2017-05-11 (Thu)

リベラル
①自由なこと。
②自由主義的。

ザ・市民「山尾志桜里」
戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。
そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。
私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、
客観的に情勢を判断する必要があります。
それでは、この書物を見ていきましょう!
『 なぜ【多くの日本人有識者はトランプ敗北・ヒラリー勝利の誤ったシナリオを妄信してしまった】のだろうか。

藤原帰一

こちらもご参照♥
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☆NHKのテレビ番組で、クリントン候補を「勝ち!」と明言した、とある著名な東京大学大学院教授
その原因は、米国共和党に関する基本的な知識、特に共和党内で存在感を強めている【共和党保守派の重要性が、日本では十分に認識されていない】ことにある。

【日本では共和党保守派に関する報道はほとんど存在せず】、また話題として取り上げられたとしても【極めて批判的なトーンで偏向した内容になる】ことが多い。

それは既存の【日本のメディア・有識者の情報源】が【米国の左寄りの勢力】、つまり大手メディア、大学の有識者、それらに親和的なワシントンの政治関係者ら、【いわゆるリベラルなエスタブリッシュメント(既得権者)層の発言に依存】しているからだ。

しかし、このような【既存の偏向した情報源】からもたらされる情報のみでは、現在、【米国で実際に起きている共和党保守派による政治の地殻変動を正しく理解することは難しい】だろう。

米国は民主党から共和党という政権交代だけでなく、【共和党内での主流派から保守派へという二重の政権交代の過程にある】からだ。

一部の【メディアや有識者はこの現象を「ポピュリズム台頭」と揶揄している】わけだが、選挙戦を通じて何が起きたのか、そしてどこに向かっているのかを理解することで、本書の読者の理解は、【偏見に基づく既存の解説を真に受けたものとはまったく違ったものになる】だろう。』

いかがでしょうか?
今回ご紹介させて頂く書物は、アメリカの「保守派」を理解するための書物として、当ブログお勧めの書です。

アメリカの「保守派」がどのようなものか、詳しくは本書をお読み頂くと致しまして、それに対立する概念の一つであるアメリカの「リベラル」が何であるかを理解することで、ある程度絞り込んでいくことが出来ると思います。
「リベラル」と一口に言っても、アメリカの「リベラル」とヨーロッパの「リベラル」も、全然違った考え方をしています。

「 日本では、思想的立場をあらわすとき、よく「リベラル」(自由主義的)という言葉が使われる。ちょっと聞くと、なんとなく軽やかで、進歩的なイメージをもつが、考えてみるとこれほど意味が理解されずに使われている言葉もない。
たとえば、かつて自民党に対抗しようとする人たちが、よく口にした「民主リベラル」だが、英語に直訳すれば、Democratic Liberalである。自由民主党の「自由民主」も訳せば、Liberal Democraticである。語順が変わっただけで、いったい、どこが、どう違うのだろうか。
もともと「リベラル」という言葉は、ヨーロッパとアメリカでは、受けとり方が大きく違う。
ヨーロッパでは、王権に対して、市民が血を流しながら自由の権利を獲得し、民主主義の制度をつくりあげてきた歴史をもつことから、同じ「リベラル」でも、他者の介入を許さないという「個人主義」にちかい意味合いで使われる。
これに対して、アメリカにおける「リベラル」は、社会的平等や公正の実現には政府が積極的に介入すべきであると考える、いわゆる「大きな政府」を支持する立場だ。
アメリカには、封建制度の歴史がない。生まれながらにして平等な社会が原則であり、その制度や権力は、新大陸に渡ったピューリタンたち個々人の合意のうえでつくられた。だから自由主義と民主主義が対立することなく協奏曲できた。
ところが、建国から150年余り後、1929年に始まった世界大恐慌は、アメリカに1300万人の失業者を生み出すことになった。このときF・D・ルーズベルト大統領のとったのが、ニューディールと呼ばれる、政府が経済に積極的に介入する政策である。それは社会主義的な性格をもつ政策だったために、結果として大きな政府へと向かうことになった。
このときニューディール政策を唱えた人たちが自らを「リベラル」と呼び始めたことから、社会主義、あるいは、それにちかい考えをもつ人のことをリベラリストと呼ぶようになった。革命主義や左翼もこの範疇にはいる。
いうなれば「リベラル」とは、ヨーロッパとアメリカでは、むしろ対立する概念だったのである。
日本でしばしば用語の混乱がみられるのは、このことがよく理解されていないためだ。」
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☆ヨーロッパとアメリカの「リベラル」の違い
これは安倍総理が書かれた書物ですが、非常に良くまとめられている良書なのですが、ここに書かれているとおり、ヨーロッパでは、王権に対して、自由の権利を獲得してきた歴史があり、だから「リベラル」は他者の介入を許さないという「個人主義」にちかい意味合いになっています。

