトラーが「ゲルマン民族」という言葉で自国民を扇動したことからも御理解頂けるのではないかと思います。
それでは、次回以降に、「社会主義」を信仰する「左翼・極左勢力」とは別の勢力である、「国家社会主義」を信仰する「極右勢力」について確認して参りたいと思いますが、最後に一つ書かせて頂きますと、「大逆事件(たいぎゃくじけん)」によって壊滅的状況となった「左翼・極左勢力」は、「社会主義冬の時代」に生活費を稼ぎ、かつ、全国の社会主義者間の連絡を維持・確保するために、堺利彦が「売文社(ばいぶんしゃ)」を設立し、荒畑寒村らが参加していました。そのメンバーの一人に、高畠素之(たかばたけもとゆき)がいますが、のちに社会主義運動の方法論をめぐって争い、国家社会主義運動の旗手となります。ちなみに、1919~1925年にマルクスの『資本論』日本初の全訳に成功し、当時のマルクス研究の主要研究者と目された人物であり、右翼団体・国粋団体と提携し、翻訳・執筆本を多数発刊している社会思想家になります。

高畠素之
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