ヨーロッパの歴史において、暗黒の中世(500年~1500年)と呼ばれる長い時代には、独特の社会経済制度である「フューダリズム(Feudalism)」が存在していました。およそ1000年の歴史を誇ります。それを簡単に表現すると、「戦う人(騎士)、祈る人(聖職者)、働く人(農民)」となり、働く人(農民)というのは、奴隷である「農奴」のことです。

戦う人(騎士)、祈る人(聖職者)、働く人(農民)の中世西欧三身分を表す図
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☆戦う人、祈る人、働く奴隷 ~ ヨーロッパ独自の身分制度「フューダリズム」
ヨーロッパが暗黒の中世と呼ばれる時代に突入するのは、ユーラシアの遊牧騎馬民族が西へ西へと侵入したことで、玉突きのように押し出されていった軟弱な民族たちが、さらに西方の軟弱な民族が住む地域へと侵入して行ったためで、やがて西ローマが滅亡、そこにそれまでのギリシャやローマの時代の文化との隔絶が生じます。

フン族を描いた19世紀の歴史画(ヨーハン・ネーポムク・ガイガー画)
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☆ローマ帝国でさえも、震え上がった「遊牧騎馬民族」

6世紀中頃
ローマ帝国の僻地であった(だから城壁を築いたわけです)ブリタニアも、ゲルマン系アングロ・サクソン人が侵入し、先住民族のケルト系ブリトン人を支配し、ケルト文化を駆逐、このアングロ・サクソン人らの言語が、現在の英語の基礎となっています。
そこへ、今度はヴァイキングのデーン人が侵入、アングロ・サクソン人を支配します。その支配された地域をデーンロウと呼びます。デーン人は、デンマーク地方に居住していたノルマン人の一派で、10世紀にキリスト教に改宗し、デンマーク王国という統一国家をつくりました。

デーンロウ(黄色の部分)
さらに時代を経て、北方ゲルマン系のヴァイキングであるノルマン人が、ノルマンディー地方に侵入して支配し、

ノルマンディー
フランス王の臣下でもあったノルマンディー公が、ウィリアム1世の時代にイングランドにノルマン人の王朝であるノルマン朝を開き、現在に至るまで、その血筋が続いているんです。
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☆イギリスにもある「万里の長城」 ~ イギリス王室とヴァイキング
で、新しく外からやって来た支配者層(→これが王族や貴族になります)によって、従来の領主らが支配を受けることになります。
イギリスで、もともと存在していた在地の有力者・領主たちが、ノルマン人であるウィリアム1世によって支配されることになった結果、イギリスにおける下級地主層として「ジェントリ(gentry)」と呼ばれるようになります。貴族に含まれない上流階級の誕生です。この「ジェントリ」のもとで働かされていた農奴が「ヨーマン(Yeoman)」で、遥か後の時代に清教徒としてアメリカへと渡って行ったりします。
ちなみに、この広大な土地を所有する地主(不労所得者)でもあった「ジェントリ」が、ちょっと気取った呼び方で「ジェントルマン (Gentleman) 」と自称しています。
以下は、Wikipediaからの抜粋です。
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「 “gentle”はラテン語の“gentilis”に由来する。"gentilis"はもともと「同じゲンス(氏族:gens)に属する」という意味で、これから派生したフランス語の gentil と英語の gentle は「優しい」「親切」といった意味で使われるが、古くは「高貴な」という意味の形容詞として使われた。つまり“gentleman”とは本来「高貴な人物」「家柄のよい人」といった意味合いで使われる言葉で、ジェントリの同義語として使われることもあれば、貴族とジェントリの総称として扱われることもある。」

さて、お話を元に戻しましょう。
このような独特の社会経済制度である「フューダリズム(Feudalism)」を持った暗黒の中世(500年~1500年)のヨーロッパでは、支配するのか支配されるのかで、立場がまるで違っていました。
特に支配する側の王様、王族は、傍若無人で横暴なことをやっていきます。
それに対して、王権、君主権を制限していくことになるのが、「マグナ・カルタ(大憲章)」で、これがヨーロッパの「保守派」の思想の根っこになります。

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☆エンペラーでも、キングでもありません
で、これをさらに突き詰めていくと、「個人の自由」に辿り着くことになります。その発端が、社会契約説という宗教的な思想を唱えたジャン=ジャック・ルソーになるのですが、その先にあったものが「市民革命」でした。
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ジャン=ジャック・ルソー
この「市民革命」が、ヨーロッパの「リベラル」の原点となります。王様を殺すことを、何のためらいもなく「可」としたんです♥他人のものを強奪するのも、或いは他人を殺すのも、「良し」としちゃったんです♥
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☆ヨーロッパで個人が自由を獲得したのは、たったの230年前なんです ~ リベラルの原点「フランス革命」
ですので、「王様」とか「政府」からの自由が与えられていなければならない、主権は国民になければならない、私的な所有権が認められるべき、市場は自由に開かれていなければならない、と、こんな風に考えるのがヨーロッパの「リベラル」、つまり「自由主義(リベラリズム)」です。ただし、本来であれば・・・ですが。

その一方で、アメリカはどうなのでしょう?

私たちの日本で江戸時代を迎えた頃に、イギリスからアメリカへと渡って行ったのは、イギリスの「落ちこぼれ」です。しかも、宗教原理主義者です。イギリス本国の植民地でしかなかった約150年間、先住民を支配し搾取してきたイギリスの「落ちこぼれ」です。先住民だけではなく、「黒人奴隷」だって活用していました。
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☆キリスト教徒にとって理想的な社会 ~ アメリカ
そんなアメリカが、本国イギリスに対して「謀反」あるいは「革命」を起こしたのがアメリカ独立戦争で、ヨーロッパの「リベラル」、つまり「自由主義(リベラリズム)」の宗教的な思想と似ています。これが、アメリカで言うところの「保守派」の考え方へと繋がっていきます。
大統領であっても、ワシントンのエリートであっても、それぞれの州で行われることには「口出しするな」、「規制をするな」、そんな考え方です。
トランプ大統領が就任後に「大統領令」を乱発していると報道されていますが、そのほとんどは「連邦政府が定める規制を緩和するもの」です。大統領令という議会で議論を経ることなく発布することが出来る命令を、乱発し規制をかけて雁字搦めにしようとしてきたのが、オバマです♥

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☆アメリカと日本の「国会議員」 ~ その決定的な違い
☆オベリスク
それでは、このアメリカで言うところの「保守派」に対抗する「リベラル」が何かと言いますと、さきほどのところで安倍総理が書かれているように、F・D・ルーズベルト大統領のニューディール政策とは、政府が積極的に介入する政策で、まさにそれは、社会主義的な性格をもつ政策でした。で、このときニューディール政策を唱えた人たちが自らを「リベラル」と呼び始めたんです。つまり、社会主義、あるいは、それにちかい考えをもつ人のことをリベラリストと呼ぶわけです。革命主義や左翼もこの範疇です。

つまり、当時のアメリカには、ソ連のレーニン、スターリンによるコミンテルン(第三インターナショナル)の流れが入り込んでいたんです。正体がお分かり頂けましたでしょうか?
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☆アメリカの伝統 「孤立主義」 ~ 戦争に引き込まれたくなかったアメリカ国民
☆砕氷船のテーゼ ~ 日本共産党が「アメリカ反対」な理由
そして、もう一つの流れがあって、それがトロツキーの第四インターナショナルで、いわゆる「ネオコン」になります。
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☆要するに「パヨク」でしょ~(笑)
☆「珍パヨク(新左翼)」とチェ・ゲバラ
☆日本の「珍パヨク(新左翼)」と関西地区生コン支部
現在のヨーロッパで、欧州連合(EU)の数々の規制に対して反発が起きていますが、上記を踏まえると御理解いただけるように、それはヨーロッパの「保守派」と本来の「リベラル」が反発しているんです。右だろうと左だろうと関係がないんです。

要するに、アメリカの「保守派」は、ヨーロッパの「リベラル」に近くって、また同時に、アメリカの「リベラル」がヨーロッパの「リベラル」とは決定的に違っている、という構図、これを理解しなければ、一体何が起きているのかさっぱり分かっていないメディアの低レベルな解説と同じようになってしまいます。
続きは次回に♥
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